世にはびこる「降圧法」、実際はどうなの? 「ミスター血圧」の医師が指摘
よく知られていることでも、それが本当かどうか分からないということは多くあります。こと「健康」においては様々な情報が飛び交っていますが、専門的な知識がなければ何が正しいのかは分かりません。
東京女子医科大学東医療センター内科教授で「ミスター血圧」と呼ばれる医師・渡辺尚彦さんは、最新刊『血圧を下げる最強の方法 30年間×24時間 自分の血圧を測り続けている専門医だからわかった正しい降圧法』(アスコム刊)で、世間にはびこる降圧法にメスをいれます。
生活習慣病と言われる「高血圧」、気になっている人も多いでしょう。渡辺さんは医学論文でのリサーチだけでなく、24時間365日、自分の血圧を30年間測り続け、さらに世間の流行も追いかけてきた人物。そんな渡辺さんが指摘する内容とは?
■深呼吸の降圧は一時的なもの
渡辺さんによれば、緊張が解かれ、過敏になった交感神経が抑えられるので降圧効果はあるとのこと。しかし、それは一時的なもので、数分ですぐに元に戻ってしまうというのです。
最近メディアでよく取り上げられる降圧法は、深呼吸と組み合わせたものがほとんど。例えば、「深呼吸しながらツボを押しましょう」、「深呼吸ながらストレッチしましょう」といったように。こういった降圧法の効果は、実は深呼吸の効果にほかならずマユツバモノで効果も一時的でしかないと渡辺さんは言います。本当に正しい情報を見極める確かな目を持つようにしましょう。
■減塩のタイミングは「夜」ではなく「朝」
夕食、気合をいれて減塩食を心がけ、味気ない食事に辟易しているということはないでしょうか。渡辺さんはこの夕食での減塩は、頑張りの割に成果がそれほど高くなく、効率が良くないと指摘します。
というのも、起床前後はナトリウムを身体の中にためこむ作用があるアルドステロンをはじめ、レニン、アドレナリン、アルアドレナリンといった血圧を上げるホルモンがたくさん出てくる時間帯。この時間帯に塩分をとりすぎると、血圧が上昇してしまうというのです。1日の食事のどれかを減塩食にするのなら、夕食よりも朝食をすすめています。
■「ヘルシー和朝食」という幻想
一日の血圧を低く安定させるために、朝食を食べるようにアドバイスする渡辺さん。ただし、食べるものには要注意です。ヘルシーな印象の強い和朝食(味噌汁、ご飯、焼き魚や干物、漬物といった定番の組み合わせ)は、塩分過多になりがち。洋食にしても、パンやバターには見えない塩分が含まれていたりと、気をつけなければなりません。
塩分が低い朝食の例としては、グラノーラ(塩分が1食あたり0.1g)などがあります。しかも先に述べたように、朝食時の減塩は効率が良いとのこと。参考にしてみてください。
血圧を気にかけている人は多いでしょう。だからこそ、色々な情報に触れても惑わされない目を持ちたいですね。
(新刊JP編集部)