だれかに話したくなる本の話

これからの時代のリーダーに求められる資質とは?

リーダーとして先頭に立ってメンバーを引っ張ろうとしているけれど、どうも上手くいかない。価値観が変わり、どのようなリーダー像を目指していいのかわからない。

そんな人にとって『新時代のリーダーに必要な12のチカラ』(幻冬舎刊)は指針となる一冊だ。本書で書かれているのは、これからの時代のリーダー像。メンバーを引っ張るだけでなく、チーム全体を俯瞰し、個々の能力を引き出す力も求められる。そのために必要な「12の力」を紹介している。

今回は本書の著者であり株式会社サンコミュニケーションズ代表取締役社長の深澤哲洋さんにリーダーのあるべき姿についてお話をうかがった。今回はその後編だ。

インタビュー前編はこちらから

■リーダーに向いている人の特徴とは?

――3つ目の力である「トライ系」の「やめない力」「お任せ力」については、どうしても失敗がつきものですよね。その失敗との向き合い方についてはいかがでしょうか。

深澤:うまくいかないことや続かないことを周囲の環境や他人のせいにしないことが大切です。たとえば「お任せ力」だと、部下に任せたけれど失敗した。それを部下のせいにするのではなく、自分のフォローが足りなかったなど、自分の責任だと考えるんです。

任せた仕事を部下が失敗してもそれは上司の責任です。任せるのが早かった、能力が足りていなかったと部下の責任にせず、自責思考になることが大事なことだと思っています。

――「傾聴力」を含めてリーダーは我慢をする力が必要にも思えます。

深澤:おっしゃる通りで、僕も我慢の日々みたいなところはありますし、会社でそれぞれのユニットのリーダーを任されている人たちも苦労している様子がうかがえます。ただ、自分についてこいというリーダーシップだと上手くいかないということも分かっているので、そこは我慢ですね。

――「リーダーの育成」という点については、特別に何か声掛けをしているということはあるのですか?

深澤:本の中で「エンパワーメント」と表現しているのですが、リーダーに権限や裁量をかなり委譲しています。そして、その部下たちはリーダーの指示に従うようにしているので、リーダーの考えを尊重して会社が動くようになっています。もちろん、売上の目標であったり、大きなルールは上で決めますが。また、リーダーに権限を委譲するぶん、対話を十分にするように心がけています。

――深澤さんご自身で本書の12の力の中で一番得意なものはなんですか?

深澤:「采配力」は得意だと思います。昔、レストランのアルバイトでバイトリーダーをしていたことがあって、10箇所くらいのポジションをまとめていたのですが、誰をどのポジションに配置してどう動かせば、手際よく料理をお客様に出せるかということを常に考えていたりしました。

この経験は会社に入ってからも、イベントのスタッフのオペレーションを考えることに活きましたし、会社経営においても役に立っています。常に俯瞰して全体を見ながら、足りないところをフォローしたり、人員配置を考えたりしていますね。

――深澤さんが考えるリーダーに向いている人の特徴について教えてください。

深澤:先ほどの回答と重複しますが、自責思考の人はリーダーに向いていると思います。あとは「寄添い力」ではないですが、人に寄り添えて、良いところを見つけてあげられる人もリーダーの資質を兼ね揃えていると思いますね。また、周囲に気配りができるということも大事かもしれません。

これまでの先頭に立って我が道を行くリーダー像とは真逆のように思えますが、自分なりのリーダー像というのは今お話ししたようなことができる人のことです。もちろん推進力や突破力も必要で、自分もすべてのことをみんなと考えながら決めているわけではないのですが、部下や社員には寄り添う姿勢を見せるほうがいいと思いますね。

また、「いじられ力」も大事だと思っていて、接しやすさや相談しやすさがあった方が、何か問題が起きたときも早めにキャッチしやすくなります。

――接しやすさを出すために、意識的にやっていることはありますか?

深澤:意識していることは、相手が誰であってもあまり呼び捨てにしないことですね。また、自分より年齢が上の人には社員であっても敬語を使うようにしていて、立場が上だからといって高圧的な態度をとらないように気を付けています。

――本書はこれからリーダーを目指す人も読まれると思います。リーダーを目指すうえで、最初に身につけるべきおすすめの力を教えてください。

深澤:簡単なところで身近なものとしては「感謝力」ですね。当たり前のことなのでわざわざ書かなくてもいいのかもしれませんが、それでもやはり感謝をする気持ちは大事です。感謝を伝えていれば相手からも嫌われないでしょうし、逆に感謝されることもあります。日々の小さな感謝を忘れないようにする。それは誰でもできることです。

――感謝力が高まると自分にとって良いことがたくさん起こりそうですね。

深澤:そうです。感謝することで喜びが増えたり、ポジティブになれたり、ストレスが軽減するといったこともありますし、人間関係が良くなって仕事が楽しくなったりもしますよね。

部下側からしても、上司から「ありがとう」と言われるだけで気持ちがだいぶ違うと思います。その点でも、自分は感謝を伝えることを意識してやっていますね。

――最後に、本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

深澤:もちろんリーダーとして頑張っている方々もそうなんですが、これからリーダーを目指す若い方や、リーダーになったけれど上手くいかずに悩んでいる方にもぜひ読んでほしいです。良いリーダーになるために必要なことを書かせていただいたので、参考にしてもらえると嬉しいです。

(了)

インタビュー前編はこちらから

新時代のリーダーに必要な12のチカラ

新時代のリーダーに必要な12のチカラ

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