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ソリューション提案がうまくいっていない企業にありがちな3つの勘違い

ただ商品を売っているだけで顧客が満足し、売り上げがたてられた時代は終わり。今は顧客企業の課題や困りごとを鋭く察知して、それを解決する手法として自社の商品をアピールするソリューション型のビジネスが求められる時代だ。

しかし、どんなところに顧客の困りごと、つまりニーズがあるのかという把握は簡単なことではない。ソリューション型ビジネスを重視している会社でも、顧客側の担当者からニーズを聞き出すことや、ニーズに合わせた提案の仕方でつまずいているケースは多い。

■あなたの会社が「ソリューション提案」をできない3つの理由

では、ソリューション型ビジネスはなぜうまくいかないのだろうか。
経営コンサルタントの高杉康成氏は、著書『「最強」ソリューション戦略』(日本経済新聞出版社刊)で、ソリューション型ビジネスが失敗する要因として「3つの勘違い」があげられるとしている。

顧客とのコミュニケーションや調査から、その顧客が抱えている問題や課題を発見し、それを解決するための商品を提案する、というのがソリューション型ビジネスの基本的な考え方だが、これは高いスキルを求められる仕事で、誰もができるわけではない。

だからこそ、マネジメント側はスキルの高い個人を採用したり、販売担当者や営業担当者のスキルを磨くといった方向に動く。つまりソリューション型ビジネスを体現できる「個人」を増やそうとしてしまうのだ。実はこれが一つ目の勘違いである。

二つ目は「デジタル化」である。
ネットワーク技術の進歩とともに、私たちの仕事はデジタル化し、個人や組織が扱う情報の量は圧倒的に増えた。そしてもちろん便利になった。

しかし、その陰で退化しているものもある。「対人コミュニケーション能力」である。
手持ちのデータを分析するだけで、顧客企業の深いところにあるニーズを察知できるはずがない。相手方担当者とメールでやりとりをしても同じである。もし、それで顧客企業の困りごとらしきものを見つけたとしても、それはきっと、相手からすれば大したものではないはずだ。今も昔も、顧客の本当の課題は、直接会って話をすることでしかわからない部分が多いのである。

だとしたら、企業が磨くべきは対人コミュニケーションであるはずだが、テクノロジーの進化によって、日々の業務でこの能力を磨く機会はどんどん減っているという現実がある。これもソリューション型ビジネスがうまくいかない原因だという。

ニーズを見つけるための「顧客の分析」にも勘違いが蔓延している。
自社の商品にどんなニーズがあるのかというリサーチを行おうとすると、どうしても視点が、顧客となりうる企業に集中してしまう。しかし、これでは顧客が求めるものがわからない。

本当に調査すべきは、顧客となりうる企業がどんな相手にどんなサービスを行っていて、どんな問題を抱えているか。つまり「顧客の顧客」なのだ。

■ソリューション型ビジネスは4つの要素の連動が必須

この三つの勘違いを踏まえるなら、ソリューション型ビジネスを機能させるために、まずやるべきは、

・個人頼みではなく組織的に顧客ニーズの把握力と提案力を高めていくこと
・業務のデジタル化と対人コミュニケーション能力の研鑽を両立させること
・顧客だけではなく、「顧客の顧客」まで見据えた分析を行うこと

ということになるが、本書によるとこれを組織として実現させるには

・ソリューション活動(顧客の潜在ニーズを把握し、提案する活動)
・教育システム(ソリューション型ビジネスに向けた人材育成)
・組織支援(個人の能力を生かすための支援と組織づくり)
・モチベーション向上(ソリューション活動の成果と従業員のモチベーションの関連づけ)

が連動することが必要になるとしている。

本書では、ソリューション活動に不可欠な、情報ギャップと開発情報を利用した情報収集活動や、自己成長型OJT教育システム、1割の人員の販売支援によって9割の販売担当者を生かす組織づくり、従業員のモチベーションを高めるための目標管理制度など、各項目に踏み込んだ解説がされている。

顧客を「そんなことまでできるのか?」と驚かせることができれば、そのビジネスには価値がある。自社の販売・マーケティングをレベルアップさせるために、本書は役立ってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

『「最強」ソリューション戦略』

「最強」ソリューション戦略

本書は、ソリューション提供を実現するための強い組織づくりについての初めての書。営業のやり方から、日常の報連相などの活動、ミーティング活動、KPI(重要業績評価指標)設計、SFA(営業支援システム)の活用方法、目標管理制度、人事評価制度のポイント、支援部隊のつくり方、販売ツールなどのポイントなど全体を網羅して解説します。

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