だれかに話したくなる本の話

会社の成長が止まる…社長がボトルネックになる会社

年商5000万円であっても、年商100億円であっても、経営者ならば事業や会社の成長を目指す気持ちは同じ。しかし、やはり誰もが望み通りの結果を得られるわけではない。

売上が停滞していたり、新事業が当たらなかったり、経営上の壁にぶつかっているなら、「経営者である自分」の仕事や考え方から見直すべきかもしれない。会社の規模や年商ごとに、経営者に必要とされるマインドも、やるべき仕事も違うからである。

『ゼロから年商10億円企業を創る』(松本剛徹著、ぱる出版刊)は、そんなことを教えてくれる一冊だ。会社はステージごとに直面する問題の性質が変わるため、それに対処するために経営者自身が自分を変えていかなければいかない。

今回は著者の松本剛徹さんにインタビュー。年商1億円未満から年商10億円まで、会社が直面する問題について語っていただいた。その後編をお届けする。

松本剛徹さんインタビュー前編を読む

■社長がボトルネックになって成長が止まる会社と伸び続ける会社

――社長がボトルネックになって会社の成長が止まるケースもあると書かれていました。これは具体的にはどういうケースなのでしょうか?

松本:これは簡単で、社長が全部ひとりでやろうとがんばりすぎているケースです。

――年商1億円までは、営業から商品開発、事務にいたるまで社長が一人でこなすケースは珍しくないそうですね。

松本:そうですね。ただ、年商5億円くらいになってもまだその状態だと、それ以上の成長ができなくなってしまいます。社長が一生懸命目の前のことに取り組みすぎると、案外会社は伸びないことが多いんです。

――がんばって目の前のことに取り組んでいないと不安なのかもしれないですね。

松本:そうですね。そして、そういう経営者ほど、仕事を他の人に任せるのが苦手だったりします。結局、仕事は任せられないと会社は大きくならないんですよ。社長がボトルネックになるというのは、そういう意味です。

――今回の本は経営者に上場やM&Aといった「ゴール」を提示しているのが特徴的です。本書で目安としている「年商10億円」に達すると、このようなゴールが見えてくるということでしょうか?

松本:ゴールは人それぞれなのですが、たとえばバイアウトをするとなった時に、売上1億円で利益1000万円の会社をバイアウトするといっても、そこまで高く売れるわけではないんです。バイアウトの時に得られる金額は最終利益の3年分から5年分くらいなので、多くて5000万円ですよね。

決して少ない金額ではないですが、一生安泰というわけでもない。

――たしかにそうですね。

松本:でも、売上10億円で1億円の利益が出ている会社であれば3億円から5億円は入ります。それならおそらく一生大丈夫ですよね。バイアウトをするなら、そういう金額でゴールを迎えられるように、この本では「年商10億円」を一つの目安にしているんです。

――今おっしゃったような、売上10億円利益1億円の会社であれば、事業売却するとなったら買い手が簡単に見つかるものなんですか?

松本:いえ、そんなに単純ではないです。買う側は自分の事業や会社とのシナジーを考えますから、そこで合理性があるなら買いましょうとなるということです。売上や利益だけで決まるわけではないです。相性があるという点では結婚に似ているかもしれません。

――タイミングについてはいかがですか?

松本:これはもうまちがいなく、バイアウトするなら右肩上がりの時期です。

――そういう時期は経営者も「もっと伸びる」と思うはずなので、なかなかそのタイミングで売却するのは難しそうですね。

松本:そうですね。だから、ちょっと落ちかけた時に売ろうとするんです。だから買い手が見つからないという。買い手からしたら、この先見込みがないから売ろうとしているんだなと思いますからね。

――今回の本はすでに会社を経営されている方だけでなく、これから起業する人や、今まさに起業を考えている人にも学びが多い内容です。「どんな風に使ってほしい」「こんな読み方をすすめる」というようなものがありましたら教えていただきたいです。

松本:今、会社を経営している方は、自社の年商ステージのところを繰り返し読んでいただけたらと思います。経営していると本当にいろいろな壁にぶつかるので、そのたびに開いて、ヒントになるところを見つけていただきたいですね。迷った時に帰ってくる場所として使っていただけたらうれしいです。

これから起業する人、いつか起業したいと思っている人は、実際に起業して事業をやってみたらこんなことが起こりえるということを知っておく意味でも、この本は役に立ってくれると思います。

――最後に読者の方々にメッセージをいただけたらと思います。

松本:年商が上がっていくにつれて、社長の役割や仕事は変わってきます。だから、経営者はどんどん自分を変えていかないといけないのですが、その時にこれまでの成功体験が足かせになることがあります。

たとえば年商5億円を超えて、これから10億円を目指そうというとき、本当はこれまでやってきたことや自分の仕事、メンタルなどを変える必要があるのですが、「これでうまくやってこれたんだから」と、そのままのやり方に固執してしまう人が多い。それだと、社長自身が会社の成長のボトルネックになってしまうんです。

過去の成功にとらわれず、うまくいっていたことも大胆に変えていくことが、経営者には必要です。今回の本はそのことをわかっていただくためにもいいのではないかと思っています。

(新刊JP編集部)

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