だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1894回 「会社では教えてもらえない 仕事が速い人の手帳・メモのキホン」

仕事がなかなか終わらずに残業ばかり……。
自分の時間がなかなか作れない……。
それは仕事が出来ないせいではありません!
スケジューリングのデジタル化が進む中、手帳とメモで仕事の効率を上げて、同じ仕事量をこなしても定時で帰れるようになる39の実践テクニックを紹介。
時間管理の超プロが贈る「会社では教えてもらえない」究極の手帳、メモ活用術!!(提供・すばる舎)

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仕事を速くこなす人は「手帳」が違う?

みなさんこんにちは。ブックナビゲーターの木村希美です。

今回ご紹介させていただく本は、社会人には欠かせないモノ「手帳とメモ」の使い方について!

手帳を使うとき、分かりやすくなるようマーカーでラインを引いたり、ポストイットを使って重要な部分をマークしたりしませんか?

伊庭さん曰く、これらの行為はあくまで「装飾」であって、仕事を早くするために必要なことではないそうです。

本書では分かりやすく自動車でたとえられているのですが、 外装パーツを変えたところで、エンジンを変えなければ速くはならないというのと同じ、とのことです。

では、仕事を早くするために必要なことは何なのか。

重要なのは「スケジューリング」をマスターすること。

これが「手帳の正しい使い方」を理解することで解決できるのです。

仕事が速い人とそうでない人の書き込みの違いは一目瞭然で、 前者は「予定は自ら埋めていくもの」と考えて先々を見通した書き込みがされていることに対し、後者は直近のスケジュールはキツキツに埋まっているけれど、1週後、2週後のスケジュールを見てみると空白だらけという状態になっているそうです。

手帳をうまく扱えていないと、直近の仕事を「速くこなすこと」こそが仕事を速くする方法と考えてしまうのですね。

実際、仕事が速いかどうかは個々人の能力如何ではないそうで、いかにスケジューリングのセオリーを知っているかどうかだと伊庭さんは書かれています。

さて、ここまでお話を聞いている方の中にはこういった疑問を浮かべる方もいるのではないでしょうか。

「スケジューリングなら各種カレンダーアプリなどの方が便利ではないか?」

スマホやタブレットPCなどが多く普及しているこの世の中、 「え? スケジューリングは全てデジタルに移行したけど?」という人が多いかと思われます。 デジタルの方が「便利、楽」と言われている現代。

しかし、伊庭さんから言わせると『デジタルの時代に「あえて紙」が圧倒的に有利』とのことなのです。

なぜ「アナログ」なのかという話ですが、理由はシンプルで感覚的に書けて、こちらの方が速いから、だそうです。 特に顧客と会話をしながら必要な情報を「書き込める」というのは、アナログならではのスピード感。

しかし、「デジタル」の方が悪いという話ではなく、ここで重要なのは、棲み分けができるということです。

自身の記録として残すなら「アナログ」、他人に共有する必要がある情報なら「デジタル」が便利という様にして、必要に応じて使い分けることができます。

あくまで、手帳やメモとして記録していくなら「アナログ」が有利ということですね。

まずは、手帳のサイズのオススメ。 これは伊庭さん曰く、大きければ大きいほど良いとのことです。

書く欄が大きければ単純に書ける場所が増え、余白にメモを書くことが出来ます。

これを利用することにより「ワンストップ管理」、つまり手帳を開くだけで予定の管理ができるようになります。

そして、手帳を選ぶ際は、曜日ごとの予定を時間ごとに記入できる「一週間タイプのバーチカル型」がオススメ。

バーチカル型というのは、縦方向に1日の時間横に曜日が並んでいるタイプの手帳です。

この型がオススメの理由は、

1、俯瞰できるので、どこが埋まっていて、どこに余裕があるのかが、一瞬で地図のようにわかる。 2、余白や、予定の箇所にメモを自由に書ける。

この2点。

時間の流れをビジュアル化することによる効果を大きいようで、時間単位で先を見通すバーチカル型はスキマ時間も見つけやすく、無理なく予定を立てることができるのです。

では、これらを踏まえたうえで、どのように活用すれば「仕事が速くなる人」になれるのか。 ここからが本書の見どころなので、少し見ていきましょう。

なんとなく記入しているスケジュール。 決まったことだけをただ記入していては、結果的に非効率的になってしまいます。

例えば、アポイントを取るとき。

営業のために手当たり次第に電話をかけてアポを取り、スケジュールが埋まった手帳を見ながら行動すると考えてみて下さい。

向かう地域が別々だったりしませんか?

アポイントを取る際は地域を固めることを意識し、スケジューリングすることで自身の動ける時間を増やしていくのです。

また、アポイントと同様にオフィス内の移動も最短距離を意識すると、たかだか数メートルも積み重ねで時間的余裕を作っていきます。

また、一度の訪問で複数の仕事をこなせれば、さらに時間的余裕を得ることが出来ます。

わざわざ同じ場所に二度訪問する必要がないように、資料を渡すと同時に契約書をいただくなど、可能な範囲で移動する手間を省きましょう。

先ほども言いましたが、積み重ねが仕事を速くこなすための習慣につながっていくのですね。

それと、こちらもオススメ。

伊庭さん曰く、会議の予定を入れる際、「会議」と書いただけでは甘いとのこと。

これは会議に限った話ではなく、一つ一つの行動に「得たい成果」まで書いておかなければ、意味がないのだと。

手帳に予定を書く際は、「得たい成果」や「目的」を横に小さく書いておくだけで、今まで何の目的もなく参加してきたミーティングの時間が、有意義な時間に変わっていきます。

書き方の例として、

課長から事業の進捗を聞く場があるとするなら、他の部署での業務改善の成功例の話を聞き「時短のヒントを得る」ことを目的に参加します。

その際、手帳の予定に小さく「ヒントを得る」と書いておけば、その瞬間から自分にとってただのミーティングではなく、「ヒントを得る」ミーティングに変ります。

このような形で、どのような予定にも「目的」を明確に設定する習慣を身につけることで、時間効率のヒントを得るのも手ということですね。

それでは最後に、スケジュールを立てる際に一番始めにやっておくことを紹介します。

予定を立てる上で最初に決めるべきことは、自分の「退社時間」。

これが、伊庭さんが営業成績で全国1位を4回取った最大の秘訣だそうです。

そんなこと言われても仕事が終わらないから帰れるわけがない、という方もいると思います。

しかし、短時間で成果を出す人というのは、常に「終わり」からスケジュールを逆算しているのだそうです。

確かに、帰る時間を先に決めてしまうのは不安かもしれませんが、何もその時間に絶対に帰らなければならない、と気負う必要はありません。

具体的にまずは、「退社する」と決めた時間にズバッと線を引いてしまうのです。

18時であればそこに線を引き「退社」とする。

そうなると当然、そこまでに退社するようにスケジュールを組む必要が出てきます。

しかし、それだけでは今までのやり方で収まるはずがないですよね?

そこから自分の仕事を見つめなおして「やらなくていい仕事はないか」「もっと早く仕上げる方法はないか」と、一つ一つの作業時間に対する見極めの意識が生まれます。

この意識改革が、仕事を速くするために必要なことなのです。

もし退社時間までに仕事が終わらなかった場合はどうするか、という点については、潔く仕事を切り上げ、翌朝の早朝に回してしまいます。

朝の方が生産性が高く、短時間で仕事を終えられるためです。

ということで、まずは自分の「退社時間」を引くことを試してみましょう。

こういった予定の「強制力」も仕事の効率を上げるコツということに気づかれると思います。

本書ではこのほか、様々な手帳、メモのノウハウが詰まっています。

うっかり忘れてしまうことを回避する方法や、手帳一つで多くの仕事を回す方法、仕事だけではなくプライベートを充実させるためのスキマ時間のつくり方まで幅広く対応しています。

毎日が忙しくて予定に追われてしまうという方は一度、お手に取ってみてはいかがでしょうか。

◆著者プロフィール
伊庭正康さんは、1969年京都生まれ。1991年リクルートグループ入社。 2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。 リクルートで学んだ「圧倒的な当事者意識」を持つことや「期待に応えるだけではなく、期待を超える」ことの大切さ、「短時間で成果を出す方法」などをメインテーマに、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッションを行われています。

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