だれかに話したくなる本の話

いじめられっ子の少女が奇跡を起こす物語。その慈愛に満ちた眼差しの意味とは?

『ブ・デ・チ』(幻冬舎刊)

本作を「いじめられっ子が奇跡を起こしながら、周囲の少年・少女たちを成長させていく物語」と表現してしまえば、おそらく簡単なのだろう。 しかし、この物語、そんな一筋縄ではいかなそうだ。

精神に深く根差した世界観が繰り広げられ、「いじめっ子」側の事情もじっくりと深掘りしていく。
何よりも「いじめられっ子」である少女の存在感が、物語を進めていくごとにだんだんと大きくなる。ブレない強さを持ち、「いじめられても平気」と平然とし、むしろいじめっ子たちに対して全てを受け入れ、慈愛の眼差しを投げかける。この存在感は、一体何だろう――。

ブ・デ・チ

ブ・デ・チ

どんないじめにも屈せず、ただ者ではない雰囲気を漂わせる少女の胸には、ある使命があった。