「孫子の兵法」に書かれている「最も良い勝ち方」とは?
「孫子の兵法」は紀元前500年頃、中国春秋時代の軍事思想家である孫武によって書かれた兵法書だ。1904年に開戦した日露戦戦争では、日本海軍の作戦立案を担った秋山真之が、孫子や村上水軍などの古典からも多くの知見を得て、日本を勝利に導いたといわれている。
戦いのノウハウが記された書ではあるが、ビジネスや人生をいかに有意義に生きるかという生き方など、実は「孫子の兵法」はあらゆる場面で役に立てることができる。
『図解大人のための孫子の兵法』(遠越段著、叢小榕監修、総合法令出版刊)は、そんな「孫子の兵法」を、忙しいビジネスマンも速習できるように、1つのテーマについて「読み下し文(原文)」「現代語訳」「解説」「図解」の4つの視点から紹介した一冊だ。
■最も良いのは「戦わずして勝つこと」である
では、どんなことが書いてあるのか。
孫子が一番強調していることは、戦争や競争に負けるということは、自分の生命や財産、人生を失うもので、あってはいけないこと、ということだ。だからこそ、無意味な戦いをしてはいけないし、絶対に勝たなくてはいけない。そして、最も良いのは戦わずに勝つことである。
敵国を破って戦争に勝つことは、自国の兵を一部にしても消耗させ、死なせてしまう弊害もある。そして、敵国の人に憎まれたり、国土の復旧にお金がかかってしまったりもする。だからこそ、「敵と戦わずに勝つ」ことが理想の在り方として目指すべきだという。
普段の生活においても、戦わずにこちらの言うことをわかってもらえるようにする。あるいは、譲れないところを理解してもらえるようにするのが一番いいだろう。
そのためにも、戦わずに目的を達するように普段から対策を立て、本物の実力を身につけることを心掛けなくてはいけない。
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2500年に及んで読み継がれている「孫子の兵法」から、現代の私たちも仕事で、人生で活かすところがたくさんあるはず。「敵と戦わずに勝つ」術を本書から学んではどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)