だれかに話したくなる本の話

何者でもない自分に、戦略は必要だ—やりたいことがなくても「選べる自分」になれる

どんなキャリアを築くかは人生を左右する大切なテーマです。
自分のキャリアについて考える時、ほとんどの人は「自分のやりたいことはなんだろう」というところからスタートするはず。

「やりたいこと」を起点にキャリアを考えるのは、たしかに一つのセオリーではあります。ただ、「夢を持つことの大切さ」や「好きなことを仕事にする楽しさ」がしきりに語られるなかで、それは一種の「刷り込み」といえるのかもしれません。

「強みを生かす」も同様です。専門性や特技を生かすことでキャリアが開けるというアドバイスもほとんどの人が言われたことがあるはず。

でも「やりたいこと」がどうしても見つからない人、特技や専門性を身につけてこられなかった人もいるはず。こういう人は、やりたいことがないこと自体に焦りや不安を覚えてしまいがちです。

■「やりたいことが見つからない」は弱みではない

『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略  やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法』(森数美保著、日本能率協会マネジメントセンター刊)は「やりたいことがわからない」と感じている人に、自分の選択肢を広げる新しい視点をくれる一冊で、キャリア構築の「実践書」として大きな注目を集めています。

本書によると、やりたいことが見つかりにくい人にはこんなタイプが多いそうです。
・長期的な目標を持たない「Willなし人間™︎」
・何でも幅広くできてしまう「バランサー人間」
・自分の強みを認識しにくい「内向型人間」
・求められると何でもやってあげたくなる「奉仕型人間」

「Willなし人間」と聞くと一見「軸がない人」に見られがちですが、長期的な目標やビジョンがなくても目先のことには集中できるタイプともいえます。「バランサー人間」も基礎的な能力が高いからこそ何でもできてしまうわけですから、周りからは頼りにされているはず。「内向型人間」は積極性や社交性に欠けると思われがちですが、深い洞察力と思考力を備えており、ホスピタリティにあふれる「奉仕型人間」もチーム編成には欠かせません。

「やりたいことがない=能力がない」というわけではありません。どんな人にでも強みはあり、それはやりたいことがない今も、着々と磨かれています。だから、現時点でやりたいことがなくても、焦らなくて大丈夫。本書では、やりたいことがない人のためのキャリア戦略のポイントとして、こんなアドバイスをしています。

そんな私がたどり着いた結論は、「やりたいことが見つかった時に、すぐに掴める自分になる」でした。つまり、「できることを増やして、キャリア選択肢を最大化する」という戦略です。今の自分が「やった方がよいこと」に集中し、キャリアの選択肢を広げることに意識を向けました。(P33より)

「選択肢の多い状態」——つまり、「選べる自分」を目指すことは、やりたいことがない今でもできます。今やっている勉強や仕事を漫然とこなすか、「いつか自分の道が見つかった時のための準備」として意味づけるかで、未来はまったく違ってきます。だから、今やっていることに意義を見出そう。本書はそんなメッセージを伝えています。

やりたいことがないことも、武器になる専門性がないことも、決して悪いことではありません。まして、やりたいことがないと主体的にキャリアを送れないわけでもありません。

では、具体的にどう考えればいいのか。「やりたいこと」はなくても「ありたい自分」のイメージから自分の根本的な価値観に気付き、その価値観を軸にキャリアを考えていくやり方もありますし、際立った専門性がないことを逆手にとったキャリア戦略もあります。本書ではやりたいことがない人、専門性がない人が、自分が納得できるキャリアを構築していくにはどんな方法があるかについて解説していきます。

進みたい道がまだ見えなくても、自分の未来は、自分でつくっていける。

本書を読めば、自分に合ったキャリア戦略がきっと見つかるはず。新卒で社会に出たばかりの人も、これから就職をする人も、転職を考えている人も、今の仕事をこのまま続けていていいのか迷っている人も。キャリアに迷っているすべての人にとって、先を照らしてくれる明かりとなる一冊です。

「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略  やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法

「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略  やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法

キャリアの「Will」がない、キャリア目標を作ることに苦しむ方に届けたい、
やりたいことを見つけることを「前提としない」 キャリア戦略本!

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