「結局何が言いたいの?」と言われてしまう人が知るべき世界標準の説明方法
ビジネスにおけるコミュニケーションには、プレゼンテーション、報連相、会議、あるいは謝罪や弁解など様々なものがありますが、突き詰めて考えると、どれも相手に何かを説明しています。つまり、ビジネス上のコミュニケーションは、多かれ少なかれすべて「説明」なのではないでしょうか。
だとすると、「わかりやすく説明できる力」はビジネスで成功する人の条件とは言えませんか?起こったできごとのいきさつや背景、事業の目的や事業を通して伝えたいメッセージ、失敗の原因、これらを誰にでもわかるように説明できる人がビジネスの世界で得をするのだと思います。
物事をわかりやすく説明するのは、誰に教わったわけでもなくできる「得意な人」がいる一方で、自分なりの工夫を重ねても「結局、何が言いたいの?」と言われてしまう「苦手な人」もいるように思います。では、説明上手な人の説明は、そうでない人の説明と何が違うのでしょうか。『世界標準の説明力 頭のいい説明には「型」がある』(岩澤康一著、SBクリエイティブ)では「説明」という行為を分解し、その本質に迫ります。
■「説明」を構成する5つの要素
わかりやすい説明をするためには、説明をいくつかの要素に分解して考える必要があります。上司に説明するときと恋人に説明するときでは適切な説明は違うし、日本人に説明するときと、外国人に説明するときでも違います。つまり「誰に説明するか」は大事な要素なのです。
また、「判断にいたった理由」を説明するのか、「身の潔白」を説明するのか、「自分の強み」を説明するのかによっても、説明の仕方は異なります。だから「何を説明するか」も重要です。
このように「説明」という行為を分解していくと、説明には
「誰に説明するか」……説明する相手
「何を説明するか」……説明する内容
「どういう状況で説明するか」……説明する状況
「どうやって説明するか」……メール、口頭、電話など説明する手段
「どうして説明するか」…説明の目的
の5つの要素があり、説明が上手な人は、これらの要素を明確に意識して、説明を組み立てていることが多いと思います。
■世界中で使われている説明の手法「メッセージハウス」とは?
では、説明とはどんな要素によって成り立っているのかを理解したうえで、どのように説明の内容を組み立てていけばいいのでしょうか。本書では、説明の構造として世界標準になっている「メッセージハウス」について紹介します。
メッセージハウスは説明内容を整理し、組み立てるための手法として世界中で広く使われています。
ハウスの左上には「説明の目的」、右上には「ターゲットオーディエンス(誰に説明するか)」という、説明にとってもっとも重要な2つの要素を書き入れます。説明でもっとも大切なことは、伝え手の目的と、受け手の都合の双方を踏まえること。だからこそ、この2つを明確にしておかないことには、説明の組み立てができないのです。
では、ハウスの方を見ていきます。屋根の部分の「キーメッセージ」には、「何を説明するのか」の中でももっとも伝えたいことが入ります。そして、キーメッセージを支えている3本の柱が「メッセージ」であり、これはその説明の要点でもあります。
最後に、ハウスの土台となっているのが「エビデンス」であり、これはメッセージの正当性を担保するデータや事実などにあたります。このメッセージハウスを活用することで、説明はわかりやすく、シンプルで、説得力を持つことになるのです。
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本書では、メッセージハウスを活用した説明の組み立て方や説明の方法を、具体例を交えて解説しています。この手法を使えば、あなたの説明は「結局、何が言いたいの?」とも「要はどういうこと?」とも、言われにくくなるのではないでしょうか。
加えて本書では、説明がさらに伝わりやすくなる方法も公開しています。メッセージをパワーアップさせる方法、伝えるチャンスを増やす方法、そしてとても難しいコミュニケーションのひとつ、「謝罪」を効果的に伝える方法もこっそりお伝えします。
ビジネスの場面だけではなく、プライベートでも、毎日の生活は説明の連続です。説明が上手になることで無駄なトラブルを避けられ、物事がスムーズに運んでいきます。本書の内容を実践すれば、このことを身をもって実感できるに違いありません。