だれかに話したくなる本の話

「赤い靴をはいた少女」が現代に蘇る そのハードすぎる生涯とは(1)

『赤い靴~海を渡るメロディー~』(幻冬舎刊)の著者・高津典昭さん

童謡「赤い靴」の寂しげな旋律と物悲しい歌詞は、一度聴いたらいつまでも耳に残り、強いインパクトがある。

この歌に出てくる「赤い靴をはいた女の子」には「岩崎きみ」というモデルがいたとされ、その生涯はどうやら不遇なものだったようだ。歌詞では「異人さんにつれられていっちゃった」とあるが、実際には外国に渡っておらず、むしろ保護者であった外国人に置き去りにされ、日本の孤児院で病によって短い生涯を終えた岩崎きみの人生は、かの童謡よりもいっそう哀れを誘う。

小説『赤い靴~海を渡るメロディー~』(幻冬舎刊)はこの岩崎きみの生涯を現代に置き換えた野心作。彼女を現代に蘇らせた意図とはいったいどのようなものだったのか。著者の高津典昭さんにお話をうかがった。

赤い靴~海を渡るメロディー~

赤い靴~海を渡るメロディー~

私、幸せになっちゃダメなんですか?

崩壊する家庭から逃げるように東京にやってきた少女・恵理。
出逢いと別れ、社会の厳しさに翻弄されながらも、懸命に新たな日々と向き合っていくが——。
運命の過酷さと家族の慈愛が胸を打つ長編小説。