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【「本が好き!」レビュー】『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族" 』クリストファー・マクドゥーガル著

提供: 本が好き!

ある寒〜い冬の日、封書をポストすべくセータのままで雪道をスノトレで走ってたら腰と膝裏が痛かった、おやっ なんで? っと驚きつつも寒いから≒200m往復を完走はしたが、久しく走っていないことを憶いだしていた、、のは はや10年も前である、

そして、いま、わが股関節にはチタン合金製ステーとセラミックの受皿とのあいだに7mm厚の高分子緩衝材がインプットされているが、ほぼまともになってきたのでインターバルスローランを始めていたところなのだった、、

何はともあれ走り回りたいっと渇望する老いの将である、
幼子を遊園地や広場に連れ出せば、車から降りるやいなや先ずは走りだすものだ、ここに自明の理がある、
もともと短距離走とか歩くのは好きなのだけれど、長距離ランは苦手であった私、
本書によれば、人は生まれながらにしてランナーなのだそうです、
獲物を追うために走り、敵から逃れるために走る、♀を捕まえるために走り、♂をスルーする為に走る、、走ることは生きる為であり、生きている事の証なのである、

裏付けある走るための知識とその効用、面白く為になるスゴイ挿話が満載です、
走り方.食べ物.クツについてとか、小説風味の感動的なおもしろいノンフィクションであるばかりでなく、示唆する処はきわめて重大且つ広い、いちいち納得出来る、

これまで常識とおもわれ且つ私も信じてきたこととは全く違う...走るための知恵と走ることの意味、
肉食はもってのほか、食べものは調理すべきではない、全粒粉果物野菜を基本とした食生活にすべきであるっとか、健康維持のためには有酸素運動が必要であり、走ることはすべての健康のための特効薬なのだっとか、身体はショックを受けないと柔軟にならない、
老いるから走らなくなるのではなくて、走るのをやめるからどんどん老いてしまう、というのです、
驚くことばかりなのですがなにやら私にも出来きそうで試したくなることばかり、
その向こうに人間の出自と運命がある、哲学です、走りたくなってしまいます、
不思議の国アメリカとメキシコ...人も自然もあきれるほどスゴイわ、
走ることが好きでいつも楽しく走るウルトラランナーたち、
いつでも標準タイムはクリアできるのにオリンピックのマラソンには興味を示さない...制約が多く目標設定とかトレーニングがキライらしい、
必ずしもトップに為ることが良いのでもない...難しい超長距離トレイルが魅力らしい、
走るそのことに意味があるのだ、
「長い距離を走ってると...何もかもが静まりかえって在るのは純粋な流れだけになる自分と動作とその動きだけ」 という悟りにも似た? 境地になるらしい、
メキシコの走る民タラウマラ族と孤高のカバーヨ・ブランコ、走りの導師的コーチ&科学者ジョー・ヴィヒル、走るスーパーウーマンのアン・トレイン、スコット・ジュレイク、自らもランナーの硯学者エリック・オートン、、

スゴイ面白い人が多様ですねアメリカは、
愚か者ばかりではないアメリカ、アメリカ人は金銭の亡者ばかりでもないことがわかった、

タイトルの意味がここにきて理解できた圧巻白眉のCp.28、
ネアンデルタール人はあらゆる面でホモサピエンスを上まわっていた、筋肉骨格も寒さにも強く脳も大きかった、われらよりはやく言語を習得した可能性が高い、ヨーロッパ大陸で1万年の併存の後ネアンデルタール人は姿を消した、何故か?

四足動物が走るとき1歩につき1呼吸だが、人間ランナーは随意、皮膚発汗による冷却システムもある、他の哺乳類はもっぱら呼吸による、脳を使った推理力と体力としての持久力を駆使した追跡狩猟民族の狩人のDNAが私にはあるのだ、

NYシティーマラソンのタイム統計からわかったこと、19歳を振出しにランナーたちは毎年速くなり27歳でピークに達し下降するが驚くべき事に19歳往事のタイムに戻るのは...何と64歳なのだという、

人間には身心の相克がある、
身体は動かすために創られているが脳は常に効率を求める、少ない元手で多くを獲得しエネルギを保存し緊急時に備える企てをする、つまりサボろうとする、身心一如であるのにその脳が身体の優れた耐久力を衰えさせつつある、
"楽に.軽く.スムースにそして速く" っとエリックはいう、かかとではなく足先から着地するフォアフットストライクの走りとかベアフット、すぐには無理なのはあたりまえ、
フルマラソンを完走する同年の知人はサンダル履きでタイムを縮めている鉄人68号である、
"楽に.軽く" これだけでも難しい、やってみてわかるが、まずはやってみよう、

いま、「アニマ」ワジディ・ムアワッド を読んでいて、ヒトの本来本分をおもっていた、、
過去は死んでいない、
それは過去ですらない、のだよ 君たち、、

ぼくらは生まれつきのランナーなのだ、
走るのは楽しい事なのである、
楽しいから走るのです、
〈わたしたちは走り始めたときに人類になったと、生物学者は考えている、たぶんわたしたちは、人類であり続けるために、大いに歩き、走らなくてはならないのだ、肉体的精神的な機能を停止した、機械での移動を強いられる怠惰な生き物になってしまわないように、、体を動かすことから得られる奥深い満足感は、どんどん機械化されていく世界で、人という生物の本質へ意識を向けさせてくれる数多くのきっかけのひとつだ、子どもたちの姿を――子どもたちが本能から楽しく、遊びで走っているようすを、じっと眺めてみるといい〉

(レビュー:脳裏雪

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BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"

BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"

この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。
「どうして私の足は走ると痛むのか?」その答えを探すなかでクリストファー・マクドゥーガルは世界でもっとも偉大な長距離ランナー、タラウマラ族に行きつく。

その過程でわかったこと―わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ―メキシコの秘境を彷徨う謎の白馬、現代社会と隔絶して暮らす“走る民族”、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたち、そして、世界が見逃した史上最高のウルトラレース…全米20万人の走りを変えた、ニューヨークタイムズ・ベストセラー。

この記事のライター

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