新刊ラジオ第1489回 「100歳まで成長する 脳の鍛え方」
「人の名前が覚えられない」「漢字がかけなくなった…」といった悩みや、“脳の衰え”を感じているあなたは、“脳の使い方”で、損してるかもしれません! 本書は、「脳が衰えないようにする」ばかりか、「脳が100歳までずっと成長する」鍛え方や、習慣、トレーニング方法がまとめられた一冊です。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
一生成長を続ける脳の育て方
●著者プロフィール 加藤俊徳さんは、医師・医学博士。脳の活動を画像化する脳科学の専門家で、脳の画像診断では、屈指の鑑定技術を持つ方です。これまで認知症や発達症の研究・臨床活動の傍ら、独自のMRI脳画像の鑑定技術を生み出し、胎児から超高齢者まで1万人以上の脳を分析してきました。 1995〜2001年までは、米国ミネソタ大学放射線科MR研究センターでのアルツハイマー病や脳画像の研究に従事し、帰国後、慶応大学、東京大学等での脳研究を経て、「株式会社脳の学校」を創業します。 加藤さんは「脳の病気を発見するための研究」というよりは、脳の個性や、潜在能力といったものに関する研究を熱心に行ってきた方なんです。その成果のひとつである「MRI脳相診断」などは、この分野ではとても注目されているそうですよ。
人の名前をなかなか覚えられなくなったり、漢字を思い出せなかったりすると、
「あー、脳が衰えてるのかなぁ…」 「若い頃のようにはいかないよな〜」
…なんて、悲しくなっちゃうかもしれませんが、 加藤さんは、この本でそれを否定しています。
「脳は何歳になっても成長し続ける!」 と言い切っています。
しかも、アラサーの僕らや、もう少し上のアラフォー、アラフィフ?世代の方には、 ちょっと嬉しいかもしれない、
「脳の成長と個性が一番輝くのは中高年から」 「80、90歳になってから成長する脳がある」
なんていうことも書いてありました。
そう、書籍タイトルは“あおり”ではなく、 「本当に100歳まででも成長する」と加藤さんは言っているのです。
成長しない脳もある
でも、「成長する脳」と、「成長しない脳」があるのも事実です。
“成長する” “しない” といっても、すでにある脳そのもののことではありません。 大切なのは、「脳の使い方」なんです。
――というわけで、 この本では、これまでに加藤さんが研究してきた脳に関する発見の中から、 「脳が衰えないようにする」ばかりか、「ずっと成長する」鍛え方や、トレーニングの方法がまとめられています。
また、脳の特性についても書かれています。 「特性」といっても、海馬がどうとかシナプスがどうとか、専門的な話ではなくて、 わかりやすくて、実感しやすいことです。
「新たな趣味を持つと、その好奇心や挑戦する行動が脳にいい影響を与える」 「融通が利かないとか、人の意見をいぶかしがったりすることは、脳の成長を妨げる原因になる」
このようなことです。
加藤さんの書きっぷりもおもしろいし、自分に関係あることですから、 「ためしてガッテン」や、「おもいっきりテレビ」を見る感覚で楽しんで読めます。
もうすこし掘り下げて紹介していきましょう。
加藤さんは、これまで1万人以上の脳をMRI画像で見てきたそうですが、 「脳にはひとりひとりに個性がある」ということに気づいたといいます。
そして、加藤さんは「脳番地」という概念を生み出しました。 これは、脳全体をそれぞれの機能ごとに120に区分して、更に8つの系統に分類したものです。つまり、「考える」「理解する」「見る」「聞く」など、働きによって脳の使う場所が異なるということですね。
脳に刻み込まれる能力の証
脳は、ここでいう「脳番地」ごとに成長するのだそうです。 ですから、どの脳番地がよく育っているかによって、その人の秀でた能力が決まるということなのです。スポーツ選手なら運動系の脳番地が強く、研究者なら知識に関する理解系脳番地が突出しているのです。
生まれたばかりの赤ちゃんの状態では、脳のネットワークである「枝ぶり」はほとんど見られないそうですが、大人になるにつれて、いろんな情報を得て、考えて、脳の「枝ぶり」が成長していくのです。
本の中にこんなお話がありました。 加藤さんがある落語家の師匠の脳を見たとき、落語家だから「発話系の脳番地」が発達しているのかな?と思いきや、聴覚の番地も非常に発達していたそうです。
加藤さんは不思議に思ってたずねてみると、 他の師匠がやっている古典落語で自分も身につけたいものがあったら、その師匠のところに行って頭を下げて、1対1で古典落語をそっくりそのまま学ぶんだ。 古典落語はまったく同じに学ばなければいけない。そうはいっても何度も見せてもらうことはできない。せいぜい3回くらいまでだ。思い当たるのはこれくらいかな? …ということがあったんだそうです。
木でいう年輪のようなものなんですね。なんだかロマンを感じてしまいます(笑) 脳の「枝ぶり」を育てていくことは一朝一夕ではできあがりませんが、 育てたいところを、集中的に、地道に経験させていくと、脳は確実に育っていくと、 加藤さんは言っています。 ですから、脳を育てることは、個性を磨くということに近いのではないでしょうか。
考えたり発想する番地である「思考系」を育てていけば、アイデアマンになっていくかもしれないし、伝達系を鍛えていけば、会話がぽんぽんでるお話し上手になるかもしれない。 脳を鍛える上でのアドバイス、注意点や、具体的なトレーニングの方法は、4章以降に詳しく書かれているので、読んでみてくださいね。
アイディアが思い浮かばない人のためのトレーニング。
4章の「悩み別トレーニング法(実践編)」より、ひとつご紹介します。 「新しいアイディアが思い浮かばない」人のトレーニング。
矢島、【いくらでしょう?トレーニング】を実践(ラジオで聴いて下さい〜)。
<説明> アイディアが浮かばない原因のひとつに、想像力が衰えていることがあります。 想像力は、ふだん使わない脳番地同士を、一時的にでも強く結びつけることからも生み出されます。 【いくらでしょう? トレーニング】が有効です。 ふだん、お金は目で見て金額を確認します。このときは、視覚系と運動系の脳番地が連動して働いています。そこで、中身が見えない袋の中のに入れたコインを、手で触って、もともと知っているコインの種類を記憶系脳番地を使って思い出し、実際のコインと記憶の中のコインを一致させる作業をしてみましょう。
<解説> 正しい答えを導くには、手の「触覚」と「運動系」を使いながら、「記憶系」と連動することになります。また、頭の中で数枚のコインを合算する暗算もすることになります。 こうした動きが、想像力を生み出すきっかけを作ります。
☆そのほか、こんな人におすすめのトレーニングも! ・物忘れが激しい、人の名前が思い出せない ・言葉がすぐに出てこない ・人の話が理解できない ・集中力がなくなった といった脳を鍛えるトレーニングから、
・人の話や会議の内容が耳に入ってこない ・イライラしやすくなった ・認知症になるのではないかと心配 ・趣味もなく人生がつまらない といった体と心を鍛える脳のトレーニングなど。
「もしかしたら脳が衰えたかも……」と心配されている方はもちろんのこと、 若い人も脳の個性を育てるための加藤さんのアドバイス、受け取ってみてください。
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