だれかに話したくなる本の話

成長企業経営者が語る「社長と社員の理想の関係」とは

今勢いのある人、成功している人の言葉はおもしろい。彼らが仕事で心がけていることや人間関係の価値観、人生観などは、やはりどこか風変わりで、独特だったりする。たとえ「N=1」であっても、そこには世の中を生き生きと渡っていくための何かしらの真実が含まれているのかもしれない。

『社長の言 –KOTOBA–』(アチーブメント出版刊)の著者、松村洋平さんの言葉も、やはり独特だ。関西で急成長を続ける株式会社誠進堂を率いる松村さんはいかにしてこの本に書かれた言葉を紡いだのか。ご本人にお話をうかがった。今回はその後編だ。

松村洋平さんインタビュー前編を読む

■「尖ること」とは大多数と違う方向に向かうこと

――経営をしてきた過程で、思うようにいかないことや逆境も多々あったかと思います。逆境やピンチの時にどんなことを考えますか?

松村:正直、うまくいかないことだらけですよ。でも、逆境とかピンチの捉え方って目標の高さ次第だと思うんです。

エクササイズ目的でボクシングジムに通っている人は、スパーリングで一発殴られただけでも痛くて「もうこんなことやりたくない」となるかもしれません。でもプロボクサーになって世界チャンピオンになるのが目標だったら、スパーリングでちょっとパンチをもらったくらいでは何とも思わないでしょう。

僕も同じです。高い目標を設定していて、まだまだ駆け出しの領域だと思っていますから、うまくいかないことがあったりネガティブな状況に直面するのはあたりまえだと考えています。

――松村さんの目標とはどのようなものなのでしょうか。

松村:会社としては売上の数値目標があったりもしますが、一番高い目標は「日本中の中小企業を牽引していくような組織になる」というものです。これができたら我ながらお見事です。

日本の企業のほとんどは中小企業で、その中小企業の65%は赤字です。僕は、これは社会問題だと思っています。だから僕らが影響力のある強い組織を作って、様々な業界の中小企業の模範になりたい。死ぬまでにそれが少しでも実現できたらいいなと思っています。

―― 一方で、社員の方々は松村さんほど目標を高く持っていないかもしれません。そういう方が、物事がうまくいかなくて悩んでいたらどのようにアドバイスをされていますか?

松村:まずはその人が「どうなりたいか」を聞きます。山に例えるならどのくらいの高さの山を登りたいのか教えてもらうんです。これがファーストステップで、次にその山の高さに対して自分の現在地を把握してもらう。そうすれば頂上までの距離がわかるじゃないですか。

そうしたら、その距離を本当に埋めたいかどうか。埋めたいと思うなら、その距離はもう単なる課題ですから、落ち込んだり悩んだりする類のものではありません。歩けばいいだけなので。

自分の現在地も山の頂上もわからない状態が一番しんどいので、まずはそこを整理していくのを大事にしています。

――リーダーについての章が印象的でした。「チーム創りは活気創り」という言葉がありましたが、自分のチームや部署に活気をもたらすためにリーダーは何をすればいいのでしょうか?

松村:たとえばですけど、会社の中での単なる移動であっても、だらだら動くのときびきび動くのでは、どちらが「気の流れ」が良くなるかというと、僕はきびきび動く方だと思うんですよ。同様に笑顔でいるのと暗い顔でいるのだったら、笑顔の方が気の流れが良くなりますし、静かなのとコミュニケーションが活発なのでは、コミュニケーションが活発な方が、気が動きます。

活気が出る一番の要因は、そこに属している人が「ご機嫌」でいることです。だからご機嫌な状態をまず自分が作ればいいんです。そして、その機嫌のいいリーダーがニコニコしていたり誰かに話しかけたりすると、いい気の流れが広がっていきます。やっぱり不機嫌な人とは誰もいたくないわけですから。

――「いつ捨ててくれてもいい」とは書かれていましたが、社員一人一人の給与明細にメッセージを書いて、それがスラスラ書けるかどうかをその社員と向き合えているかのバロメーターにするのはすばらしい方法だと思いました。

松村:これはまだ社員が5人くらいしかいなかった時に始めたんです。便せんに書いて給与明細の封筒に入れようかと思ったのですが、それだと「残しとけよ」っていう雰囲気が出てしまって仰々しいじゃないですか。封筒の裏に書くならもらった方も捨てるやろと思って。これも自己満足です。感謝の気持ちを伝えたかっただけですね。でも、今もやっていますよ。

――社員の方一人ひとりにコメントが書けるっていうのは、それぞれと何かを共有していることの証だと思います。

松村:本当にただの自己満足なんですけど、みんななんだかんだとっておいてくれているみたいです。こちらとしてはいい習慣になっています。

――松村さんにとって、社長と社員の理想の関係はどのようなものですか?

松村:僕はやはり、仲間は家族だと思っているので、会社のメンバーへの愛情の強さは常に社内で断トツで一番じゃないといけないと思っています。社員たちはどうでしょうね……。おこがましいですけど、この会社で働いていること、僕と一緒の船に乗っていることを誇りに思ってくれたら、それが一番いいんじゃないかと思います。

僕は中学一年生の時にいじめを受けた経験があるのですが、その時に祖父母の存在が支えになりましたし、力をもらえたんです。それと同じように僕がみんなにとって力をもらえる存在になれるように、もっと自分を高めたいと思っています。

――また、松村さんご自身の半生についても書かれていますが、人生は人との出会いによって導かれ、開けていくものだということがよくわかりました。いい出会いやいい縁を作っていくためにどんなことを心がけていますか?

松村:「迷ったらGO」みたいなところはあるかもしれません。本に書いた半生は氷山の一角といいますか、もっとたくさんのアクションとアプローチをしてきたと思っています。

あとは、出会ってくれた人の予想を常に上回ることは大切にしています。そうすると心に残るじゃないですか。どんな形でも「びっくりさせたい」という気持ちは持っていますね。毎回できているとは言えないですけど。

――最後に読者の方々にメッセージをお願いいたします。

松村:自分の人生を良くしていくためには、ちょっと変わっているといいますか、尖っていないといけないと思います。尖っているというのは、つまり大多数と同じ方向にいかないということです。この本は変なことをたくさん書いているので、手に取っていただいて、おかしな価値観に触れて、「少数派」に一歩踏み込んでみるきっかけにしていただけたらうれしいです。

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