だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1931回「明治日本の産業革命遺産 ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった」

技術立国ニッポンはここから始まった!
明治産業革命により日本の紡績、造船、鉄鋼、石炭産業が発展していく様子を、幕末で名を遺したリーダーや数多くの先人たちのドラマとともに描く。日本の近代化のために挑戦し続けた彼らの物語とは?
ラストサムライの挑戦から日本経済の発展と今日のモノづくりの原点を学び、さらに日本経済再生のヒントを見つける一冊。(提供・集英社)

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明治日本を支えた幕末のサムライたち、そのドラマがここに!

みなさんこんにちは。ブックナビゲーターの南雲希美です。

今回は、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」にまつわる書籍のご紹介です。

明治時代、西洋技術の導入や、国の仕組みを根本から変える廃藩置県・徴兵令などの改革により、日本は大きな近代化を成し遂げました。

それが今日の日本の基礎を作っているわけですが、本書では、その近代化、そして産業革命に関わった人物や出来事を詳細に記しています。   「明治日本の産業革命遺産」は日本のモノづくりの原点であり、日本経済の底力のルーツである、と岡田さんは述べており、歴史に名を残したリーダーだけではなく、数多くの無名の人に至るまで、これらの遺産をめぐる先人たちから多くを学ぶことができます。例えるなら『明治版プロジェクトX』といったところですね…!

一体、その当時、どんな人々がどんなドラマを繰り広げていたのでしょうか。   といったところで、今回はスタジオに著者の岡田さんをお迎えして、より詳しくお話を伺っていきたいと思います。

ぜひ、本編をお聴きください。

◆著者プロフィール
岡田晃さん。1947年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞に入社し、 記者、編集委員を経て、1991年テレビ東京に異動。『ワールドビジネスサテライト(WBS)』をはじめ、数多くの経済番組のキャスター、コメンテーター、プロデューサーを務める。2006年にテレビ東京を退職後、大阪経済大学客員教授に就任されるとともに、経済評論家として現在も活躍中。

明治日本の産業革命遺産 ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった

明治日本の産業革命遺産 ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった

「日本の奇跡」と言われる明治の産業革命の礎は、幕末のサムライたちによって準備されていた。製鉄、造船、石炭産業の現場では、藩の垣根を超えて技術を共有し、奮闘する人々の熱いドラマがあった!

製鉄のもととなった伊豆の反射炉の技術は、佐賀藩と伊豆の代官・江川英龍が協力して研究が始まり、佐賀から薩摩へ、さらに水戸藩を経由し、最終的には釜石の洋式高炉に結実した。それが明治時代に官営釜石製鉄所や官営八幡製鉄所へとさらなる発展を遂げ、現在の新日鉄住金に至る。

造船に関しては、島津斉彬の命を受けて幕府の長崎海軍伝習所で学んだ薩摩藩士・五大友厚は、トーマス・グラバーらと共に長崎の小菅修船場を建設した。これが現在の三菱重工長崎造船所につながっていく。岩崎弥太郎、弥之助、久弥の3代に渡る三菱重工業の社長たちの事業拡大の歴史とも重なる。

“軍艦島“で知られる石炭産業の発展においては、福岡藩士だった團琢磨の働きがめざましく、彼の見識と技術導入へのアイデア、決断力が、石炭産業の多大な発展を促した。

幕末から明治の激動の時代に、政治の争いとは無関係に、日本の未来を考えて奔走した若きサムライたちや現場の無名の職人たちの、ひたむきさやチャレンジ精神を感じる熱い一冊。