だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1507回 「スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン―聞き手の心をつかむストーリーと50表現」

聴衆を熱狂させたスティーブ・ジョブズのプレゼンの数々。そのプレゼン内容を解剖し応用していくことで、ジョブズの流れるような魅力的な話の展開、いきいきとした英語表現を身につけることができます。ジョブズのプレゼンを上手に活用することで、伝えたいことを効果的に英語で表現することができるようになれます。

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概要

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◆この本をひと言でまとめると  「スティーブ・ジョブズのプレゼンの“英語表現”を学ぶ本」

◆著者について  上野陽子(うえの・ようこ)さんは、カナダ・オーストラリアに留学ののち、 ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズムを専攻。通信社 の国際金融情報部、出版社にて国内海外の作家・実業家の担当。海外エージェン トとの交渉や、シリコンバレー、欧米デジタルシーンの取材などを経てフリー。

◆おすすめの読者  ◎ジョブズのスピーチ(iPhone発表、スタンフォード大学卒業式祝辞)を教材   として英語を勉強したい人。  ○仕事で英語プレゼンを行う機会のある人(但し、入門者向けです)。

***

 本書は、日本人が英語で魅力的なプレゼンができるように、スティーブ・ジョ ブズのプレゼンから学び、ジョブズのように聴衆を魅了させるテクニックを教え てくれる内容となっています。

 ご存知のようにスティーブ・ジョブズのプレゼンは、聴衆を熱狂させ、劇的な ストーリー展開、ジョークを交えながら分かりやすく、そしてスマートで心に残 るものでしたね(ちょっと褒めすぎでしょうか? 笑)

 説得力があって、なおかつショーのような楽しさがあるのが、ジョブズのプレ ゼンの魅力だと思いますが、本書ではその法則を分解しつつ、説得力のある魅力 的で美しいプレゼン表現を身につけるためのテキストとしてまとめられています。

ジョブズ流プレゼンの肝

 英語のプレゼンというと、苦手意識のある方は構えてしまうかもしれませんが、 「文法や発音を間違えてはいけない」という緊張は、プレゼンの敵になるそうで す。あくまでもプレゼンの目的は「内容を伝えること」です。多少文法が間違っ ていても、内容が伝わればよいのです。実際、ジョブズのプレゼンも、文法が正 しくなかったり、言い回しの違和感をネイティブに指摘されることもあったそう です。

 ネイティブのジョブズですらそうだったのですから、日本人のあなたが少しば かりおかしくても相手は気にしないでしょう。ですから、

 「何を伝えたいのか」  「どう話を展開すれば伝わるのか」  「どんな表現を使えば効果的なのか」

 こういったことに力を注いだ方が魅力的なプレゼンが行えるのです。

 ジョブズのプレゼンには、定型と言える「流れ」と「ストーリー」があるとい います。このジョブズの“定型ストーリー構成”を意識すれば、説得力のある、 イキイキとしたプレゼンを組み立てることができます。

 それでは、具体的なポイントをあげていきましょう。

ジョブズ流プレゼンの流れ(1)

 1.『冒頭で注意をひく』

 ジョブズのプレゼンは、登場と同時に「Good morning」などの挨拶をして、聞 き手に話しかけるようにして、相手を引き込んでいきます。次にジョブズは、イ ンパクトのある業績や実績を紹介していきます。

 ○ I’m pleased to report that 〜  ○ The first thing I’d like to do is give you an update about〜  (P11より抜粋)

 こういった表現ではじめることが多いそうです。

 プレゼンの冒頭で、「iTunesで音楽がこれほど売れている」「iPodやiPhoneな どの製品が売れている」「売上が伸びている」といった目覚ましい数字やワクワ クするような話が次々に出てくるので、聞き手はそのあとのプレゼンをますます 聞きたくなってしまうわけですね。

 そして、経緯の報告が終わったら、いよいよ本題へ入っていきます。

 2.『アンサー・ファースト』

 ジョブズはここで、聞き手に押さえて欲しいポイントを最初に整理して伝えま す。「今日は何が目的か」「結論はなにか」をなるべく最初に伝えてから細かい 説明に入るほうが、英語の思考方法とも相性がいいからです。

 その後は、相手を納得させるストーリー展開をしていきます。  具体的には……。

 ○ “敵は何か”………… 従来の問題点。  ○ “疑問の提示”……… なぜ問題で、どんな問題を、どう解決していくか。  ○ “正義の味方、ヒーローは何か”…………問題解決、新商品。  ○ “被害者を救う手だては何か”……………ユーザーの問題解決。

 非常にアメリカ的ですね(笑)こうした分かりやすい例えもジョブズのプレゼ ンの魅力なのではないでしょうか。

ジョブズ流プレゼンの流れ(2)

 3.『身近な数字に置き換えて表現する』

 ジョブズは、身近で分かりやすい数字に置き換えて興味を引いて、いかに凄い のかを、イメージさせることも上手でした。たとえば次のような表現です。

 ○ iPadは59日間に200万台を販売。3秒に1台の販売数

 このように実感できる数字で表現しました。ほんの少し数字の単位や母体を変 えるだけで印象が変わって、すごさが伝わるのですね。

 4.『プレゼンの最後に、聞き手にして欲しいことを“具体的”に伝える』

 プレゼンの最後にジョブズは、必ず聞き手にして欲しいことを具体的に伝えま す。プレゼンの最後に大切なことを繰り返して、聞き手の記憶に植え付ける作戦 ですね。

 本書ではこのように、ジョブズのプレゼン方法を細かく分析していき、実際に 使えるようにレクチャーしています。また、ジョブズがこれまでに行ってきた、 iPhone発表のプレゼンや、スタンフォード大学卒業式の祝辞のスピーチ全文も教 材として掲載されています。ファンにとって、これは楽しく読めますね。

◆まとめ  教科書のような作りになっています。難易度は低めですから、英語でのスピー チやプレゼンの入門者なら読んでみてもよいのではないでしょうか。

スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン

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スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン―聞き手の心をつかむストーリーと50表現

スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン―聞き手の心をつかむストーリーと50表現

聴衆を熱狂させたスティーブ・ジョブズのプレゼンの数々。そのプレゼン内容を解剖し応用していくことで、ジョブズの流れるような魅力的な話の展開、いきいきとした英語表現を身につけることができます。ジョブズのプレゼンを上手に活用することで、伝えたいことを効果的に英語で表現することができるようになれます。