だれかに話したくなる本の話

運動能力は5~12歳で差がつく!? 失われた運動機会はケンケンで取り戻せ!

多くの方の自主的な努力によって、徐々に日常を取り戻しつつある日本。ですが、世界的に見ると、新型コロナウイルスの終息はまったく見えていません。

そんな中、不安視されるのが子どもたちの健康。
長引く休校で止まってしまった学習と同様、外で自由に遊べなくなった子どもたちの健康のことも心配されるところです。

子どもは遊ぶことも仕事のうち。5歳から12歳までの時期は「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、身体能力、運動能力が劇的に発達します。

この期間のうち、神経系の発達が著しい5歳から8歳を「プレ・ゴールデンエイジ」、9歳から12歳をスポーツ技術の習得にもっとも適した時期として「ゴールデンエイジ」と名付けられ、運動能力の向上にとって、とても大切な期間と言われています。

サッカーのリフティングがいい例です。
未経験の大人が四苦八苦するリフティングを、多くの子どもはすぐにマスターしてしまいます。加えてこの時期に身につけた体の動きは、大人になっても、その感覚を簡単に失うことはありません。ゴールデンエイジの時期にたくさん身体を動かすことが、将来の自然で力強く、また器用な動きにつながるのです。

■サッカー日本代表選手が提案する、全身を使ったとても簡単なトレーニング法

では、コロナ禍で自由に遊ぶ場を失ってしまった子どもたちは、どんなふうに身体を動かせばいいのでしょうか。

学校が再開されても、コロナ以前のような体育の授業や、運動会、地域の大会、クラブ活動などが、中止になったり「3密」対策でこれまでとは違った形で開催されたり、ますます子どもたちにとって十分な運動機会が失われていくのかもしれません。

サッカー日本代表で活躍する快速ドリブラー、伊東純也選手は、子どものころにたくさん身体を使って遊ぶことの重要性を、次のように語っています。

「少年時代、サッカーチームでコーチをしていた父と、よくかけっこをしました。チームの練習が終わると、父とふたりの弟と4人で競争をしたものです。いま振り返ると、まさにその時期がゴールデンエイジだったわけですが、身体を動かすべき年齢で、しっかり運動する。そうすることで大人になったときに、目に見える差として出てくるのだと思います」

伊東選手の著書『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム刊)には、身体能力を劇的に伸ばすメニューの数々がシンプルにまとめられています。

その中から今回紹介するのは「全力ケンケン」。
せまい場所でわずかな時間でできて、全身を効率よく刺激できる、とても手軽なメニューです。

①片足立ちで前傾姿勢になる。
軸足のヒザを曲げる。
あごを引き、おでこを前につき出す。

②全力でジャンプ!
腕と足で反動をつけて大きく前へ。
上げた足をうしろに蹴るイメージで。

表紙

距離を出すことを意識して、右足で5歩、左足で5歩。
これを3セットくり返します。

伊東選手はこのトレーニングのポイントを、次のように話します。

「全身を使って、片足でダイナミックにジャンプする。意識する点はそれだけです。もし前に動けるスペースもない場所でしか運動できない場合は、その場で真上に全力ジャンプする方法に変えてもかまいません。限られたスペースをどう活かすのか。サッカーにも共通する考え方ですが、ポイントをおさえた上で、状況に応じて皆さんでアレンジしてみてください」

やってみるとわかると思いますが、1セットやるだけで全身にかなり負荷がかかることが実感できると思います。運動不足の防止はもちろん、バランス感覚をやしなうにも最適のメニューと言えます。

■いまできることで、目一杯身体を動かそう!

コロナ禍の今、公園の遊具が使用禁止になっていたり、封鎖された公園が少なくありません。しかし、全力ケンケンはちょっとしたスペースがあれば、どこでもできます。

体を動かすのには十分なスペースがないから、とあきらめるよりも、全力ケンケンなど、ちょっとしたスペースでもできる運動をいまは積み重ねてみてください。将来またみんなで運動やスポーツができる日がきたとき、「足速くなった?」「動きが前より良くなってる?」と周囲を驚かせられたら、体を動かすことがより好きになると思います。

ゴールデンエイジのお子さんはもちろん、運動不足の大人のみなさんにもおすすめ。
ぜひ、子どもも大人も一緒に行って、運動能力の向上と、運動不足解消を目指しましょう。

(新刊JP編集部)

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