薬膳は美味しくない? そんなイメージが変わるレシピ集の中身とは
薬膳というと、どんなイメージを持つだろうか。
手間がかかるとか、健康には良いけれども味が…といった感想を持つ人は多いかもしれない。
『大人気レストラン「然の膳」の世界一美味しいカンタン薬膳ごはん』(田中奏多監修、アスコム刊)は、体に良くておいしい食事をコンセプトに、医療施設や自治体を中心に全国展開するレストラン「然の膳」がプロデュースしたレシピ集だ。
「然の膳」は薬膳をベースにしたメニューを提供しているが、「美味しい」と評判を呼び、現在急拡大している。確かに、このレシピ集を読むと「これが薬膳なの?」と思えるような美味しそうなレシピがぎっしり。さらに健康にも良いというのだからぜひ試したくなる一冊だ。
ここでは、「然の膳」を手掛ける株式会社フードテックジャパンから社長室広報担当の山下さんにこの冬におすすめの薬膳料理や薬膳をもっと知りたいと思った人への勉強法などを教えてもらった。
(新刊JP編集部)
■旬の野菜を使った寒い冬にぴったりの美味・薬膳料理は?
――このレシピ集から特に今の冬の季節にすすめたいレシピは何ですか?
山下:「鶏肉とかぶのにんにく酒粕煮込み」はぜひ作ってほしいと思います。
鶏肉、かぶ、にんにく、味噌、酒粕のすべての食材が体を温めてくれるんです。今年の冬は寒波が来たりして寒い日が多いので、ぜひ体の温まる食材を摂ってもらって、ポカポカにしてほしいですね。
ちなみに1月6日から全国の「然の膳」で、期間限定でこのメニューを出しています。ぜひこの寒い冬に食べていただいて、体を温めていただきたいです。
――まさに冬にぴったりのメニューですね。やはりその季節の旬のものを使うのが理想なんですね。
山下:そうですね。例えば夏なら、熱が体内にこもってしまったり、食欲が出なかったりという不調が起こりやすいですが、そういう不調に対しては夏野菜を食べるといいんです。それに、その季節に食べたほうが美味しいですから、効能と美味しさとダブルで良いんですよね。
――また、本書のレシピは全般的に塩分も控えめですね。
山下:薬膳といいながら高塩分だと変ですから(笑)控えめになってはいますが、味はしっかりとついています。
――まさに薬膳のイメージを一掃する本ですね。
山下:はい、まさにそうなれば嬉しいですね。
――「然の膳」は全国の医療機関や自治体に入っているレストランなんですよね。だから、あまり馴染みがないという方も多いと思います。
山下:そうですね。全国の大きな病院がメインで、自治体の方にはグループ店舗が入っています。だから、病院や役所に行く機会が少ない方は馴染みがないかもしれませんね。
――ここで掲載されているレシピはもともと「然の膳」で出しているものだけではないのですか?
山下:「然の膳」で出しているメニューを少しアレンジしているものもあれば、全く新しいメニューもあります。
実はさきほどの「鶏肉とかぶのにんにく酒粕煮込み」だけでなく、期間限定のメニューとしてこのレシピの中のメニューを「然の膳」で出したことがあります。その第1弾が「彩り野菜のえびマヨ」と「黒糖杏仁豆腐、五穀米トッピング」です。
そして、第2弾は「薬膳スパイシーローストビーフ 黒ごまソース」を展開しました。クリスマスシーズンにこの期間限定メニューを出したのですが、見た目もすごくよくて、味も美味しいです。
――このレシピ集を読ませていただいて、「薬膳」と聞くと和食のイメージがあったのですが、洋食にもなるのだなと驚きました。
山下:そうですね。食材と食材の組み合わせが大事であって、どんな料理でも、イタリアンでもフレンチでも和食でも、薬膳に変えることができます。
――薬膳をもっと知りたいと思った人は、どういう風に勉強すれば良いでしょうか?
山下:本書ではレシピ以外にも薬膳の基本的な考え方を書いているので、まずはそこを読んで理解していただければと思います。また、他の食材の効能をもっと知りたいということであれば、『食材の力辞典』という本を弊社から出版しています。そこには、それぞれの食材がどういう性質を持っていて、どういう効能があるかをまとめていますので、その本を活用していただきつつ、勉強していってもらえるといいのかなと思います。
――このレシピ集をどのような人に読んでほしいと考えていますか?
山下:やはり健康を考えている方にはまず読んでほしいと思っています。例えば、大切なご家族、大切な人のために毎日考えて献立を作っているかと思うのですが、そういう誰かの健康を考えている方にレシピを実践してほしいですし、もちろん自分自身の健康を考えている方にもぜひ読んでほしいですね。
――では、最後にこのインタビューの読者の皆様に読みどころやメッセージをお願いします。
山下:今、皆さんの健康意識はすごく高まっていると思いますが、ご自身の健康はもちろん、一緒に過ごされているご家族の健康、さらには遠くに住んでいるおじいさん、おばあさんといったいろんな方の健康を、食事を通して変えていきたいと思って、幣社はこの本をつくりました。
ぜひ、いろんな方に手に取っていただいて、少しでも皆さんの健康な食生活に貢献してもらえれば幸いです。
(了)