【「本が好き!」レビュー】『地図の物語 人類は地図で何を伝えようとしてきたのか』アン・ルーニー著
提供: 本が好き!タイトルの通り、古来から色々制作されてきた地図を集めた一冊です。
オールカラーで、地図も見開きページで紹介してくれており、様々な地図を楽しむことができます。
古い時代の地図は、自分たちが住む地域の回りしかよく分からず、遠方は空白地になっていたり、全くの想像で描いていたりして、過去、考えられていた世界というものがどういうものだったのかをうかがい知ることができます。
私達は、地図というものは北を上に書くものだと思い込んでいますが、これも約束事の一つであって、必ずしも北を上に書かなければ地図が書けないというわけではなく、実際に昔の地図を見ると上が北とは限らないのですね。
また、地図にはさまざまな目的があり、その目的に特化した地図も作られました。
この手の地図は普段見慣れている地図と比較するとかなり異色のものもあり、中にはこれは地図なのか?と思うようなものもありました。
例えば、ハレー彗星を発見したエドモンド・ハレーが作った磁気地図というのがあるのですが、これは見た目は普通の地図とそれほど違うようには見えません。
ですが、磁気偏角を表しているというのです。
磁気偏角というのは、船で地球を周航する際、羅針盤が必ずしも地図上の北を指すとは限らないということだそうで、そのズレを地図にしたのが磁気地図というわけです。
あるいは、マーシャル諸島で作られたスティックチャートというものがあるのですが、これはココヤシの葉柄(竹籤みたいに見えます)を格子状に組み合わせているものなんです。
一見どこが地図なんだ?と思ってしまうのですが、これは海のうねりや海流を表しているそうで、ところどころにくくりつけられている貝殻は島を表現しているのだとか。
読み方が全く分かりません。
これらの地図は、世界各地の様々なところに保管されているのですね。
ですから、本書のようにそれをまとめて収録してくれているというのは、様々な地図を見るためには大変有り難いことだと思います。
なかなか目にする機会の無い地図を眺めてみるのも楽しいと思いました。
(レビュー:ef)
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