だれかに話したくなる本の話

「一滴の水の粒」の旅が教えてくれるもの

『ひとしずく』(幻冬舎刊)

これは人間が滅多に入ってこない深い山奥の、とても小さな主人公の物語である。

最後に山奥に人間が入ってきたのは、かれこれ百年も前になるという。そこには手つかずの自然が広がり、さまざまな動植物たちが種を残そうと貪欲で、とても美しい世界が広がっている。

厳しい冬が終わり、早春の光が差し込むある朝。雪をかぶった1本のクマザサの葉の上で、この物語の主人公が目を覚まそうとしていた。
その主人公が「ひとしずく」だ。

ひとしずく

ひとしずく

“生きること”を思い出させてくれる、ちいさな主人公「ひとしずく」の旅。
はじめて世界と触れ合った瞬間をとじこめた宝石箱のような物語。