だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1829回 「400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法―――「儲けの仕組み」が、簡単にわかる!」

「経営は努力をするから儲かるのではない、儲かる仕組みがあるから儲かる」このように述べる著者は、たったの3年で事業を拡大し、グループ年商を0から70億円まで伸ばした実績の持ち主。ストーリー形式で書かれた本書は、実際に儲かっている会社の具体的な事例をもとに「儲けの仕組み」を学ぶことができ、さらに物語の主人公とともに読者自身の起業家精神も刺激してくれる一冊に仕上がっています。(提供・ダイヤモンド社)

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ほんの少しやり方を変えるだけで「儲け仕組み」は簡単に出来る!

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回ご紹介するのは、あなたが携わっているビジネスの長所を最大限に生かし、「儲かる仕組み」のつくり方を教えてくれる、そんな一冊です。

著者の高井さんが手がける、中小企業の経営者を対象にした「ビジネスモデル塾」は、高額にもかかわらず人気で、3年ですでに34期を開催、全国で500社を超える経営者の皆さんが通う、行列のできる講座となっているそうです。

そんな高井さん、なんでも世の中のビジネスモデルを分析し、どのように儲けているかを検証するのがご趣味だとのこと。

さらに、口癖は「儲けるなんて、簡単よ。」

この口癖に関連して、高井さんはこのような持論をお持ちです。

『経営は努力をするから儲かるのではない、儲かる仕組みがあるから儲かる』

なるほど、この「儲かる仕組み」というのが、ポイントなんですね。

さらに?井さんは、このようなことも述べています。

『経営者の方の中には、(中略)ほんの少し考え方ややり方を変えることによって、もっと儲けることができるのに「もったいない!」という例が多いのです。』

つまり「儲かるビジネスモデル」というのは、ある仕組みがあって、それを押さえているかどうかで、結果は大きく変わるという事なのでしょう。

そして、この「もったいない!」という気持ちが、本書に込められている高井さんの思いなのではないでしょうか?

【本書概要】

さて、そんな高井洋子さんが書かれたコチラの本、『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法――「儲けの仕組み」が、簡単にわかる!』 ですが、 サブタイトルの通り「儲けの仕組み」が簡単にわかるように、ストーリー形式で執筆されています。

ストーリーの主要人物の一人は、港区芝にある「カフェ・ボトム」のオーナー、前芝洋介さん31歳。

北海道から上京してきて、憧れの東京タワーの見える土地に、念願のカフェをオープンして約2年。

朝8時から深夜2時まで営業する「カフェ・ボトム」は、オーナー自慢のスープカレーが名物で、4人がけのテーブル席が4つと、カウンター席6つの計22席。

しかし、このお店……

全然儲かってません!

全然儲からないカフェを一人で切り盛りする31歳のオーナー。

今の日本に、少なくないかもしれませんね……。

そして、ストーリーのもう一人の主要人物をご紹介します。

「カフェ・ボトム」近くのタワーマンションの最上階に住んでいる経営コンサルタント、遠山桜子さん45歳。

コンサルティング会社の社長でもある彼女は、出張帰りの深夜に、この「カフェ・ボトム」に初めて訪れ、そこからストーリーは始まっていきます。

◆著者プロフィール 高井洋子さん、株式会社CARITY(キャリティ)代表取締役社長。横浜出身。 自営業の家庭に育ち、子どもの頃から『商売』に触れ合ってきた方です。 20代後半にして潰れかかった家具の販売会社の経営を任され、たったの3年で、事業を拡大し、グループ年商を0から70億円まで伸ばしました。 その後は独立して経営コンサルタントとなり、2012年に会社を設立し、現在に至ります。

強力な武器をもっているのに儲からない…その理由とは?

【ストーリー1章概要】

まず、桜子さん、「カフェ・ボトム」に初めて訪れた時に、洋介さんにいくつか質問をし、即座に、経営が上手くいっていないことを見抜くのです。

その理由は3つ、東京タワー近くの立地という……高い家賃。

やたら品数の多いメニュー……つまり高い原価率。

そして、コーヒー一杯で長居する常連さんが多いという……低回転率。

これは僕も読んでいて気付きました。

家賃が高そうで、メニューが多くて、お客さんがあまり入っていないお店なんて、どう考えても上手くいくはずがないですもんね。

ただ、現実には多くの飲食店がこういった状況に陥っているでしょう。

実際に飲食店の廃業率は2年以内に50%、3年以内に70%、10年で90%のお店が潰れるのだそうです。

さて、ストーリーにお話を戻しますが……

こうして初日は、どうしてこのカフェが儲からないのかを指摘し、「儲けるなんて簡単なのに」と言い残して去っていった桜子さん。

その指摘を聞いて、唖然とする洋介さん。

そんなシーンで終わります。

ここで、一つ余談。

この初日のシーンですが、儲からない飲食店が理由が3つ挙げられていましたね。

高家賃・高原価率・低回転率です。

本書ではここで桜子さんの口を通して、実在する「俺のフレンチ」という飲食店の儲かる秘訣が紹介されています。

「俺のフレンチ」は高原価率で有名ですが、高回転率であることも有名です。

「俺のフレンチ」がなぜ高回転率を維持できるのか?その仕掛けを知りたい方は、本書の第1章を参照して下さい。

【ストーリー2章以降概要】

さて、実は初日で「カフェ・ボトム」名物のスープカレーを食べていた桜子さん。

そのあまりの美味しさに、また食べたくなっている自分がいることに気がつきます。

そこで桜子さんはこう思うのです。

「もったいないな。あのスープカレーを武器にすれば……儲けるなんて、簡単なのに」

こうして、スープカレーを食べるために、出張帰りや深夜の仕事帰りに「カフェ・ボトム」に通うようになる桜子さんが、洋介さんに「儲けの仕組み」を教えていくようになり、ストーリーは進んでいきます。

「儲けの仕組み」の一つは「継続して買っていただく仕組み」

【本書の読みどころ】

ここからは、本書の読みどころをいくつか抜粋してご紹介していきたいと思います。

まず、大事なのは「儲かっている店には、ちゃんと儲かる仕組みがある」という事実です。

その仕組みというのは「継続の仕組み」。

簡単なところでは、ウォーターサーバーの水、プリンターのインク、カミソリの替え刃などの、いわゆる「ジレットモデル」ですね。

ウォーターサーバーを買えば、その水を。

プリンターを買えば、そのインクを。

カミソリを買えば、その替え刃を。

お客様は継続して買い続けることになります。

高井さんによれば、さらに……

「高価格や高収益のものを、お客様に喜んで継続して買って頂くことができるか」

これこそが、儲けの仕組みだそうです。

そして本書では、物語の登場人物、遠山桜子さんの口を通して、この「儲けの仕組み」が良くできている、いくつかの企業の事例を紹介しています。

・宝石屋より儲かっているハチミツ屋のお話。

・お客さんが知らず知らずのうちにお金を払い続けてくれるプリン屋のお話。

・お客様が喜んでお店のためになることをしてくれるハンバーガー屋のお話。

そして、タイトルにもなっている

・400円のマグカップ1個で4000万円のモノを売る住宅会社のお話。

どの事例も、「その手があったかー」とか「よく出来てるなー」と思わず声に出てしまうような、素晴らしいビジネスモデルが構築されています。

ただし、いずれも詐欺まがいのビジネスモデルではありませんよ!

キチンと「お客様に喜んで継続して買って頂く」仕組みになっているんです。

その具体的な事例と、その仕組みの本質を読み解くことで、本書は多くの読者に「儲かる仕組み」を教えてくれます。

そして最後には、本書の登場人物、前芝洋介さんも後々採用することになる、「儲かる仕組み」をフランチャイズ化するための、重要なポイントも教えてくれます。

本書を読み終わったときの素直な感想は、「なるほど、これなら3年で売り上げを70億円にしたという高井さんの実績も納得だ!」というものでした。

儲かっている企業には、どんな仕組みがあるのか?儲かる仕組みとは何なのか?

知りたい方は是非、本書をお手にとってみて下さい。

400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法―――「儲けの仕組み」が、簡単にわかる!