だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1697回 「朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本」

寝ても寝ても疲れている人は必読! 
他国と比べてもっとも睡眠が不足しているという日本人。
「睡眠障害」というのは、糖尿病、高血圧症、うつ病などの原因にもなっています。
本書には良質な睡眠を手に入れるためのノウハウが載っています。
「いい眠り」を得てストレス解消。気持ちの良い1日を送れるようになりましょう!

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

突然ですが、みなさんは普段どのくらい寝ていますか?

ちゃんと7時間以上眠っていますか?

いや、自分は平日に短時間しか眠ってないけど、土日に寝溜めするから大丈夫だよ、と思ってる人いませんか?

その考え、改めた方がよさそうです。

今回は寝ても寝ても疲れがとれない人にオススメの一冊。

普段、寝不足の自覚が無いのにうたたねしてしまったり、日中の仕事の効率が落ち気味の人も読んでみる価値アリです。

もしかするとそれ「睡眠」に問題があるのかもしれません。

それでは、さっそく本の内容を見ていきましょう。

◆著者プロフィール 林田さんは東京出身で、医療法人社団SSC スリープ&ストレス クリニック理事長。 日本睡眠学会評議員・認定医、精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医。1996年に東京慈恵会医科大学を卒業し、睡眠障害の臨床研究と専門治療に取り組み、2007年、スリープ&ストレス クリニックを開設しました。 他著に『どう診る?日常診療に潜む睡眠障害』(日本医事新報社)、『睡眠不足がなくなる日』(主婦の友社)、『お医者さんが教える「いい眠り」で、キレイになる本!』(三笠書房)などがあります。

眠らない国ニッポン

日本は他の国に比べてよく働くというイメージがありますが、それは睡眠時間に如実に出ているようですね。

日本は他国と比べてもっとも睡眠時間が短い国なんだそうです。

本編でピックアップされている箇所を抜粋させていただきますと、 日本、アメリカ、フランスの成人(30歳以上)合計約7000人を対象にしたインターネット調査の結果、アメリカ、フランスが平均睡眠時間7時間と比べ、日本は6.5時間と約30分短いことが判明しています。

また、平均睡眠時間が6時間に満たない人の割合でも日本がトップだったそうです。

つまり、現代の日本人は良質な睡眠がとれていないということになります。

では、短時間睡眠はどのような影響があるのでしょうか。

まず、日中の仕事効率に影響が出てくることになります。

他国と比べた結果、日中に「集中力がない」と回答した割合は、 アメリカが4.5%、フランスが9.7%に対して日本はじつに17.4%。

「気力・充実感がない」と回答した割合は、 アメリカが13.2%、フランスが13.3%で日本は22.2%。

「日中に眠気を感じる」という質問では、 アメリカが56.0%、フランスが30.3%で日本は70.9%とダントツの割合を示しています。

これらは睡眠に対する満足度が低ければ低いほど、日中のパフォーマンス低下や眠気を感じる割合が多くなっているのです。

また、本書によると睡眠不足が続くことにより「睡眠負債」というものが蓄積するのだそうです。

塵も積もれば山となるというのは睡眠に関しても同じようで、 仮に6時間睡眠を2週間続けたとすると、作業エラーは二晩完全に徹夜した状態に匹敵するんだとか。

加えて、運転シミュレータを用いて飲酒した場合と睡眠不足の場合を比較した実験を行ったところ、一晩徹夜したあとの成績は、なんと血中アルコール濃度0.07%(ほろ酔い状態)の飲酒時と同じという事が判明したそうです。

道路交通法では、血中アルコール濃度0.05%以上で「減点25点、免許取り消し」と規定されています。つまり、徹夜明けの運転は、「免許取り消し」と同じくらい危険な状態ということなんですね。

こう言われると、相当危険だと思いませんか?

さらに、慢性的な睡眠不足が続くと、仕事のミスや自己につながるばかりでなく、生活習慣病やうつ病になるリスクも上がってしまうとのこと。

たかが睡眠、されど睡眠。

あなどると痛い目をみてしまうかもしれませんね。

さて、睡眠不足によるリスクが分かったところで、睡眠についてもう少し理解するために、そのメカニズムを見ていきたいと思います。

睡眠にはサイクルがある!

ご存知の方もいるかもしれませんが、睡眠には大きく分けて「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。

浅い眠りが「レム睡眠」、深い眠りが「ノンレム睡眠」ですね。

この2つの睡眠がワンセットとなり、90?110分程度の周期で朝まで繰り返されるそうです。

眠っていると夢を見ることがありますが、その状態は「レム睡眠」にあたります。

この睡眠が肝。

体は寝ているのでリラックスしているのですが、脳は起きている状態と同じように活動していることが特徴で、脳内では昼間の出来事や学習したことを整理して記憶を固定したり、ストレスをやわらげて心のメンテナンスを行ったりしています。

なので、身体の回復には「レム睡眠」をなるべく長くとることが必要です。

しかし、そう言われても人によってはなかなか簡単にはいきませんよね。

そういった「なかなか眠れないよ」という方に向けてちょっとこちらのお話を。

人の体温というのは、1日の中で一定のリズムで上昇したり下降したりしています。

実は、この体温リズムが睡眠・覚醒のリズムと連動しているそうなんです。

簡単に言うと、体温が上がると覚醒度が上がり、体温が下がると眠くなります。

TVドラマなどで雪山の遭難シーンを見たりしたとき、寒いにも関わらず眠くなってくるというのは、これに起因していたんですね。

ちなみに体温の動きに関しては、午後7時ごろがその日の最高体温になる時間。

以後は徐々に下がり始め、深夜4時ごろにもっとも体温の低い時間がやってきます。

その後、再び上昇を始めて、太陽が昇る朝6時を過ぎると急上昇。

そしてゆるやかに上昇していき、先ほどの午後7時でピークを迎えるというサイクルを繰り返します。

この中サイクルの中で、体温と覚醒度が一番低いのは、御前3時?5時ごろ。

徹夜作業で「さすがに眠いなぁ?」と感じる時間帯がこのあたりなんですね。

そして、この時間のちょうど反対側、午後2時ごろの昼下がりも眠くなる時間帯です。

ランチタイム後に襲ってくる眠気はこれが原因。

眠りのリズムが12時間ごとにやってくるからなのです。

ヨーロッパなどのいくつかの国でシエスタ(午睡)をとる習慣があるのですが、これは眠りのリズムを感覚的に理解しているのかもしれませんね。

では、実際どうすればよく眠れるのか。

本書には今ご紹介したすぐに熟眠できるテクニックがいくつか載っているのですが、その中にひとつ、体温調整に関するものがありますので、ご紹介しましょう。

体温さを利用してスムーズな入眠を

「いかにスムーズに入眠できるか」というのも、睡眠の質を左右する大きな要素のひとつ。

理想は、ベッドに入ったらなるべく早く眠りに入り、そのまま最初の3時間をしっかりと眠ることです。

しかし、みなさんの中には、いざ眠ろうとしたものの頭が冴えてしまう、というふうになってしまう方もいるのではないでしょうか。

そしてそうなると悶々としてしまい、余計に眠れない……。

このパターンは避けたいですよね。

それを防ぐためのカギが体温調整なのです。

ポイントは、体温が下がり始める前に、一度しっかりと体温を上げておき、なるべく差がつくようにして寝つきをよくすること。

体温の落差が急激であるほど寝つきがよくなるので、これをうまく利用していきましょう。

それでは具体的な方法を。

1、就寝前の入浴で体温を上げる

寝る前に体温を上げる方法として、もっとも有効なのは入浴。

夏場などシャワーで手早く済ませてしまう人もいるかもしれませんが、しっかりと入浴をするようにしましょう。

お湯の温度はぬるめ(38?40度)が適温。

その理由は、ぬるめの方が入浴中の体温の上がり方がゆるやかで、お風呂からでた後の体温の下がり方が理想的だからです。

入浴後は、身体の緊張がゆるんだことによって副交感神経が刺激され、眠るときに優位にしておきたい副交感神経のスイッチがオンになるので、30分ほどでスムーズに眠りにつくことができます。

ここで注意しておきたいのが熱めのお風呂入ったとき。

温度が高いと血圧が上がって身体が緊張し、交感神経が刺激されてしまいます。

さらに、体温が下がるまでに時間がかかるので、寝付くまでに余計な時間がかかってしまいます。

ということで、すぐに眠りに入りたい方はぬるめのお風呂に入りましょう。

2、午後8時までの軽い運動で体温を上げる

運動をすると、身体の内部から熱が出て体温がぐんぐん上がります。その後、2時間ぐらい経つと、放熱が行われて体温が下がり始めるので、眠気がやってきます。

このとき注意しなければならないのは、運動をする時間帯。

体温が下がり始める前にできるだけ体温を上げることが目的なので、午前中や午後の早い時間では意味がありません。

逆に遅い時間では、なかなか体温がさがらないため、かえって寝つきを悪くしてしまいます。なので、運動は夕方から午後8時ごろまでに行いましょう。

ちなみに運動はハードな筋トレや息をつめてダッシュするようなものはNG。

筋肉痛や興奮が鎮まるのに時間がかかるためオススメできません。

運動するのであれば、20?30分かけてゆっくりと心拍数があがっていくような有酸素運動、つまりウォーキングや軽いランニングなどが有効です。

というわけで、ここまで紹介させていただきました。

本書の中にはすぐに使える熟眠テクがほかにもたくさん載っていますので、睡眠について悩まされている方には、本当にオススメの内容です。

仕事に追われてなかなか寝る時間がない、なぜか夜眠ることができない、という人はぜひ一度本書を手にとってみてはいかがでしょうか。

朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本

朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本

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寝ても寝ても疲れている人は必読! 
他国と比べてもっとも睡眠が不足しているという日本人。
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