腰・ひざ・股関節の痛み 一生自分の足で歩くために知るべきこと
「人生100年時代」と言われるようになって久しい日本ですが、寝たきりになってまで長生きしたい人は少ないはず。大事なのは「健康寿命」であり、もっと言えば「何歳まで自分の脚で歩けるか」という「歩行寿命」です。
人が歩行できなくなり、寝たきりになる原因の一つが、膝や腰、股関節といった体の関節部の不調。整形外科医であり背骨や関節手術の名医として知られる三輪道生医師は、これらを「腰ひざ股関節シンドローム」と呼び、著書『腰ひざ股関節シンドローム 100歳までシャキッと歩くために知るべきこと』(幻冬舎刊)で、その実態と対処法を解説しています。
■筋力は維持できても、関節は消耗していく
まず知るべきは、「関節は消耗品」ということ。
だから、若いうちから運動をして体力や筋力の維持を図ったとしても、関節(具体的には、骨と骨の継ぎ目にある軟骨)の摩耗は止めることはできません。そして、軟骨のすり減りやひび割れとともに、骨が露出し、痛みが出るようになってきます。
「痛み止めを飲んでも、サプリメントを飲んでも、注射をしても、筋トレをしても、軟骨が再生することはありません」と三輪医師は指摘する一方で、露出した骨を手術で覆うことで痛みをなくすことができる、とも述べています。
■「トシだから…」と痛みに耐える患者たち
腰であれば、脊柱管狭窄症、すべり症、分離症、ギックリ腰、坐骨神経痛、腰痛、間欠跛行。ひざであれば、変形性ひざ関節症や関節リウマチ、O脚変形、膝痛。股関節であれば、変形性股関節症や臼蓋形成不全、股関節痛、破行。これらは手術により治る可能性が高いと三輪医師は述べている一方、患者の方はおうおうにして手術には消極的で、本人が手術を望んでいても家族の同意を得られないこともあるといいます。
その結果、患者は「体の痛みはトシのせい。仕方のないこと」と考えて、あきらめてしまうことになります。むしろ、治療の道があること自体を知らないことが多く、仮に手術という選択肢があることを知っていても、命にかかわらない体の不調で体にメスを入れることに恐怖感を持ち、拒絶反応を示すケースも。
三輪医師によると、こうして根本的な治療をせずに、痛みに耐えた結果、手術をしたくてもできない年齢になってしまったりする例は、ままあるようです。
心のうちでは痛みのない生活を望み、いつまでも自分の脚で歩きたいと願っているのは誰もが同じ。ならば、思い込みや恐怖感だけで完治を諦めるのではなく、正しい知識を得て、完治の道があるのならそれを目指してみるのは、患者にとって一つの選択肢としてあるべき姿なのかもしれません。
「人生100年時代を最後まで自分の足で歩くために、腰やひざ、股関節は、一度壊れたら手術をしないと治らないということを知っていただきたいと思います」(三輪医師)
どんな症状の、どんな痛みであれば手術で完治できるのか、またどのタイミングで手術をするのかなど、年間1000件のせぼねや関節手術を手がける医師の知見と解説が凝縮されている本書。いつまでも健康で、自分の脚で歩くために参考にしてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)