だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1843回 「源氏物語人殺し絵巻」

女御・更衣たちの嫉妬、右大臣の暗躍、左大臣の怨念……様々な悪感情渦巻く平安の宮中で巻き起こる殺人事件の数々。
恋多き麗人・光源氏は、光と影が共存するその場所で、何を思うのか。
人々にとって憧れの場所であらなければならない宮廷で、それぞれの思惑が交錯する!
第4回サントリーミステリー大賞読者賞受賞作、待望の電子書籍化!!(提供・朝日メディアインターナショナル)
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独特の視点で描かれる源氏物語の光と影

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

約1年ぶりでしょうか、前回は『子規と漱石のプレイボール』をドラマにさせていただきました。

今回は、第4回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した『源氏物語人殺し絵巻』が待望の電子書籍化! ということで、新刊ラジオにてご紹介させていただきます。

本作、『源氏物語人殺し絵巻』ですが、タイトルからどのような内容を想像できますか?

『源氏物語』といえば、美しい容姿と優れた才覚を持った光源氏が、多くの恋と栄華を極めていく、その中で宮中の優雅さ、当時の貴族たちの雅な生活、といったいわゆる「美しい」物語というイメージはないでしょうか。

さて、『源氏物語人殺し絵巻』、タイトルに「人殺し」とあるように物語中に幾度か殺人事件が起こります。

大衆にとって光り輝く場所でなくてはならない宮中で起こる醜悪で残忍な事件の数々。

本作のストーリーは、『源氏物語』の影の部分が非常に上手く、また不気味に書かれていますね。

優雅に過ごす貴族たち、恋を求める光源氏、その裏で渦巻く陰謀、それぞれが、絶妙にマッチした作品です。

『源氏物語』を舞台とした異色のミステリーとして、ぜひお手にとってみていただきたい。

それでは、今回も物語の一部をドラマにしましたので、どうぞお聴きください。

◆著者プロフィール 長尾さんは愛媛県生まれ。 1986年に文芸春秋『源氏物語人殺し絵巻』で第4回サントリーミステリー大賞読者賞受賞。歴史ミステリ、時代小説、ホラーなど幅広く手掛けています。 他著に『邪馬台国殺人考(やまたいこくさつじんこう)』『黄泉国(よもつくに)の皇子』 『柴田勝家』『前田利家』『神隠しの村』、2014年に新刊ラジオでもご紹介させていただいた『子規と漱石のプレイボール』などがあります。

新装版 話を聞かない男、地図が読めない女