だれかに話したくなる本の話

リーダーシップを持つことで人生が好転する意外な理由

「リーダーはかくあるべし」という理想像が語られ、数々の実績を持つ経営者がリーダー論を説いた本が書店に並ぶのを見ると、リーダーの役割やリーダーシップを取ることには重大な責任が伴い、自分にはその資質がないと考えがちだ。

『無重力リーダーシップ』(クロスメディア・パブリッシング刊)は、リーダーシップにまつわるそんな思い込みや気負いを壊す一冊。リーダーシップはもっと気軽で、そしてもっとカジュアルでいい。そんなメッセージを伝える著者の礒谷幸始さんに、AI全盛の現代におけるリーダーシップについて語っていただいた。今回はその後編をお届けする。

礒谷幸始さんインタビュー前編を読む

■リーダーシップに正解はない だからこそ楽しめばいい

――「リーダーシップはOSというよりアプリのようなものかもしれない」と指摘されていました。これは「リーダーはあるべき資質ばかり重視するのではなく、その場に応じたコミュニケーションを」という理解でいいのでしょうか。

礒谷:そうではありません。OSのバージョンアップって大変ですよね。人間でいうOSは考え方や在り方の話だと思いますが、それを変えようとするには大変な思いや今までの成功を手放す勇気がいります。

リーダーシップはOSとなる基本的な考え方や在り方を変えるような大きなことではなく、アプリケーションをインストールしてみるようなことだと思います。アプリケーションってインストールして一旦使ってみないと良し悪しがわからないですよね。それだけ気軽で楽しいものだということを伝えたかったんです。

――礒谷さんご自身、リーダーシップで失敗したり、壁にぶつかったエピソードがありましたら教えていただきたいです。

礒谷:私が初めて仕事でリーダー職になったのは27歳の時だったのですが、当時の部下に42歳の人がいたんですよ。向こうからしたらいきなり15歳下の若造の下についたわけです。それはうまくいかないですよね。

性格も水と油で、私はパッショナブルにチームを率いるタイプだったのですが、相手は冷静なタイプというか、こっちが盛り上げても「そういう暑苦しいのはやめてもらっていいですか」みたいな感じでした。結局その人とはうまく信頼関係を築けなかったのですが、リーダーシップについて考えるきっかけにはなりましたね。当時は「こいつが悪い」と思っていたのですが、そういう考えだとリーダーシップを発揮できる人の数が限られてしまうじゃないですか。

それに、スポーツのチームと会社ではメンバーのモチベーションも違います。私は日本一になったチームにいましたから、基本的にはメンバーの勝利へのモチベーションは高いわけです。でも、会社だと休日を楽しみに嫌々働いている人もいますよね。そうすると、やっぱりマッチするリーダーシップも変わってくる。

――確かにそうですね。

礒谷:でも、そうやって考えると、リーダーシップって奥深いと思いませんか?

――奥深いです。それにリーダーシップというものがすごく難しいように思えてきます。

礒谷:それは、おそらく失敗が頭にあるからでしょうね。でも、正解なんてないですし、失敗してもいいじゃないですか。「もっと気軽にチャレンジして、気軽に失敗しようぜ」っていうメッセージもこの本にはあります。

――リーダーになるのを尻込みする理由として「自分には資質がない」と考えて自信を持てないことだけでなく「リーダーになるメリットがわからない」というのもあると思います。礒谷さんが考えるリーダーのメリットや醍醐味のようなものはどのようなものですか?

礒谷:リーダーの醍醐味やメリットは、正直会社によるところが大きいので、ここでお話しできることはありません。

ただリーダーシップは、これまでのお話にもあったように、恋愛や遊び、飲み会など日常生活のさまざま場面で誰もが発揮している能力ですから、この能力を高めることは誰かを喜ばせたり、自分の人生を楽しくすることにつながります。リーダーシップは自分を幸せにするためのものなんです。

――最後に、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

礒谷:リーダーシップは正解がないものです。だからこそ、肩肘張って考えずに、もっと気軽にチャレンジしてほしいですね。正解がないのだから常にバージョンアップすればいいですし、それ自体を楽しめばいい。

そして、今の話にあったように、自分が幸せに生きるためにリーダーシップは少なからずあって損はないものです。だから、この本で一番に伝えたいことは「幸せになろうよ」なんです。

(了)

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無重力リーダーシップ

無重力リーダーシップ

立命館大学アメフト部を大学史上初の日本一に導いた元キャプテンによる、AI時代のリーダー論!

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