経営がV字回復!会社を蘇らせる「カイゼン思考」の要諦とは
企業の経営者は日々様々な経営課題と向き合っている。それはすぐに解決できるものなどほとんどなく、今すぐ解決できなかったり、解決しようとしてみたもののうまくいっていなかったり、どう解決すればいいのかわからないものも多々あるはずだ。
そうした困難で根強い経営課題の改善のために、長年製造業で使われてきた「カイゼン」の考え方を応用することを提案しているのが『経営課題をすべて解決するカイゼン思考 利益最大化・資金繰り安定・組織健全化』(川越貴博著、現代書林刊)だ。
著者の川越貴博さんは「カイゼン」の生みの親であるトヨタ自動車の出身。このインタビューではトヨタで得た経験と学び、そして「カイゼン」の手法を会社経営に応用することの意味についてお話をうかがった。その後編をお届けする。
■経営がV字回復!会社を蘇らせる「カイゼン思考」の要諦
――本書で書かれている「カイゼン思考」の考え方はどの会社にも通じるものなのでしょうか。
川越:そうですね。これまで100社以上の会社様と関わらせていただいたのですが、その中には経営がジリ貧で「助けてください」という状態の会社が10社ほどあって、そのうちの7社をV字回復させてきているので、「カイゼン思考」は業種問わず様々な会社の経営改善に使えるという手応えは感じています。だからこそ、今回本にさせていただいたのです。
――会社の規模も関係なく、応用できるものなのですか?
川越:クライアント企業の中には超大手企業も、中小零細企業も、スタートアップベンチャーもあります。業種業態や規模はあまり関係ないと考えています。
――どういった困りごとが多いのでしょうか?
川越:中小零細企業の場合はそれこそ「経営を立て直したい」「とにかく売上を上げたい」というご相談が多いです。経営全般に関わるものが多いですね。
あとは新規事業を始めるためにある会社を買収したけれど、PMI(M&A後の統合プロセス)がうまくいっていないから現場のプロとして見てくれないかといったご相談もあります。会社全体のアイデンティティやパーパスの構築を手伝ってほしいといった依頼もありますね。
――本書の最重要ポイントとなっているカイゼンのプロセス(見える化する、目指すべき姿を決める、予測する、行動する、評価する)のそれぞれのポイントと注意点を教えていただければと思います。
川越:「見える化する」は、主観を排して、客観的・定量的に行うことが大切です。会社の問題点はパッと目につくものばかりではなく、隠れていることも多々あります。また、問題なのに当たり前になりすぎて問題だと気づきにくいケースもあります。
「目指すべき姿を決める」のは現状を把握したうえで目標を定めるプロセスなのですが、手の届く目標を定めることがポイントですね。現場のマネジャーが上司を喜ばせようと手の届きそうもない目標を立ててしまうこともあるので。
「予測する」は、定めた目標を達成するための行動によってこんなことが起きるというのを予測することです。ここでは「いい結果」が出た場合のことだけでなく、そうでなかった場合のことも予想しておきましょう。
「行動する」は「目指すべき姿」に近づくためのアクションプランに沿って施策を実行すること。ここでは全従業員に「失敗してもいいし、下手でもいいから、とにかくやろう」という意識づけをすることが大切になります。
「評価する」は「自己評価」と「費用対効果評価」「第三者評価」の三つの側面から評価していくことがポイントです。
――本書をどう使うかについてアドバイスをいただければと思います。
川越:経営者の方のみならず従業員の方々の人材育成の教科書としてや行動研修や全体最適視点を身につけたい時に常に携帯していただいても活用できる書籍となっています。
「カイゼン思考」は考え方なので、私生活からちいさなところを少しずつ変えていくことで、積もり積もって大きな変化に結びつくということを体験していただけると、人生が好転するきっかけになるのではないかと思います。その方が仕事にも取り入れやすいですしね。
――最後に本書の読者となる会社経営に携わる方々にメッセージをお願いいたします。
川越:会社経営をしていると課題が0になることはありません。何か課題に直面した時に本書が課題解決のお役に立てると確信しております。なぜなら私自身がこれまで多くの企業でカイゼン思考を用いて課題解決を体現しているからです。ぜひ会社経営のバイブル本にしていただいて、より良い豊かな会社経営を実現していってください。
(新刊JP編集部)