新刊ラジオ第1661回 「黙示録 (単行本)」
琉球王国に生まれた貧しい少年・蘇了泉。
不運の連続から明日食べるものにも困り、ついに盗みまで働くようになった了泉の前に、「お前を弟子にしたい」と言い出す男が現れた。了泉自身ですら気づかなかった天性の《華》、それは舞台で人の目を惹きつける踊りの才能であった。
底辺を生きてきた少年は、強烈な野心を胸に、舞踊の世界でのし上がっていく。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
さて、今回紹介する作品『黙示録』。
なんだか物々しいタイトルなのですが、実は《踊り》を中心とした物語です。
舞台は18世紀の昔、文化が成熟した絶頂期の琉球王国。
底辺を生きる少年が、あるキッカケから舞踊家としての才能を開花させます。
そこから、彼の波瀾万丈の人生が幕を開けるのですが……。
では早速内容を見ていきましょう。
主人公の少年の名は、「蘇了泉(そ・りょうせん)」。
彼は、那覇の街で芸人一座の客寄せ係として働いていましたが、とある事件により職を失ってしまいます。
それからは、その日食べるものを得るために盗みを働く毎日。
そしてある日、とうとう逃げ切れずに追い詰められてしまった了泉の前に、一人の男が現れます。
彼の名は「石羅吾(いしらご)」。
王府に踊奉行(おどりぶぎょう)として仕えている人物で、芸人一座の下っ端時代から、了泉のことを見ていたというのです。
石羅吾は、了泉は人の目を惹きつける天性の才能があり、踊りの道を究めれば、きっと皆をとりこにする最高舞踊家になるとも言いました。
おのれの人生を大きく変えたいと切望する了泉と、その了泉の才能を利用して、長年あたため続けた自分の願いを叶えたい石羅吾。
ふたりの胸に灯(とも)った野望の火は、彼らの運命を大きく変えていきます――。
といったところで、物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。
◆著者プロフィール 池上さんは1970年生まれ、沖縄県出身。 1994年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。他著に『風車祭(カジマヤー)』、『テンペスト』、『トロイメライ』、『シャングリ・ラ』などがあります。
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