悪しき伝統?「宿題」に効果はあるのか
親であれば我が子の学力はどうしても気になるもの。
勉強がすべてではないが、できないよりはできた方がいいのはまちがいない。でも、子どもの学力を伸ばすために親は何ができるのか。
『小学生30億件の学習データから導かれる 算数日本一のこども30人 を生み出した究極の勉強法』(文響社刊)は、全世界でオンライン教育事業を展開する「RISU」が各国の小学生から収集したデータをもとに、子どもの成績を大きくアップさせる学習メソッドや子どもへの親の接し方を解説していく。
今回は著者であり同社の代表取締役社長の今木智隆さんにお話をうかがい、子どもの成績や学力が伸びる勉強法や日本の教育の問題点について語っていただいた。その後編をお届けする。
■宿題は悪しき伝統?その効果のほどは…
――宿題の効能に疑問を呈されているのが印象的でした。宿題は復習であって「新しい学び」がなくても特に問題はないのではないかと考えていたのですが、宿題を廃止できるとしたら代わりにどんなことをするべきだとお考えですか?
今木:小学生のうちは興味あることを調べ学んだりする時間や、読書の時間、身体を動かす時間も必要です。将来受験をするにしても基礎的な体力は必要です。努力してきても当日体調を崩せばそれで台無しになってしまうわけですから。
――「宿題」はその日学校で学んだことの復習として有意義なのではないかと考えていました。今木さんが考える問題点はどんなところにあるのでしょうか。
今木:授業で理解できて、問題も解けているのであれば、さらに家でまたやる必要はないと考えています。それなら自宅ではもっと先の内容を勉強した方がいいでしょう。
逆に授業でわからなかった場合も、理解していない以上宿題として家でやってもやっぱりわからないケースが多いんです。気持ち的にも乗らないですしね。だから本では宿題の効果に疑問を呈しています。
――また、親が子どもにたくさんの習い事をさせることの問題点を指摘されていました。小学生の場合、学校が終わってから寝るまでの時間はせいぜい4、5時間ですから、学習塾を含めてあまり習い事が多いと、先ほどおっしゃっていたような「読書」や「調べ物」の時間がなくなってしまいますね。
今木:そうですね。習い事自体が悪いわけではなくて、1つか2つ子どもが本当に好きで興味を持っていることを習わせるのはいいと思います。ただ、多くても3つくらいが妥当なのではないでしょうか。
成績優秀者であったり東大生に聞くと、習い事はあまりやってなかったという人が多いです。やっていたとしても1つか2つとか。
――子どもの学力を伸ばす点において一般的に「正しい」とされている方法で、今木さんが「実はまちがっている」と考えているものがありましたら教えていただければと思います。
今木:最近多いのは「プログラミングを習ったりパズルで遊ぶと算数が得意になる」など「~~をすれば、〇〇が得意になる」というものです。
プログラミングを習うことはいいことだと思いますが、プログラミングを習ったらプログラミングが得意になるし、パズルをやっていたらパズルが得意になるだけで、算数は得意になりません。算数を得意にしたければ算数をやるしかないです。
――最後に小学生の子どもをもつ保護者の皆さんにメッセージをいただければと思います。
今木:子育てについて「これが良い」と言われるものを取り入れようと思うのは親心として当然のことと思います。ただ、本書にも書きましたが、世の中にはまちがった俗説もあふれているのが実情です。
よく「これをやったら自分の子どもは東大に受かりました」みたいな勉強法が紹介されていたりするじゃないですか。
――ありますね。東大だったり海外の有名大学だったり。
今木:その子の努力はすばらしいですが、その勉強法自体はどんな人にも当てはまる「正解」ではなく、たまたまその親子にはまっただけだということはわかっておくべきだと思います。親はわが子をよく見て、その子に合った勉強法を採り入れてほしいです。本書がその一助になれば幸いです。
(新刊JP編集部)