損得だけ考えて生きることは幸福といえるのか?
何かに悩んだ時、どのように解決策を見出すだろうか。
人に相談をしてアドバイスを受ける、ネットで探してみる。
それだけはない。本には先人たちの悩みやそれを解決した方法が詰まっている。
特に本の中でも「思想」について書かれた本は、ダイレクトに自分の悩みに効くものが書かれているかもしれない。
『世界の思想書50冊から身近な疑問を解決する方法を探してみた』(北畑淳也著、フォレスト出版刊)は、大阪を拠点にしつつ住所不定で活動する20代の思想家・北畑淳也氏が、50冊の思想書をあげ、「現実においてどうするか」という思想の切り口で紹介した一冊だ。
本書では思想を「現実において具体的にどうなるかを突き詰めたもの」と定義する。つまり、どのように考えて行動すれば理想の人生を歩めるか、という外向きの思考といえる。
では、どんな身近な疑問が書かれているのか。
例えば、善意が裏切られた場合、結局は自分の損得だけを考えて生きたほうが賢いのではないかと思ってしまう。では、損得を優先させることが理にかなっているのか、という疑問を考えるのにおすすめの一冊としてあげられているのが、アダム・スミスの『道徳感情論』である。
著者はスミスの考え方について、人間が生きるために損得勘定で動くことは避けられとしながら、「共感」を求める生き物と考えていると指摘する。
では、共感を求める行為が人間の本性とするなら、なぜ「共感」を求めるのか。著者は「適合性」というキーワードをあげ、「共感という相手の立場に立ってみることがうまくいくことで、社会に置ける適合性を実感できる」というスミスの考え方を述べる。
この「適合性」を持たすことができれば人生は幸福と感じられる。逆に言えば、損得だけでは人間は幸福を感じられるとは言い難いということなのだ。
思想書は現代に生きる私たちにもさまざまなことを教えてくれる。将来の不安を拭い去るにはどうすればいいのか。どう生きれば正しいと言えるのか。壁にぶつかるときはあるだろう。そんなときに指針となるのがこうした本たちなのかもしれない。
他にも本書では多くの思想書を取り上げている。何かに迷ったときに、指針となる思想書が本書の中から見つかるはずだ。
(新刊JP編集部)