フィリピン株投資家に聞く 今、「フィリピン」に注目すべき理由
政府から「貯蓄から投資へ」という方針が打ち出され、日本でも少しずつ投資が定着してきているように見える。
その一方で、「急に投資と言われても」と戸惑ってしまう人もいるだろう。
投資の中でも代表的なものの一つが「株式投資」だ。そしてこの株式投資のマーケットは日本だけでなく、世界に目を向けることも可能だ。
町田健登氏は仕事に赴任したフィリピンで投資の勉強を始め、フィリピン株投資で資産を増やし、31歳で純資産1億円を達成した。そんな町田氏の著書である『社畜会社員から資産1億つくった僕がフィリピンの株を推すこれだけの理由』(ぱる出版刊)には、初心者でもフィリピン株に注目すべき理由が書かれた一冊となっている。
ではなぜ、フィリピン株に注目すべきなのか。その理由について町田氏にお話を聞いた。
(新刊JP編集部)
■経済成長に人口増加 今、フィリピン投資に注目すべき理由とは
――まずは町田さんとフィリピンのつながりからお話いただければと思います。本書にも書かれていましたが、海外赴任でフィリピンに移住したそうですね。
町田:そうなんです。経緯をお話すると、社会人2年目に結婚をしたのですが、いわゆる授かり婚で、現実問題として全然お金がなかったんです。
それまでの私は、一生懸命働いて節約をして地道に蓄えて、豊かになっていく。そういう価値観を持っていたのですが、そんな悠長なことを考えている余裕はないと。社会人2年目ですから給料も少ない。子育てで共働きは難しい。養育費もかかる。
どうしたらお金が増やせるかと考えたときに、物価の安い国に移住し、そこで生活をするということを思いつきました。幸い英語は得意だったので、英語圏ということでフィリピンを選び、転職をしてその会社のフィリピン駐在員として働き始めました。
ただ、余裕のある暮らしができるかと思いきや、まったくそんなことはなく、いくら働いても環境も待遇も劣悪で、上司のパワハラもすごい。朝から昼まで毎日説教をされ、人格否定も日常茶飯事。さらに、フィリピンでもマニラのような大都市ではなく、郊外の片田舎が赴任地だったため、生活環境もストレスになっていました。妻も仕事を手伝ってくれていたのですが、夫婦ともども精神的に追い込まれてしまったんです。
――その中で「投資」、それも「フィリピン株」に出会ったのはどういう経緯だったのですか?
町田:そんな時にロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』という本を、パワハラ上司とは別の上司から勧められたんです。「お金に不安があるなら、これを読みなよ」という感じで。
当時は電子書籍も今ほど手軽に読める環境ではありませんでした。そんな中で日本語の本はすごく貴重で、とりあえず読んでみようと思ってページを開いたところ、「ラットレースから抜け出すためには収入の柱を増やしなさい」というメッセージに強い感銘を受けたんです。
さっそく動き出すわけですが、本当は日本の不動産や株式から始めたかったんです。でも、住民票を抜いていたので、銀行のローンも引けず、日本の証券口座も開設できず、結局フィリピン現地でできる投資しか選択肢がなかったというのが経緯です。
――すぐにフィリピン株への投資は始めたのですか?
町田:すぐだったと思います。ただ、フィリピン株の売買をするための証券口座の開設ですとか、株式売買の方法を調べるのには苦労しました。インターネットで検索をかけても情報がほとんど出てこなくて、直接関連会社のオフィスを訪問して話を聞いたりしていました。
――本書にも「デメリット」として詐欺まがいのことをする業者がいるということが書かれていました。町田さんは本当に情報ゼロからスタートしていて、実際に詐欺被害にも遭われています。やはり始めた当初は手探りで、恐怖感もあったのではないでしょうか。
町田:それはありました。本当に口座が開けるか分からなかったですし、入金したお金が着金するかも分からなかったです。でも、やるしかないわけで。それに最初から大金を投資するつもりは全然なくて、恐る恐る少額でトレードを始めていました。
また、どんな銘柄があるかも分からない状態だったので、まずは身近な企業の銘柄を買うことにこだわりました。ホームセンターの銘柄ですとか、コンビニの銘柄ですとか。ただ、ラッキーだったことに、当時まだフィリピン株のプレイヤーが少なかったこともあって、その後の市場の右肩上がりに乗れたんです。それは大きな自信につながりました。
株式投資の基本は「安く仕入れて高く売る」であり、大事なことはマーケット選びです。これさえ間違えていなければ初心者でも成功できるということを実感しましたね。
――やはり現地在住ならではの強みがあったのではないでしょうか。
町田:ゼロから情報収集するという意味では、フィリピンに住んでいたからこそ成功できたとは思います。そうして失敗しながらつかんだ知見やノウハウをつめこんで、フィリピンに住んでいない方でもフィリピン株にチャレンジできる情報をシェアしたのが、今回の本になります。
――ただ、新興国への投資についてはやはり躊躇するところもあります。スリランカのように財政破綻してしまう国もありますし…。そんな中で、フィリピンの魅力を町田さんはどのように捉えていますか?
町田:アジアの新興国と比較すると、フィリピンほど投資環境が揃っている国は、ポジショントーク抜きにしてもないと思います。
結局は株価の上昇ってマーケットの拡大なんです。フィリピンはアジアの中で5カ国しかない人口1億人超えの国の一つで、まずそもそもマーケットが大きい。さらに、今後も人口は増えて続けるとされていて、特に若い人の割合が過半数を超え続ける「人口ボーナス」といわれる期間は2050年まで続くといわれています。これが大きな魅力の一つ目です。
二つ目は言語です。同じ1億人超えの国だとインドネシアがありますが、インドネシア語が使えなければ投資は難しい。けれど、フィリピンは英語圏ですから、英語がある程度わかれば参入が可能です。
また、上場会社を見てもフィリピンは270社あるんですが、株価もリーズナブルで、外国の人でもIPO(新規公開株)が購入できます。リスクを取りたくなければ2000円くらいから始められるのは魅力ですね。それに、フィリピン証券取引所に上場しているトップ30銘柄で構成された株価指数として「PSEi(Philippine Stock Exchange Composit Index)」があるのですが、10年間で4.3倍になっています。そうした成長力も魅力です。
――なるほど。経済成長は確かに魅力ですね。
町田:フィリピンは今ちょうど一人あたりのGDPが3200ドルくらいなのですが、経済学的には3000ドルは一つのラインになっていて、経済成長がまだ一段階変わって、そこからさらなる成長を遂げていきます。
もう少し経ってしまうと株価も高くなってしまうでしょうし、その意味でもちょうど面白いタイミングなのだと思います。
――「情報弱者は100%負ける」と書かれているように、情報の収集は勝つためだけなく、騙されないためにも重要です。よくやってしまいがちな、ダメな情報収集はどのようなものがありますか?
町田:フィリピンの企業の情報が手に入りにくいというところはありますよね。仮に少しばかり英語ができたとしても、新聞記事を読んだところでそれが上場企業なのかも分からないし、翻訳を間違うと痛い目にあうかもしれません。
だから、今のフェーズでは、信頼できる日本の代行・仲介業者を見つけて進めていくのが一番の近道になるのですが、その「信頼できる」代行・仲介業者を見つけるというのが大変です。
本書でも書いていますが、口座開設を代行すると言って入金させて、結局開設せずに逃げたりする業者もあるようです。また、トレード経験がなかったり、セミナーにフィリピンの財閥銘柄を一切理解していない先生を呼んだり、ファイナンシャルプランナーの資格を持っていなかったり、フィリピンに在住経験がなかったりといったところは注意ポイントですね。
この点はフィリピン株で成功するためにすごく大事なので、ぜひ本を読んで参考にしていただきたいです。
(後編に続く)