新刊ラジオ第1639回 「老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ―老化の原因は悪玉「AGE(エージーイー)」だった!」
年をとれば、皮膚がたるんだり、シミ、シワができたり、体が硬くなったり、白内障や認知症、骨粗しょう症、がんになっても仕方ない…、とあきらめていませんか?
でも、実はコレ、「AGE(エージーイー)」という老化物質が大いに関係しているのです。
「AGE」を体内にためないようにすれば、いつまでも若々しく、元気でいることも夢ではない!その秘訣を、食生活を中心に本書で詳しくご紹介します。
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概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
「老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ」。
きっと、唐突なタイトルと思われたことでしょう。
しかし、私たちがよく口にする「餃子」の調理法一つで老化のスピードが決まってしまう、としたらどうでしょうか?
血糖値が上がると体中のタンパク質が糖まみれになり、変性し、劣化します。
このように糖で変性したタンパク質を糖化タンパク、「AGE(エージーイー)」と呼びます。
最近の研究により、この「AGE」が体にたまることで脳梗塞などを引き起こす動脈硬化が進行したり、また、「AGE」が女性にとっては大敵の、シワ、シミ、たるみなどの原因になることも明らかにされ、美容の領域でも注目を集めています。
人間、生きていく上ではエネルギー源として糖が必要ですから、「AGE」化は避けて通れない現象です。
しかし、「AGE」がたまって老化が早い人と、そうでない人がいるのも事実です。 どうしたら「AGE」を抑え、老いを阻止できるのか、本書で一緒に学んでいきましょう。
◆著者プロフィール 著者の山岸昌一さんは1963年新潟県上越市生まれ。久留米大学医学部教授であり、医学博士、内科医として活躍されています。 山岸さんは1989年金沢大学医学部を卒業後、金沢大学大学院医学研究科博士課程を修了し、米国アルバートアインシュタイン医科大学での研究を経て、2008年より久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座教授を務めています。 これまでに「AGE(エージーイー)」に関する英語の学術論文を450編以上発表し、アメリカ心臓病協会基礎科学部門最優秀賞、日本糖尿病学会リリー賞、日本抗加齢医学会研究奨励賞などの医学賞を受賞しており、最先端の研究者であると同時に、循環器、糖尿病、高血圧を専門とする臨床医としても活躍されています。
老化や病気のカギを握る「糖化」と「AGE」
まず「AGE(エージーイー)」について、一体どんなものなのか改めて説明していきましょう。
「AGE」とは「タンパク質」が「糖化」してできた最終生成物であり、イメージとしては、砂糖まみれのお菓子を想像して頂ければいいかと思います。
元はキレイなタンパク質だったのに、その表面にベタベタと糖がくっつくことによって、タンパク質は本来の動きを失ってしまいます。
「タンパク質」は、血液にも、脳にも、筋肉にも、皮膚にも、髪の毛にも、骨にも、色々な臓器にも存在し、それらが「糖化」すると、体のいたるところで、様々な障害が出てきてしまうのです。
皮膚を例にとってみましょう。
そもそも皮膚は、真皮部分は、コラーゲンや肌にプリプリ感を与える弾性繊維などの「タンパク質」からできています。
そしてこれらの「タンパク質」によって、ハリや弾力性が生みだされています。 しかし、これらが「糖化」を受け、「AGE(エージーイー)」化すると、その影響により硬くなり、機能が低下してしまいます。
その結果、肌のハリや弾力性が失われ、シワ、たるみが出てくるのです。
体に張り巡らされている血管も「タンパク質」でつくられています。
血管の「タンパク質」が「AGE」化すると、どうなってしまうでしょうか?
血管の内側が厚くなり、「動脈硬化」が起こってきます。「動脈硬化」が進み血液の流れが悪くなり、脳の血管が詰まってしまうと「脳梗塞」、心臓の血管が詰まってしまうと「心筋梗塞」が起きてきます。
このように「AGE」は、体の至るところで悪さをしでかす「悪の根源」であることがおわかりいただけたと思います。
では、この「AGE」に対抗する為に、私たちは何に気をつければいいのでしょうか。
ここからはその方法をいくつか紹介していきましょう。
「AGE」をつくらないための血糖値コントロール
食事を摂取すると、糖質は消化酵素によってブドウ糖に分解され、小腸で吸収されます。
そのブドウ糖は血液に乗って全身に運搬されるため、健康な人でも食事をすればその都度、血糖値は上がります。
これは仕方のないことです。
問題なのは、「血糖値が急激に上昇し、高い状態が長く続く」場合です。
しかもそれが頻繁に繰り返されると、この間に「AGE」がたくさんつくられてしまうので、注意が必要となります。
では、食事による血糖値の急上昇を改善する方法はあるのでしょうか?
ずばり二つ。
一つは食事に、もう一つは運動に気を配ることです。
食事の食べ過ぎがよくないのは言うまでもありませんが、何をどのように食べるかによって、血糖値の上がり方は、ずいぶんと変わってきます。
食事の時に食物繊維やビタミンが豊富な野菜やきのこ、海藻などを意識的に選び、摂取することで、糖分の吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇が緩やかになります。
そして、時間をかけてゆっくり食べることも大切です。できれば20?30分以上、時間をかけることで、血糖値の急上昇を予防できます。
また、食べる順番も重要です。
血糖値を上げない「食べ順」とは、ずばり、糖質の吸収を緩やかにするものから先に食べること。
そして、血糖値の上がりやすいものは、食事の最後に回す。
こうすれば、糖化リスクを極力さけることができます。
具体的には、まず、先程も述べたように、一番初めに野菜や海藻類、きのこ類を食べます。
できれば小鉢の三分の一以上は食べましょう。
それから次に口に入れるのは、肉や魚、大豆などのタンパク質を多く含むおかず類。
タンパク質が不足すると細胞の新陳代謝が衰えてきますので、できるだけ資質の少ない良質なタンパク質を摂取することが重要です。
最後に、ごはん、うどん、パスタなどの炭水化物を食べます。
炭水化物は血糖値を急上昇させる食品群ですので、最初に食べてしまうと、血糖値がグンと上がってしまうので注意が必要です。
そして運動も、食事による高血糖を改善するためには重要です。
運動をすることで、ブドウ糖が筋肉に取り込まれてエネルギーに変わり、血糖値が下がります。できれば、水泳やジョギングなどの全身を使う有酸素運動がいいでしょう。
では、以上をふまえて、具体的に、食品にはどういった調理をしたらいいのか、 本書のタイトルにもある“焼き餃子と水餃子”を例に挙げて考えてみましょう。
焼き餃子より水餃子の方が「AGE(エージーイー)」は少ない?
まず、焼き餃子の作り方と水餃子の作り方をおさらいしてみましょう。
焼き餃子は鍋を熱して、煙が立つくらいになったら油を引き、餃子を並べます。
そして途中で水かお湯をさして蒸し焼きにし、最後に油を回しいれ、焦げ色をつけてパリッとさせます。
ホットプレートを使う場合は、たいてい加熱温度を180℃に設定しましょうとレシピに書いてあります。
一方、水餃子は、たっぷりのお湯に餃子を入れ、数回、差し水をして一定の温度にお湯を保ち、ゆで上げます。
「AGE」は、高温調理のほうが増え、加熱時間が長い方が増えます。
つまり、焼き餃子より、水餃子のほうが「AGE」は少ないと言えます。
また、「AGE」は、タンパク質が糖や脂肪と一緒に高温で加熱調理されるときにつくられるので、したがって、焼き目が付き、きつね色になった部分には、多量の「AGE」が含まれています。
茶色く焼き色がついていればいるほど、「AGE」は多い。
そう考えると、唐揚げやフライなど、揚げ物はみなきつね色ですから、「AGE」量が多いことが分かります。
以上をふまえると、調理で「AGE」を増やさないようにするためには、加熱温度を低く、短時間で調理する方がいいでしょう。
一番いいのは、火を通さず、生で食べることです。
とはいえ、毎日、生ものばかり食べるというのは、難しいもの。
そんなときは、なるべく水を使った調理方法を選ぶのが得策です。
水の沸点は100℃。
ゆでたり、蒸すなどの調理は水を使うので、沸騰しても100℃までしか調理温度が上がりません。
また、70℃前後の温度で食材を蒸す「低音蒸し」という調理法は、その名の通り、低音で蒸しながら料理するので、「AGE」が生じにくい調理法です。
1回の食事から取り込む「AGE」は微々たるものでも、長い間に積み重なって大きな差になります。
まずは、できる範囲内で「AGE」をとりすぎない調理法を選んでみましょう。
■ まとめ
いかがでしょうか?「AGE」のことが、お分かりいただけでしょうか?
今回ご紹介した以外にも、本書では
・血糖値を上げないためにはいつ運動したらいいですか? ・たばこで「AGE」が増えますか? ・「AGE」を抑える食品はありますか?
など、「AGE」に関する疑問が分かりやすくイラスト付きで説明されています。
ぜひ本書を通して、「AGE」を意識した食生活を送ってください。
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