だれかに話したくなる本の話

ギスギスした世の中だからこそ染みる!人の優しさが詰まったヒューマン・ドラマ

『小節は6月から始まる』(青山太洋著、幻冬舎刊)

「おばさん。うちが未婚の母子家庭だから幼稚園の風紀が乱れるって触れ回るの、止めてほしいんだけど。僕たち、園の運営に迷惑かけたりしてないよ。うちにはうちの事情があるから、いちいち説明しなくても、保護者どうし仲良くしてほしいんだ。」

幼稚園で「未婚の母子家庭」への差別感情を持つ保護者に、大人顔負けの物言いで抗議する5歳の子ども。決して感情をあらわにすることなく、淡々と相手を言い負かす様子は、年齢からするとかなり異様でもある。

小節は6月から始まる

小節は6月から始まる

あの旋律とともに、新しい命、新しい愛が生まれ、育まれる。
思い合いがもたらすミラクル・ヒューマン・ドラマ。
母を早くに亡くし、男手ひとつで育てられた主人公未代は、急死した父の喫茶店を引き継ぎシングルマザーとして働いている。
父が夢に現れたときから、未代の周りに不思議なことが――。