だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1728回 「日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!」

元規制改革担当大臣補佐官の著者が明かす、日本にはびこるおかしな規制の数々。現状にそぐわず一般の企業や消費者を縛り付ける謎の規制を、その成立背景と改変を困難にしている利権構造と一緒に紹介します。政策を作るのは政府・役人の仕事と思わず、多くの方に知って欲しい知識が満載です。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

単行本となる本書では、新書であった前著に比べ、おバカ規制の紹介のみに留まらず、その規制を定める公式な条文とその解説、および、その規制の裏側にある構造や力関係をも分析しています。

「岩盤規制」という言葉ありますが、日本の規制の中には、岩のように固く、なかなか突き崩せないものがあったりします。

それは役人や政治家、各民間団体の複雑な構造が背景にあったりするわけですが、今回の本は、そちらの方にも一歩踏み込んだ形になっているわけです。

義侠心に燃えるかたは、この本を読んで憤慨するところも多々あるかもしれません。

それだけ、「おバカ規制」というものは根が深いみたいです。

しかしながら、読み物としての面白さは依然変わらず、面白い!

では、ちょっと本書の一例として、紹介されている「おバカ規制」を一つ見てみましょう。

【第6章 食品衛生法】

うちの実家にも関わりのある「食品衛生法」より、謎の規制を一つ取り上げています。

まず原さんはこのように書いていますね。

役人の掟? 東京では弁当を路上で売ってはならない

あれ? と思った方も多いかもしれません。……ありますよね? 路上のお弁当屋さん。

実は2013年ごろから東京都の条例の規制強化がされる方針になったそうで、 現状では立ち止まってお弁当を売っていると注意されるのだそうです。

なぜか?

弁当の路上販売は、現状のルールでは「行商」に分類されるとのこと。

「行商」とは「人が一人で運搬できる量を運搬容器に入れて取り扱い、客の求めに応じてその都度、商品や金銭の授受のために立ち止まる以外は、原則として、移行しながら販売すること」

つまり、「立ち止まっていたら、それは行商ではない」という事になっちゃうんですね。

さらに、行商ではないならば「食品衛生法」の飲食店営業の許可を取らなければならない。

食品衛生法に定める「飲食店」とは、「調理」を行うもの、あるいは「設備を設けて客に飲食をさせるもの」のいずれか。

したがって、台車などに弁当を積み、路上で販売する行為は、飲食店ではない。

結論としては、「行商として処理したいから、動き回っててくれ」というお話になるんだそうです。

原さんは本書でこのような事を述べています。

食品衛生を確保する観点の規制なのだから、衛生確保のために必要な規制に変えるべき、「動き回ること」と「食品衛生」はつながらない。

本当にその通りですよね。

さらに本書では、詳しい規制の内容や、それの元となる条文、この規制がなぜできてしまったのかなどを解説しています。

さて今回、著者の原さんのインタビュー音声の一部を本編にて流させていただくのですが、今回のインタビュアーは僕、矢島雅弘ではなく、エンジェル投資家であり、『武器としての決断思考』などの著者、瀧本哲史さんです。

それではどうぞ本編をお聴きください。

◆著者プロフィール 原英史さんは、1966年東京生まれ。 89年に通商産業省に入省し、2007年からは規制改革担当大臣補佐官を務めた、元役人の方です。現在は株式会社政策工房代表取締役として、民間の立場からの政策の提案、およびコンサルティングを務めていらっしゃいます。

日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!

日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!

日本人を縛りつける役人の掟: 「岩盤規制」を打ち破れ!

元規制改革担当大臣補佐官の著者が明かす、日本にはびこるおかしな規制の数々。現状にそぐわず一般の企業や消費者を縛り付ける謎の規制を、その成立背景と改変を困難にしている利権構造と一緒に紹介します。政策を作るのは政府・役人の仕事と思わず、多くの方に知って欲しい知識が満載です。