だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1457回 「リーダーシップの真実―どんな時代でも人々がリーダーに求めていること」

本書は、過去2年間で70カ国100万件以上のケースを分析・研究して構築された、リーダーシップの真実を著した書です。人はどのような人物をリーダーと認め、成果に向かって力を尽くすのでしょうか。そして、本物のリーダーになるには、どのような心構えや成果が必要なのでしょうか。30年前も、現在も、そして30年後も真実であり続ける、リーダーシップの原理原則が、今詳らかにされます。

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世界屈指のリーダー論研究者の“答え”

● 著者プロフィール  ジェームズ・M.クーゼスとバリー・Z.ポズナーは、ともにサンタクララ大学、リービー経営大学院の教授であり、世界的なスピーカーとしても活躍している2人です。『The Leadership Challenge』(邦訳『リーダーシップ・チャレンジ』)の共著者であり、1987年の初版刊行以来、全世界で180万部を超えて読み継がれているロングセラーです。

 バリー・Z.ポズナーは、世界各国において 最も多く使われているリーダーシップアセスメント(評価)である、「リーダーシップ・プラクティス診断」の開発者としても有名で、2人の研究はこれを使って行われています。つまり、現場における実情ベースでデータを集めて分析しているわけです(サンプル数は、過去2年間だけでも、70カ国100万件以上!)。そうして構築された、リーダーシップの原理原則は、30年前も、現在も、そして30年後も真実であり続けるものだと、ジェームズ・M.クーゼスと、バリー・Z.ポズナーは言います。

 2人は本書で、「これまで、共同でリーダーシップ研究をする中で学んできた、“最も重要な事柄”を明らかにする」と語っています。その“最も重要な事柄”というのが、 この本の内容の大部分を占める、リーダーシップの実践を語り支える根本的な原則、すなわち、『良いリーダーになるための10の根本的な真実』ということなんです。

良いリーダーになるための、10の根本的な真実

 第1の真実「違いを生み出す」をご紹介しましょう。

 これはすべての真実の中で最も根本的なものです。  リードする前に、自分は他の人々に対して積極的なインパクトを与えることができると信じなければならない。自分自身を信じなければならない。ここから全てが始まる。リーダーシップは、「自分は違いを生み出せる」と信じるときに始まる。

 「リーダーシップ」というのは、すなわち、他人を巻き込んでチームとして前進する、方向性を指し示す力のことですよね。その役割の人が、「たぶんこう思うのですが…」みたいな態度では、人はついてきません。ですから、リーダーとして行おうとするあらゆることは、ひとつの大胆な想定に基づいて考えなければなりません。

 それは、「自分は、できる!」という想定です。他人をリードする前に、まずは自分自身をリードして、「自分はできる! 他の人に積極的なインパクトを与えることができる」と信じ、「自分の行うことは、何かのために重要なことだ」と、信じる必要があるんです。

 第1の真実は「違いを生み出す」ということでしたが、まずリーダーが考えるべきことは、「自分は違いを生み出せるか」ではなくて、「自分はどんな違いを生み出すか」という問いなのです。

良いリーダーになるための、10の根本的な真実(2)

 第2の真実から、第9の真実も、気づきと学びを与えてくれるメッセージです。

第2の真実「信頼性がリーダーシップの基礎である」 第3の真実「価値がコミットメントを推し進める」 第4の真実「将来に目を向けるのがリーダーである」 第5の真実「一人ではできない」 第6の真実「信頼がすべて」 第7の真実「挑戦から偉大なことが生まれる」 第8の真実「模範によってリードしなければリードできない」 第9の真実「最良のリーダーは最良の学習者である」 第10の真実「リーダーシップとは心を通わすことである」

 10個の「真実」を見ると、「基礎」「一人ではできない」「信頼」「模範」「学習」といった、人間としての器の大きさに関わる言葉が多く含まれていることに気づいたのではないでしょうか。

 リーダーというものは、自分が目立っても仕方がないのです。“成果を出すチーム”を作るために動くべきなのです。もちろん、自分が成果を出すことも重要なのですが、それはチームをまとめるための成果でなければいけないのではないでしょうか。

 本書には、著者の2人が30年にわたって集めてきた、「自己の最良のリーダーシップ経験」についての話もたくさん掲載されています。どの人ももともと偉かったわけでも地位があったわけでもないのに、リーダーシップを発揮して、素晴らしい功績を挙げています。リーダーはどんな立場の人かということではなく、何をやるかというものなのです。

 本書で語られている内容は、世界中のビジネスの現場から集めた実例を分析して、リーダーシップにおける「根本的なこと」を書いた本です。原理原則に基づいたものですが、かといって観念的なものに始終するものでもありません。私たち人間は、どのような人間をリーダーと認め、そのリーダーに着いていき、成果を出すために力を尽くすのか。そして、そのようなリーダーになるには、どのような心構えや、成果が必要なのか? ジェームズ・クーゼスと、バリー・ポズナーが研究してきた結果がまとめてあります。

 目先の成果ばかりでなく、本気でチームを進捗させたいと情熱を燃やしているリーダーや、リーダー候補の方は、ぜひご一読下さい。

リーダーシップの真実

ものづくり大国ニッポンの技術者の情熱(ひとつ前の新刊ラジオを聴く)

リーダーシップの真実―どんな時代でも人々がリーダーに求めていること

リーダーシップの真実―どんな時代でも人々がリーダーに求めていること

本書は、過去2年間で70カ国100万件以上のケースを分析・研究して構築された、リーダーシップの真実を著した書です。人はどのような人物をリーダーと認め、成果に向かって力を尽くすのでしょうか。そして、本物のリーダーになるには、どのような心構えや成果が必要なのでしょうか。30年前も、現在も、そして30年後も真実であり続ける、リーダーシップの原理原則が、今詳らかにされます。