新刊ラジオ第1624回 「上司はキミのどこを見ているのか?」
「がんばってるのに、なぜ?」そう思っている方におすすめ。
仕事に取り組む姿勢、心構えを教えてくれる一冊です。上司はあなたのどこを見て判断しているのか。著者の小倉広さんが「上司代表」として分かりやすく解説しています。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
今回紹介する本は、働いている自分が上司からをどのように見られているかというお話。
小倉さんが、みなさんの上司に代わって「上司代表」として仕事の取り組み方、意識の向け方など、分かりやすく解説されています。
会社の上司はみなさんのことを見ていないようで、しっかりと見ていて、評価を下しています。
その上司の視点を少しでも味わえるように、本書からいくつか項目をピックアップしてご紹介していきましょう。
◆著者プロフィール 小倉広さんは、経営コンサルタント、株式会社小倉広事務所代表取締役。 「リーダーシップとは生き様そのものである」との考えから、人間力向上のための小倉広「人間塾」を主宰しています。
タイムマネジメント編
■それはつまり「生き方の設計書」なんだ
「ああ。やばい、遅刻しそう!!」と言って時計を見ながら走る自分。
なんとか始業1分前に職場に飛び込んでタイムカードを押し「ギリギリセーフ!」。
ふと周りを見ると、早めに来ていた同僚はすでに一仕事終えていて……。
こんな光景に身に覚えのある方は、意外といるのではないでしょうか。
「一分前に来たんだから遅刻じゃないよ」「始業前に来れば問題ないでしょ」と思ってはいませんか?
確かに遅刻ではないかもしれませんが、上司はそう見てはいません。
上司は、遅刻をしたか、していないかだけでなく、始業開始ギリギリに駆け込んでくる行動から、仕事に対する取り組み姿勢を見ているのです。
一見すると何でもないような朝の過ごし方でも上司はちゃんと見ていて、その行動からその人のことを深読みしているということですね。
実は小倉さんも20代の頃はこの状態だったようで、ルールを守りさえすれば良いと思っていたそうです。
ですが、上司はそんな小倉さんのことを「タイムマネジメントができていないな」「仕事に対する姿勢が間違っているんじゃないの」と見ていました。
タイムマネジメントは、1日の時間をどう使うか。つまり自分の行動をマネジメントするということです。
そして「行動」の積み重ねが「人生」となるので、タイムマネジメントは「人生」マネジメントでもあります。
だから上司はその人の「行動」から「生き方」を読み取るのです。
■20代、30代。チャンスは断っちゃダメだ
まずはちょっとした例から。
『ある部署に同期の坂本君(仮名)と本多君(仮名)の2人異動してきた。坂本君は「異動したてだから、様子を見ながら仕事をしていこう」と思った。そこで上司に仕事を頼まれたときは、自分の状況を考えて仕事を受けたり断ったりしていた。一方、本多君は、上司からの頼まれごとは全部引き受けた。 気がつくと本多君は次々に大きな仕事を任されるようになり、ついには新規プロジェクトのリーダーに抜擢された。一方の坂本君はあいかわらず異動時と同じような仕事しか与えられない。「本多よりオレのほうができる」と自負していた坂本君は、「なぜこうなったんだ?」と地団駄を踏む』(P36より抜粋)
というお話です。
自分より明らかにできない人が、いつの間にか自分を追い抜いていった。
こういう類の話はビジネスの世界ではよくある話だそうです。
ではなぜこうなったのでしょうか。
それは、チャンスを断ったか、断っていないかが大きく関係しているのです。
確かに、中には「できないことは断れ」という人もいます。
それも一理あるのですが小倉さんは、例外的に20代、30代の若いうちはチャンスを断っちゃダメだ、と言っています。
さらに言うとチャンスだけでなく、どんな仕事でもよほどのことがない限り断ってはダメ、とのこと。
もし上司から仕事を頼まれたとき「ちょっとできないです」と言ったとしたら。
上司はそこでバツを出してしまう。
そして上司は、簡単に仕事を断る保守的な人ではなく、多少ムリをしてでも「やります」と言う人に頼もう、と思うようになります。こうして、人はチャンスを失うのです。
「僕にはできないかもしれない」「時間がないし」と思っても、多少無理をしてやってみると、上司からは「積極的でいいね」「次のチャレンジングな仕事もやらせてみようかな」と思うようになります。
やらないことが一番よくない、やって後悔するのはいい。これは小倉さんが上司の立場になって改めて感じたことだそうです。
打ち合わせ・会議編
■黙っていたらゼロ、じゃないんだ
会議中にあさっての方を向いている。
携帯をいじる。
頬杖をついている。
ノートに落書き……。
会議に参加しているとき、こんな人をよく見る、または自分がこうかもしれない、という人はいませんか?
このような人たちに対して小倉さんはこう言っています。
『皆さん知っていましたか? 影響力にはプラスとマイナスのいずれしかないんです。つまりゼロはない。そしてこの場にいる皆さんは全員、この会議に対して影響力を発揮しています。それは、プラスかマイナスかです。繰り返しますがゼロはありません。さて、皆さんは一人一人、この場に対してプラスの影響力を発揮していましたか? それともマイナスの影響力を発揮していましたか? 果たしてどちらだったでしょうか?』(P54より抜粋)
というお話なのですが、みなさん、どう思いましたか?
心当たりのある方もいるのではないでしょうか。
会議中で自分は発言せずに黙っているからプラス、マイナスの影響力を発揮していない、影響力はゼロだ、と思っている人は実際結構多いようです。
しかし、たとえ一言も発していないとしても、会議に参加している人は必ずプラスかマイナスのオーラを確実に出しているとのこと。
プラスの例を挙げると、発言者の話す内容に一生懸命うなずいたり、発言者の目を見たりしてその場を盛り上げるような情熱を出すこと。
逆にマイナスの例は、外を見たり、携帯をいじるといった先程の質問に当てはまる人ですね。
上司は、会議中にどのような姿勢で臨んでいるかを見て、黙っている時にその人の真価を問うのです。
■会議のあとで文句を言うのはナシ
会議で今後の方針を決める際、上司が「みんなで決めた方針について、何か質問ある? とくに何もないようならこれでいくけど、いい?」と問いかけ、その場にいた全員が「はい、それでいいです」と答えたとします。
そしてその場で解散。
ぞろぞろと席を立っていく中、「まったく、やってられないよなあ」「あの方針はこういう問題点があるんだよね」「だからやっても絶対うまくいかないよ」というようにグチる社員。
このようにわいわいと意見や文句をいう人たちのことを上司はちゃんと見ています。
そしてこう思う。
「意見があるなら会議中に言えばいいだろう」「会議が終わってから言うなんて、じゃんけんで後出しをしているようなものだよ」と。
もっといえば「会議の場をぶち壊していることに気づいていないんだな」というふうにその人たちを見ています。
会議の後に意見や文句を言うのは、会議で決まったことをひっくり返すということです。
そうなると会議での話し合い自体が無意味となり、他に参加していた社員たちの時間も無駄になってしまいます。
会議後に意見や文句を言うのは先程お話したマイナスのオーラを強烈に発揮することになるのです。
そして上司は「仕事を任せられないな」とバツをつける。
このような判断になってしまうのです。
■まとめ
というわけで、本書の中からいくつかピックアップしてご紹介させていただきました。
どうでしょう、上司がどのような視点でみなさんを見ているのか、少しでも感じていただけたらと思います。
本書は20代の方から30代のビジネスマンにオススメできる内容となっています。
新入社員の方、会社に慣れて少し気が緩んでいる方はこれからの心構えを本書から読み取ってみてはいかがでしょうか。
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