だれかに話したくなる本の話

「本当に今のままでいいのかな?」と悩む人たちに教えたい、もう1本の人生のレールのひき方

愛知県常滑市にあるワイナリー・ネイバーフッドは農家レストランを併設し、きれいな夕焼けを見ながらワインを飲んだり、アメリカンスタイルな料理を楽しむことができる。

このワイナリーレストランを15年かけて育ててきたのが、株式会社ブルーチップ代表の馬場憲之さんだ。いちご農園やハンバーガーショップなどの事業も展開し、その勢いを加速させている馬場さんだが、ブルーチップを立ち上げたのは40代になってから。

なぜ、こんなにもバイタリティがあるのか。そして、どんな人生を送ってきたのか。馬場さんのすべてが語られている著書『RAIL 人生には2本のレールが訪れる』(ゴマブックス刊)についてお話をうかがった。その後編では、これからのブルーチップについて語っていただいている。

インタビュー前編はこちらから

■「どんなレールの上を行くにしても、それはあなた自身が選択すること」

――今は常滑にワイナリーレストランを開業されていますが、本書を読むと法律的な部分でクリアしていかないといけないことも多かったそうですね。

馬場:農地にレストランをつくってはいけないという法律があったので、その部分をどうやってクリアしていったかということもこの本に書かせていただきました。詳しくは読んでいただければと思うのですが、ちょうど2015年に僕たちのワイナリーがある愛知県全体が国家戦略特別区域に指定され、ブルーチップファームの農家レストランも無事に国家戦略特区における認定事業になりました。その意味でもすごく運が良かったと思います。

――馬場さんが諦めずに行動を起こしたからこその結果ではないでしょうか。

馬場:そうですね。農家レストランをつくりたい。ワイナリーレストランをつくりたい。その夢をいろんなところで語ってきました。それが愛知県庁の方の耳に届いて、わざわざ話を聞きに来てくださったりして、「国家戦略特区」という道があることを教えてくださったわけですから、思いは言葉にしないと伝わらないんですよね。

――常に発信し続けるわけですね。

馬場:発信していれば、誰かしらがご縁をつないでくださることを実感しています。

――また、この本を読んで意外だったのが、馬場さんはお酒がほとんど飲めない体質だということです。それでもワイナリーにこだわったのはなぜですか?

馬場:そうなんです、実は僕はお酒がほとんど飲めません。仕事柄、試飲会などで飲む機会はあるのですが、ワイングラス半分弱くらいにとどめています。そんな自分がなぜワイナリーを、と思った方もいるでしょう。

アメリカには自分の意見をはっきり言い、相手の意見を聞くディスカッションの文化があります。そして、そのコミュニケーションのツールの一つしてワインがあり、アルコールがあるんです。文化とワインや食が密接に結びついている。そうしたアメリカンなカルチャーを表現したいという思いがありましたし、ぜひ僕らの店でそれに触れてほしいと思っています。

――現在はワイナリー、農家レストラン、ハンバーガーショップなど幅広く事業を展開されています。ご自身のビジネスが軌道に乗ったという手ごたえをつかんだ瞬間はありますか?

馬場:まだまだ“on the way”です。ただ、以前ならばできなかったようなこと、たとえば本を執筆するということもそうですけど、それができるようになったという点ではビジネスのステージが上がっていることを実感します。

それでも自分が思い描いているゴールにはまったく到達していません。ワイナリーにたくさんの方が来て、そこで幸せな時間を過ごしてもらう。毎日満席でオーバーフローしている状態が1、2年は続かないと自分の中で納得はできません。

――馬場さんの納得のレベルの高さが垣間見えます。

馬場:もっとできることがあると常に思っています。たとえば、今日50万円売上が上がったとして、それで「良かったね」ではなくて、もう少し頑張ったら60万円いったんじゃないかと考えるわけです。そうやって、何かできることを探します。

ただ、これも体力がないとできないことだと最近思うようになりました。

――「体力がないとできない」というのは?

馬場:僕は今56歳なのですが、たとえば10年後に同じモチベーションでいられるか、ということですね。年齢とともに体は衰えていきますから。だから体力には気を使うようにしています。体力の上にメンタリティが乗っていると思っているので。

――馬場さんの元気の秘訣はなんですか?

馬場:早寝早起きです。朝5時半に起きて、日の出とともにランニングをしています。走っていると頭がクリアになって、スイッチが入ります。夜は22時になるともう眠くなりますね。睡眠時間は7時間半から8時間しっかり取ります。

そのおかげか、年齢を重ねていくにつれて、バイタリティもどんどん上がっています(笑)。20代のときよりも40代のときの方が体力はありました。“Age is just a number.”ですよ。ただ先ほど言ったように、これから先さらに年を取るなかで、体力が落ちてくることもあるのかもしれないとは思います。

――本書の『RAIL』というタイトルについてお話をうかがいます。「人生には2本のレールが訪れる」とあって、1本はもともと乗っているレール、もう1本は自分で敷いていくレールという意味だと思いますが、今、自分が乗っているレールから乗り換えることは難しいのではないかと思います。人生を変えたいけれど、今ある生活は捨てられない。そういう風に悩んでいる人にどんなことを伝えたいですか?

馬場:無理に生きるレールを変えなくてもいいのではないでしょうか。今のレールだけで生きていくことも一つの人生です。ただ、新しい人生を踏み出して、明るい未来を歩みたいと思っているのであれば、新しいレールを敷くことが必要です。

「誰かに決められたレール」に乗るのも悪いことではありません。たとえば親の会社を継がなければいけないという状況も、不幸せかといったら必ずしもそうではないでしょう。そういう生き方もあります。

結局どんなレールの上を行くにしても、それはあなた自身が選択することです。もし、今乗っているレールが不本意ならば、それに抗うこともできるはずです。だから、どのレールの上に乗るかは自分自身でしっかり決めてほしいですね。

――今、馬場さんが考えていらっしゃる、これからのビジネスの展望について教えてください。

馬場:この本をきっかけに仲間が増えることを期待しています。新しいカルチャーを生み出して、多くの方に幸せを届ける場所をつくるには、仲間がたくさん必要です。これから事業をさらに拡張していきたいと考えているので、僕たちの仲間に加わりたいと思ったらぜひ手をあげてほしいですね。

また、今後は海外にも事業を拡大していきたいと考えています。働いている人たちがわくわくするような会社をつくりたいと思うと、やはり仲間が必要ですし、事業の拡張もそうですし、海外にも目を向けたカルチャーをしっかり作っていくことも大事になります。やることはたくさんありますが、自分たちの未来に期待しかありません。

――ブルーチップではどのような方が働いているのですか?

馬場:転職組が多いです。もともとやっていた仕事に釈然とせず、自分の道を歩みたいという思いで入ってきたスタッフも多くいます。また、農業と向き合って野菜や果物を育てたいという強い意志を持って入ってきたスタッフもいますね。

――馬場さん自身は主体的に動ける環境が楽しいとおっしゃっていましたが、ブルーチップもそうした会社にしようとしているわけですね。

馬場:そうですね。結局、自由じゃないとつまらないですから。そうした自由な空気の中で能力を発揮してもらえたら嬉しいです。

――最後に、本書をどのような人に読んでほしいと思っていますか?

馬場:今の生活に釈然としていなくて、やりたいことがあるという人にはぜひ読んでほしいです。また、目標が見つからなかったり、夢を持っていないという人にとっても何かヒントになるかもしれません。

一緒に夢を見ながら仕事をしてくれる仲間を増やしたいと思っています。もし興味を持ったら、ぜひInstagramでDMをください(笑)。

(了)

■馬場憲之さんInstagram
https://www.instagram.com/bluechip_co_ltd/

インタビュー前編はこちらから

RAIL 人生には2本のレールが訪れる

RAIL 人生には2本のレールが訪れる

40代はまだ何者でもなかった。誰にだって2本目のレールは訪れる−−。

40代で起業したものの、ワインのことを何も知らず、そして一滴もお酒が飲めなかった著者が、なぜワイナリーやワインレストランを経営するに至ったのか?
特別なコネクションはなかった。あったのは、迷わずに行動を起こすことを徹底することだけだった。その力は誰もが持っているが、ためらったり悩んだりするうちに、その力を発揮することができないでいるのだ。
ではなぜ著者は、その迷いを断ち切り行動を起こすことができたのだろう。
そして行動の先に見えてきた、人生2本目のレールとは。

本書では著者である馬場憲之氏の少年時代から現在までの変遷や、その迷いなき行動力のエピソードの数々が散りばめられている。
仕事や人生で行き詰まっている人、憧れの未来を追い求めているが不安に思っている人など、今悩んでいる全ての人に読んでほしい! 人生を豊かにするための第一歩目のスイッチは、自分のなかにある!

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