だれかに話したくなる本の話

スピリチュアル全部やったけどダメ。窮地に立った会社社長の復活劇

今から14年前、それまで勤務していた会社で実績を出し、意気揚々と独立・起業した経営コンサルタントの西山公人さん。

しかし、すぐにビジネスに行き詰まり2億4000万円の負債を抱えてしまう。
そこで西山さんが手を出したのが、スピリチュアルの世界だった。

だが、とにかくスピリチュアルを実践するも、なかなか事態は好転しない。2015年には藁をもつかむ思いで、「引き寄せの法則」をテーマにブログを開設するもなかなか上手くいかない。
もがき続けて、もうダメだと思った2018年、転機が訪れて人生は一気に上昇していく。
そこで何が起きたのか?

その顛末と「引き寄せの法則」の本質をつづった『2億4000万円の大赤字を「引き寄せ」で何とかしました!』(光文社刊)について、そして人生の大復活劇の最中に起きていたことについて、西山さんご自身にお話をうかがった。

■「ありがとう1万回」も「アファメーション」も意味がなかった

――引き寄せの法則に関する本はこれまで何冊も読んできましたが、西山さんが極端にスピリチュアルに振れるなど、コメディチックで読み物として、とても面白かったです。これは実際のご経験なんですよね?

西山:はい、本当です。ですので、この本にも書いたアファメーションで「私はお金が大好きで、お金は私が大好きです!」という自分の声をスマホに入れて聞いていたところ、駅の中でイヤフォンが抜けて周囲に丸聞こえになってしまったというエピソードも事実です。まだ入っているので、聞いてみますか?

――はい、ぜひ。(音声を聞き)ああ、これは周囲に聞こえると気まずいですね…。今でも聞くんですか?

西山:今は聞かないです(笑)。ただセミナーなどで失敗例として使うことはあります。

――スピリチュアルに極端に振れた経緯を教えてください。

西山:もともとはスピリチュアルと無縁のゴリゴリのビジネスマンで、目標を達成するために必要なものは努力と気合と根性と思っていたくらいでした。

新卒で入ったコンサルティングファームで結果を出して、その子会社で役員となって上場を経験し、年収も2000万円くらいあったんですよね。そこで調子乗って部下を引き連れて独立をしてもう14年目になりますが、やることを決めないまま独立したので大赤字を生んでしまって(苦笑)。

――そこで追い詰められたと。

西山:こういう時に、人って死を選ぶのかな?と、それくらい考えました。で、現実に戻って、もうなす術がないから今までと真逆に振ろうということで、アポ取りもしない、目標も作らない、スピリチュアルに頼るということをとことんやってみたんです。その中で行ったことの一つが、さきほどのアファメーションです。

――「努力・気合・根性」とは真逆のことをやった。

西山:そうです。お金もないし、社員もどんどんやめていって、もう頑張りようがなかったんです。

スピリチュアルに振ったあとは、トイレを入念に掃除したり、「ありがとう」を1万回言ったり、『ザ・シークレット』に出てくるビジュアライゼーションを行ったり、後は「宇宙におまかせ」ですね。今思えば、宇宙におまかせしても上手くいくわけがないんですけど、実践していました。

――そのときは「引き寄せの法則」にこだわらず、スピリチュアル全般に傾倒していたんですか?

西山:そうです。ただ、スピリチュアルをずっと続けてきたけれど、なかなか活路を見いだせない。会社からは社員もいなくなり、家賃や税金も払えなくなりつつある。そんなとき、肉離れになって1週間会社を休むことになったんです。

――それはかなりのピンチですね…。

西山:普通ならそう思うところですが、その時、暇でたまたま手に取ったのが『引き寄せの法則 エイブラハムの教え』シリーズだったんです。さっそく読破し、自分なりに「引き寄せの法則」をネットで調べたら、ちょうど第二次引き寄せブームみたいなものが来ていると。後に有名になる方とかもちょうどその2、3ヶ月くらい前からブログで引き寄せ日記を始めていたタイミングで、「これは面白いじゃん!」と思ったんですね。

――それで引き寄せの法則をはじめようと。

西山:そうです。ブログを立ち上げて、毎日日記形式でつづっていって、本当に上手く成功を引き寄せられたら格好いいじゃん!くらいのノリでした。実際は。

――本書を読ませていただくと、スピリチュアルを実践して上手くいかない期間が数年あったことが分かります。なぜすぐに効果が出なくてもやめなかったのですか?

西山:そちらの方が、頑張るよりは打破できる可能性があると思っていたんです。淡い期待ですね。

――そして、2015年3月19日に『引き寄せ 会社社長のブログ』というブログを立ち上げ、そこから人生に少しずつ変化が出てきます。スピリチュアル分野で活躍されている方同士で交流されることもあると聞いたことがあるのですが、西山さん自身は他のスピリチュアル系ブロガーさんとの交流はあったのですか?

西山:実はないんですよ。知識の8割は本で、1割5分が他の方のブログ、残りがイベントやセミナーなんですが、それも1年に一度行くくらいでした。

――基本は書籍なんですね。

西山:そうですね。ただ、本の中身をそのまま鵜呑みにすると、実は間違った方法で実践することになることもあります。特に英語で書かれた本は翻訳の時点で間違ったニュアンスで書かれていたりということがあるんです。

例えば、これは2020年2月25日にブログで書いたのですが、『神との対話―365日の言葉』という本の中に「あなたの人生が「上向く」のは、あなたがそう選択したときだ。あなたは約束を信じ、そのとおりに生きなければならない。神の約束どおりに生きなければならない。」と出てくるんですね。

これは誤解釈してしまう可能性がある一文です。以前の私は、「選択」という前の「そう」という言葉を、「上向く」にかけて解釈していました。つまり、「私の人生が上向くと選択したときに、自分の人生は上向くのだ」と。

でも、何も変わらない。なぜかというと、解釈を間違えていたからです。これは「選択」を「思い出す」に変換して、その下にある「神の約束通りに生きる」という言葉を「それ」に引っ掛けたほうがしっくり来るんです。 「あなたの人生が上向くのは、神の約束通りに生きることを思い出したときだ」ということです。

――西山さんの今の解釈の方が、自分で選択するという思考を手放せていて自然体ですよね。

西山:今だったらこう解釈できるんですが、当時は分からなかったんですよ。

自分にキャッチコピーをつけるという方法も、スピリチュアルの世界では「なりたい自分になりきって振舞う」、「お金持ちになりきって高級ホテルのラウンジでお茶をすると良い」というんですが、本当の意味は、仮に自分がキャッチコピー通りの人になったとしたら、今現状の中で、自分はどういう振る舞いをするだろうかと考えながら生活することが大事だということなんです。

私は「ガッツリ稼いでいるカリスマ経営者で、講演家としても活躍中」というキャッチコピーを自分でつけましたが、そういう人が手持ち金のない状態で定食屋に行ったら何を食べるのか、そういう人が得意先に営業いったらどういう振る舞いをするのか。そういうことを考え実践することがポイントなんです。

――そして大きな転機となったのが、一昨年の夏です。大学進学予定の息子さんの学資ローン申し込みの審査に落ちてしまい、人生最大のショックの中で西山さんは「オレ、稼ぐ」という自分の心の声を聞きます。

西山:そうですね。「オレ、稼ぐ」と言って、ニヤリとしました。それまでずっと自分を動かしていたのは思考、つまりエゴでした。「こういう風に見られたい」「こうしたい」「こうしなくちゃいけない」…それらは全てエゴです。

ただ、学資ローンの審査が落ちた瞬間に「あ、もう頑張ってもダメなんだ」とエゴが気づき、自分を支配する座から降りたんです。代わりにその椅子に座ったのが「心」であり「魂」です。そして、心がエゴに対して「稼げ」と指令を出した。エゴはその指令を受けてどうすればいいかを思考する。健全な主従関係が生まれたんですね。

「稼ぐ」というだけの純粋な指令ですから、稼ぎ方のこだわりもなくなります。1対1にこだわっていた営業の仕方も変えて、自分の得意な「話す」ということを活かす形でセミナー形式にして1対複数の営業をするようにしました。

―― 一気に効率が上がりそうですね。

西山:はい、すごく生産性が上がりましたね。それまでは1対1で3回も5回も面談をして成約に結びつかないことも多かったのですが、1対10のセミナー形式で自分が得意な話術で勝負し、その中でお客を見つけるというスタイルに変えて、売上が急に伸びるようになりました。

(新刊JP編集部)

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