自主的に勉強する子はこう育てる!ポイントとなる幼児期に親がすべきこと
自分の子供にどう接していいのかわからなかったり、どんなしつけや教育をすればいいのかわからないという人は少なくないはずです。特に男性は子育ての知識が乏しいことから、すべてパートナーに丸投げしてしまうことも…。
でも、それは子供にとっても親にとってももったいないことかもしれません。
「子育てには父親にしかできないことがある」と語るのは、教育研究家で七田式教育の教育者である七田厚さん。七田さんは『お父さんのための子育ての教科書』(ダイヤモンド社刊)で、男性が子育てに関わることの必要性と、効果的な関わり方について解説しています。
お母さんとは違う、お父さんの子育てとはどのようなものなのか。七田さんにお話をうかがいました。その後編をお届けします。
■自主的に学ぶ子を育てるための幼児期の接し方
――子供の学力は親としてはどうしても気になるところです。子供が自主的に勉強に取り組むようにするのが理想だと思いますが、どんな働きかけをするのが有効なのでしょうか。
七田:極端に言えば「放っておくこと」なのかなというのが、子育ての大半が終わった今、思うことです。
ただ、幼児期と小学校に上がって以降では、接し方は変わっていい。幼児期は親が主体で、子供に学ばせる方がいいと思いますが、小学校に上がってからは子供の自主性に任せるのがいいと思います。
幼児期は学習習慣をつけたり小学校に入っても困らないくらいの素養をつけておいた方がよくて、それは親の役目です。そこまではやって、あとは本人に任せて、わからないことがあった時に教えるという感じですね。本人がやる気を出すまで待つというのは勇気のいることではありますが。
――どんな子にも何らかの才能があるといわれますが、子供の才能を見つけるためにどんな取り組みをしたらいいのでしょうか?
七田:とにかく色々な機会を与えることです。私の場合はそろばんや習字、ピアノといった習い事をさせたり、あちこちのイベントに連れて行ったりしていました。
親から強制するのではなく「これやってみたら?」という提案のスタイルですすめて、本人がやりたいといったことをやらせてみて、途中でやめてもいい。そこは自己責任でやらせていました。あとは子供が喜びそうな音楽イベントに一緒に行ってみたり…。
それと、おすすめなのは図鑑です。色んな図鑑を見せて、星座に興味があるようならプラネタリウムに連れて行ってみるなど、子供の反応を見て食いついてくるところを伸ばしていくというのはいいのではないかと思います。
子供がまだ経験していないことのなかに、大好きになることがあるかもしれません。宝探しのような気持ちで、子供に色々な場面を提供してみていただきたいと思います。
――最近のトピックですと、「子供にスマホを持たせるべきか、持たせるならいつ頃からがいいのか」というのも親の関心事です。七田さんのご意見をお聞かせ願えればと思います。
七田:幼稚園に行く前の2歳くらいまでは触らせるべきではないと思います。3歳くらいからは、お母さんが外でお茶をしている時に騒ぎ出してしまったらスマホで動画を見せておくとか一時的な使用はいいと思いますが、それでも常用はやめたほうがいいでしょうね。
脳細胞は、子供があちこち見たり聞いたり動いたりするなかで、目と手の供応動作によって育っていきますが、スマホを使う時に動かすのは指だけですし、視線は固まったままです。スマホは最近広まったものですから、子供に見せることの影響について、答えはまだ出ていませんが、「視線の固定化」は怖い気がします。
――1台与えるとしたら何歳くらいからがいいのでしょう?
七田:最大限早くて10歳からですかね……。そのあたりからは20時以降は親が管理するなど、制限をつけて持たせるのもいいのではないかと思います。
――共働きの家庭が増えている今、子育てに十分な時間をかけられない家庭もあるかと思います。こうしたなかで子供が親の愛情を感じたり、自己肯定感を持てるようにするために、どんな取り組みが必要だとお考えですか?
七田:一番は日頃の言葉がけだと思います。親子一緒にいる時は、親から見た子供のいいところや、良くなったところを教えてあげて、ほめてあげることで子供は親が自分を見てくれていると感じますし、自己肯定感を得ることができます。
逆に言葉がけがダメ出しメインになっていると、「どうして僕はダメなんだろう」という思考になってしまうので注意が必要です。
子供が親の愛情を感じたり自己肯定感を持てるかどうかは、一緒にいる時間の長さよりも、親子の絆を感じられる時間を作れるかどうかの方が大事だと思います。両親が仕事で忙しくて、子供は託児所などに預けている家庭もあると思いますが、そういう家庭でも、電話で会話をしてその日にあったことを3分でもいいので聞いてあげたり、ラインでメッセージを送ったりということはできるはずです。短くてもいいので、親子だけの濃密な時間を作ることを心がけていただきたいです。
――本書を読んで、自分の子育てが間違っていることに気づいた場合、やり直しはきくのでしょうか。
七田:能力的なことは別として、「自主性」や「根気」など生きていくための態度を身につけさせたいということであれば、いつからでも遅すぎるということはありません。この本を読んでいただいて、子育てについて間違っていたと思ったのであれば、そこから子供への接し方を変えていただければ大丈夫だと思います。
――最後になりますが、子育て中のお父さんにメッセージをお願いいたします。
七田:子育てをおおかた終えた今、思い出すのは、大変だったことではなくて、楽しかったことです。たとえば娘とピアノの発表会で連弾をするために練習した思い出であったり、親子で漢字検定の勉強をした思い出であったり、一生懸命子供と何かを一緒になってやったことが、今でもいい思い出として残っています。
もしかしたら、子供の方にとってはそんなに印象的な思い出ではないのかもしれませんが、でも、親にとっても子育てが終わった後に楽しかった思い出が残るのは大事なことです。プラモデルやジグソーパズルでもいいですし、料理を作るのでもいいので、「子供と一緒に何かをする」、「一緒に取り組む」ということをキーワードに子育てをしていただくと、親にとっても子供にとってもいいのではないかと思います。
(新刊JP編集部)