モチベーションは私利私欲でもいい!「令和の虎」出演の起業家が語る成功の秘訣
ビジネスにおいて、自分で事業を興すのは一つの冒険だ。どんなに周到に計画したとしても、成功するとは限らない。それでもチャレンジする決断ができるかの最後の決め手は「どんな困難も受け入れる」という覚悟なのだろう。
『覚悟がすべてを変える 運とお金の正体』(安藤功一郎著、青志社刊)は人気YouTube番組「令和の虎」に出演する起業家の安藤功一郎さんが、自身の成功を支えた考え方と生き方を綴った一冊。リスクを負いながらもチャレンジを続けるメンタリティの源は何なのか。ご本人にお話をうかがった。今回はその後編をお届けする。
■「令和の虎」出演の起業家が語る「私欲が利他心に変わる瞬間」
――「覚悟」や「強い思い」こそが人生を動かす原動力だというお考えには共感できます。安藤さんが「自分は覚悟が決まった」と判断する基準のようなものはありますか?
安藤:ビジネスでいうと、何かを始めてうまくいかなかった時に失うものって「お金」と「時間」じゃないですか。命までは取られないわけで。この「お金」と「時間」を失ってもいいか、というのは考えます。もちろん、失わないようにやるんですけど。
――失敗しても命までは取られないというお話がありましたが、海外では場所によってはビジネス上の競合で危ない目に遭うこともあると聞きました。
安藤:そうですね。相手にも守るべき社員がいて家族がいるわけですから、邪魔な人間にはいなくなってもらいたいという気持ちを持つのは当然とは思います。だからこそ、海外でビジネスをする時はこちらも覚悟を決めてやらないといけません。
――タイでビジネスをされている安藤さんですが、ライバルはいますか?
安藤:いますよ。今の話でいうと、僕も拉致されたことならあります。
――ええ!?それは交渉して解放してもらったんですか?
安藤:そうですね。ただ、それでわかったことも多くて、特に外国人ですし、アウェーでは発言や、やり方次第で相手を刺激してしまうんだな、というのはその時に学びました。
――「お金持ちになりたい」「モテたい」といった私欲で成功を目指すのは悪いことではないと書かれていました。安藤さんもビジネスを始めた当初は私欲がモチベーションだったんですか?
安藤:私欲ですね。「あれが欲しい」とか「かっこいい経営者と思われたい」みたいなことをモチベーションにやっていたと思います。
――今でも私欲がモチベーションになっている部分はありますか?
安藤:ないわけではないです。ただ、昔は「かっこいい経営者と思われたい」というシンプルな欲求だったのが、「格好いい経営者とは」とか「今の自分はどんな人だと思ってもらえるか」みたいに、より具体的に自分の在り方を考えるようになったと思います。
「お金」ということでいうと、昔は「たくさん稼いで欲求を満たす」という思考だったんですけど、僕はもう生活をしていて欲しいものを買うだけだったら人生で使いきれないくらいの財産は築きました。だから、お金はもうゲームの「スコア」みたいな感じで、増やしていくこと自体にやりがいを見出している感じです。
――また、モチベーションとなる利他心についてもお話をお聞きしたいです。
安藤:それはもうたった一つで「日本をいかによりよい方向に持っていくか」というところです。この本の中で「国会議員になる」って書いているんですけど、それは本気です。日本を良くするためには、政界に出るしかない。それこそさっきの話にあったように「やらない後悔よりやって後悔した方がいい」という考えです。
――実現したい政策はありますか?
安藤:日本の場合、細かい問題はともかく出生率を上げないことにはどうしようもないので、新しく生まれた子どもに対して0歳から18歳まで毎年まとまった額のお金を支給する、という政策を提唱したいと思っています。
日本の出生率が低い原因は一つではないと思うのですが、子どもを生めばお金が儲かるならば産む、という人はいるはずです。「出産と給付金を紐づけてしまうと、給付金を子どものために使わずに浪費してしまう人が出てくる」という議論もあると思いますが、それはそれでいいと僕は思っています。お金の使い道を子どもの教育や衣食住に限定する必要はない。それで経済が回るなら、メリットはあるわけで。
――ご自身のなかに「経営者としての理想像」のようなものがありましたら教えていただければと思います。
安藤:具体的に誰が目標というものはないのですが、僕としては成功している経営者もしていない経営者もみんな尊敬しています。どんな経営者であっても、事業をやる以上みんなチャレンジをしている。それだけでも立派なことだと思います。
何であってもチャレンジしている人はかっこいいですし、僕も誰かの人生をワクワクさせられる人でありたい。僕は仕事が好きですから、ビジネスの楽しさを少しでも教えてあげられる人でありたいですね。
――最後に、本書の読者となる方々にメッセージをお願いいたします。
安藤:「死ぬこと以外かすり傷」っていう言葉は本当で、ビジネスなんて命までは取られません。だからどんどんチャレンジしようと言いたいですし、やりたいことがあるならどんどんやった方がいい。
そもそも会社の10年生存率は10%以下です。どんな人がやっても起業ってうまくいかないんですよ。ダメでもともとという気持ちで気軽にチャレンジしてほしいですし、今回の本が何かビジネスでチャレンジしてみたい人の背中を押すものであればうれしいですね。
(了)