新刊ラジオ第1757回 「親の家を片づけるなら「プロ整理業者」に任せなさい (ゆうゆうBOOKS)」
日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役、吉田太一さんの書く「親家片(おやかた)」シリーズ【最終手段】。ですが、ただ「業者に任せればいい」という内容ではなく、プロの目から見た親家片の注意点、作業手順、事前準備なども語られています。親家片をご自身で行いたい方、業者に任せたい方、どちらにも大いに役立つ一冊です。
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概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
タイトルを鵜呑みにしてはいけません。
この本は、「全てをプロに任せろ」と言っているわけではなく、
「遺品整理のプロの目から見た、親家片に必要な準備や、実行の際の注意点」
さらには「プロに任せるときに必要な準備」などが語られている一冊です。
ですので、従来の親家片シリーズのように、まずはご自分で「親の家を片づける」とはどういうことか、と考えることが大事なんですね。
そのために、遺品整理のプロ吉田さんの視点が、とても役立ちます。
例えば、本書16ページ『「親家片」でしなくてはならない5つのこと』では、
・家財道具を片づけ ・不動産を片づける ・相続の問題を片づける ・親の人間関係を片づける ・各種の契約解除を片づける
この5つが挙げられています。
本書を読み込んでいくと、吉田さんがお客様の「親家片」をお手伝いした経験から、それぞれにどう対処すれば良いのかが、具体的な事例とともに紹介されています。
多くの事例を見てきた吉田さんだからこそ、様々なパターンの問題が語られており、例えば「不動産」の問題であれば、親の家が一軒屋なのか、借地なのか、賃貸なのか、で問題点が変わってくる事がよく分かります。
この辺りは、ぜひ、本書をお手にとって確認してみて下さい。
◆著者プロフィール 吉田太一さんは、1964年生まれ。大阪府出身。 日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。 独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、 「天国へのお引越し」をキャッチフレーズに同社を設立。 年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供し、12年間で延べ1万3000件以上の遺品整理を行ってきた実績があります。 さらに年間50回以上の講演活動を行い、著書も多数。 なお2011年に公開された、さだまさしさん原作の映画『アントキノイノチ』に登場する遺品整理業は吉田さんの「キーパーズ」がモデルになっています。
業者に任せるということ
僕がこの本を読んで思ったことですが、親家片をプロの業者に頼むとどんなメリットがあるかというと、「作業が迅速である」ということが、一つの大きなメリットだと思います。
吉田さんは元々、引越し運送業をされていた方なので、家財道具の運搬方法や整理方法を熟知していますし、先ほど紹介した「クーパーズ」のサービスを通して、親家片にまつわる各種手続きやその段取りも熟知されているんです。
そのため、作業が早い。
本書では、そのプロの作業手順が掲載されていて、僕がなるほどと思ったのは、
・ダンボールは大中小と大きさの違うものを用意しておくと整理がスムーズ ・各ダンボールにはあらかじめ、鉄類、不燃物、可燃物、ガラス類などと記入する
といった、具体的なテクニック。
さらに、
・複数人で作業する時は、リーダーを決める。 ・探すときは探す、詰める時は詰める、運ぶときは運ぶ、と全員が行動を一致させて行う。ポイントは「迷ったら、考えずに後回し!」迷ったものは検討中の箱を作って、その中に入れておく。
といった、作業の心得など。
普通の引越しや片付けでも僕ら素人はモタモタしてしまう事が多いので、プロはこういった点に気をつけているのだなぁと、参考になりました。
様々な事情があって、親家片を迅速に行わなければならない人は、こういったプロの業者のノウハウやサービスが大いに役立つと思いますよ。
本書は、遺品整理業のプロであり、親家片のエキスパートである吉田太一さんの経験やノウハウが詰まった一冊です。
この本を読んで、実際に親家片を業者さんに依頼してもいいですし、ノウハウを取り入れて、ご自分で親家片をするのもいいでしょう。
遺品整理と廃棄物処理の違い
しかし、お聞きの方の中には、親の家を片づけるのに、業者に任せるなんて……と眉をひそめている方もいるでしょう。
その点に関しては、吉田さんも長年考えていらっしゃったようで、本書の中のこのお話が参考になります。
「遺品整理会社が廃棄物処理会社と違うワケ」と題された項目です。
吉田さん曰く、遺品整理を依頼するお客様には2つの選択肢があり、
・遺品整理会社に依頼して、故人の生きざまを物語る遺品を丁寧に整理してあげて、気持ちよく故人とお別れする。 ・廃棄物処理会社に依頼して、ただ捨てればよいからと、とにかく安く不用品として処分する。
この2つ。
本書や吉田さんのほかの著書を読むとよく分かりますが、吉田さんは遺品に関して、ともするとご遺族の方以上に気を使っています。
骨董品や写真、故人が身につけていたものなど、遺族の方が故人との思い出に浸れそうなものは、全て確認をしているそうです。
実際に、吉田さんが気を利かせて捨てないでいておいたものを、ご遺族の方にお渡しすると、とても喜んでくれたというエピソードもあります。
このように「遺品整理業者」は、ただ単に捨てる・片づけるだけの業者ではなく、故人とのお別れをサポートする業者さんなのです。
■まとめ
また、本書の中にはノウハウだけでなく、吉田さんの遺品整理・親家片に対する考え方も多く込められています。
吉田さんの元を訪れた実際の依頼者のエピソードも多く掲載されており、ケーススタディとしてだけでなく、心が温かくなるような感動も味わえます。
また吉田さんの元に訪れる依頼者の中には、自分の家財道具を事前に整理したいという方もいらっしゃいます。
ですので本書は、高齢の親を持つ方だけでなく、その親御さんご自身にも読んで頂きたい一冊です。
ぜひ、プロの視点からみた親家片を、ご自身の参考にして下さい。
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