だれかに話したくなる本の話

紀元前から続いていた 人類と感染症の闘い

『疫病VS神』(島田裕巳著、中央公論新社刊)

2021年になってもなお、収束の気配が見えない新型コロナウイルスの世界的流行。

ただ、これだけ全世界に蔓延する事態にはならなかったため忘れられがちだが、新型コロナウイルスだけでなく、エイズやエボラ出血熱、新型インフルエンザなど、深刻な感染症の局所的な流行が起きている

疫病vs神

疫病vs神

日本人はくり返し流行する疫病を神として祀ることで、その災厄から逃れようとしてきた。都の発展は病の流行を生み、疫病退散のために祇園祀りが行われた。また、ある種の疫病は、怨霊として人々から恐れられてきた―。そこには、一神教の世界と異なり、多神教の日本だからこそ、疫神を祀るという行為がある。長い歴史の中で、日本人はどのように病と闘ってきたのだろうか。