ニュートンの大発見も「自粛期間」に生まれた? パンデミック下の人間たち
世界中で新型コロナウィルスが蔓延し、日本でも緊急事態宣言、外出自粛が徹底されるなど、生活は大きく変わった。世界での感染は拡大し続けていて、終わりが見えず、不安な日々を送っている。
ただ、過去には、ペスト、スペイン風邪、天然痘、結核など、日本をはじめ、世界各国で感染症が流行した歴史がある。
人類が過去に何度も経験してきた「感染症の世界的な大流行=パンデミック」から、何かしら有益かつ実用的な情報を引き出すことはできないか。そんな問題提起から生まれたのが『人類はパンデミックをどう生き延びたか』(島崎晋著、青春出版社刊)だ。
ここでは本書で紹介されているパンデミックにまつわる話題をいくつか挙げていきたい。
■いつの時代も起こる買い占め騒動
史上最悪のパンデミックといわれるのが、1918年から翌年にかけて世界中で流行した「スペイン風邪」だ。全世界での死者数は4000万人とも5000万人ともいわれ、日本だけでも約38万人が命を落としている。
スペイン風邪は、インフルエンザの変異体ながら、致死率は通常のインフルエンザの20倍にも及ぶ。感染症の死者は幼児と高齢者が多いと思われがちだが、スペイン風邪の場合、死者の大半は20代から40代で占められた。
今回のコロナ禍でも、感染が叫ばれるなんかで買い占めが問題となったが、このスペイン風邪が流行したときも、買い占め騒動は起きている。アメリカ・メリーランド州ボルチモアの薬局に人々が押し寄せたというのだ。
パンデミックや都市封鎖の噂が流れるたびに買い占め騒動が起きるのは、今も昔も、どこの国も変わらない現象なのだ。
■疫病流行による「お家時間」に生まれた大発見
自粛期間中、「お家時間」をどう過ごすかが話題となり、リモート飲み会や家庭菜園などを始める人が増えた。
そんな「お家時間」で生まれた大発見がある。アイザック・ニュートンの「万有引力の法則」だ。リンゴが木から落ちるのを見て、なぜ真下に落ちたのかを疑問に抱いたのがきっかけ、という逸話がある。
ケンブリッジ大学にいたニュートンだが、ペストの流行により大学が一時閉鎖。故郷の東イングランドにある田舎町ウールスソープに戻り、研究生活を送る。このときに発見したのが「万有引力の法則」だったのだ。この1年あまりに、他にも数々の発見をして「驚異の年」と呼ばれている。
長期化する可能性もあるこのコロナ禍。今の状況だからこそ、できることもあるかもしれない。過去に起きたパンデミックの際、人々はどのように過ごし、感染症を克服してきたのか。先人たちから学ぶこともあるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)