製造業の最強哲学「カイゼン」で組織の課題を解決する方法
トヨタ自動車が提唱する「カイゼン」は、これまでに製造業の生産現場を中心に多くの企業で行われてきたあまりにも有名なフレームワークであり、生産性向上のためのある種の「哲学」である。
この「カイゼン」の粋は、つねに現状を疑い、見直し、絶え間なく修正を施すこと。この積み重ねによって全体として大きな効率化を成し遂げることができる。となると、製造業以外にも応用できるのではないか。
■製造業から生まれた「カイゼン」が組織のあらゆる課題を解決する
カイゼンとは、製造現場において、単に業務効率化するための取り組みではありません。
現状を正しく認識して課題を見つけ出し、解決策を速やかに実行に移し、その結果を検証していくのです。(p.5より引用)
『経営課題をすべて解決するカイゼン思考 利益最大化・資金繰り安定・組織健全化』(川越貴博著、現代書林刊)は、製造業で行われてきた「カイゼン」を業界や業種を超えて応用できる「カイゼン思考」にブラッシュアップ。日々経営の現場で起きている様々な課題を解決していくことを目指す。
1. 見える化する
自社の現状を把握し、見える化する。カイゼンすべき課題を洗い出す。見える化は客観的・定量的に行う。
2.目指すべき姿を決める
洗い出した課題を解決した先にある「あるべき姿」を決めて、具体的な目標を設定する。
3.予測する
目指すべき姿に至るための具体的なアクションプランを決める。そして、その行動を起こしたのちに自社がどう変化するかを予測する。希望的観測に陥らないよう、最悪の事態も想定しておく。
4.行動する
アクションプランを実行する。その結果どのくらい改善されたのかという変化を記録しておく。
5.評価する
「自己評価」「費用対効果評価」「第三者評価」の三種類の評価を行う。
カイゼンのプロセスはおおむねこの5つ。5まで行ったら再度1に戻り、新しい課題を見つけ対処していく。製造業の現場だけでなく、経営の現場でも威力を発揮するサイクルである。
思ったように利益が出ない、資金繰りが安定しないといった経営上の課題に対して、「カイゼン」の手法をどのように使えばその課題の解決につながるのか。本書では5つのプロセスのそれぞれについて、実例を交えてポイントを解説していく。
組織全体を見わたすことができるのは、経営陣のみ。各部署にとっては「善」でも、会社全体としては「悪」である状態は決して珍しいことではない。こうした「部分最適」の中に組織の課題が潜んでいることは多い。
自社の表向きの課題の中に潜む「真の課題」を見極め、それを解決することができれば、組織は必ず伸びていく。その方法を本書は授けてくれる。経営者必読の一冊である。
(新刊JP編集部)