新刊ラジオ第1593回 「ビートル頭-ビートルズの使い方 世界をビックリさせつづけるクリエイティブの本質」
ダウンタウンなどの番組のブレーンとして「ダウンタウンDX」や「M-1グランプリ」を担当してきた放送作家、倉本美津留さんが教える「クリエイティブの本質」。倉本さん自身も好きなビートルズを例に、誰でもクリエイティブになれる心構えを、面白く(←重要)教えてくれます。企画力を鍛えたい人は是非ご一読を!
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概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
今回紹介する本は、その名も「ビートル頭(ズ)」
これはそのままズバリ、「ビートルズのような考え方をしよう!」という意味です。
本書では、このビートルズのような考え方を「ビートル頭」と表現し、その本質を分析しながら、日常の仕事に役立てていく方法などを語っています。
はい、ここで一つ疑問です。
「ビートル頭って何だ!?ビートルズのような考え方って何だ!?」
そんな人のために、本書のはじめにから一部分を引用させていただきます。
ビートル頭というのは、ファンタジーをリアルの世界で実現するやり方のこと。音楽で世界をひっくり返した……というか、デビューから50年たったいまも、進行形でみんなをびっくりさせつづけているあの4人組が、どうやってこんなスゴイことをやってのけたのか、みんな知りたいはずだ。ヤツらの方法=ビートル頭を使えば、誰にだって世界をあっと言わせるチャンスを引き寄せることができるかもしれないのだ。さっきまでこの世にまったく存在していなかったものを、カタチにして出現させてしまう方法。時空を超えても古くならないものを作る方法。それは、「革新」と「普遍」を同時に起こす、とんでもない技だ。(p.3〜4から引用)
まじめな説明はここまで。
では、本のノリに合わせて「ビートル頭」とは何なのかを端的に説明しましょう。
ビートル頭とは……
「あかん!俺天才や!!」と思い込んで、思い込んで、思い込み続けて!!!
なんかでっかいことやっちゃう方法、というか、思考術というか、心構え、人生訓みたいなものです。
倉本さんはこう言っています。
ジョン・レノンはリバプールという町に住んでいた、普通の少年だった、と。
いや、むしろ環境的にはあんまり恵まれている方ではない少年だった、と。
しかし、そんなジョン・レノンがあんな世界的なアーティストになれたんだから、俺だってなれるはずだろう!?と。
……人によっては失笑されそうですが、思い込みの力や根拠の無い自信というのは侮れず、意外と世に言う成功者はこういう考え方をしているものです。
では、こういう自信を持ちつつ、実際に成功したビートルズは、もっと他にどんな成功法則を持っていたのか、倉本さんは自身の体験や考察を元に分析していきます。
◆著者プロフィール 倉本美津留さん、1959年生まれ、放送作家、作詞家、脚本家、演出家など、多彩な分野で活躍されている方です。ミュージシャンを志望していましたが、1982年に大阪の番組制作会社に入社し、その後、ADから放送作家に転身しました。放送作家として、数々の実験的・意欲的な番組を手がけ、ダウンタウンや島田紳助などの番組のブレーンとして活躍。「ダウンタウンのごっつええ感じ」や「ダウンタウンDX」「M-1グランプリ」などを担当されてきたそうです。
ビートル頭の使い方
根拠の無い自信は時として成功者を生み出しますが、同時に変わり者も生み出しますよね?
より正確に言うと「一生成功しなかったので変わり者扱い」だった人。
そういう風にならない為に、本書で倉本さんは色々とアドバイスをくれたり、法則化したものを教えてくれます。
例えば、僕の心を掴んだ、こんなフレーズが本書の中にはありました。
自分が面白いと思うことをちゃんと発信して、それがどうなるか試す。面白がられるか、否定されるのか。仮に誰からも面白いという反応がなくても、それでもなお、自分の中で面白いという確かな感覚があるんだったら、信じつづけるということ。100%否定されたって構わない。「自分がおもろいと思う感覚を信じつづける」ということにおいては、人にどう思われようが構わないんです。それができたわけです、ジョンは。(p.20〜21から引用)
これは良いフレーズでした。
まず、自分が面白いと思うこと、その面白いという感覚を信じる。
そうしたら、その面白いことを世の中、あるいは周りの人に発信してみる。
仮にそれが否定されても、でもやっぱり面白いと思うなら、信じつづける。
僕は感動しました。
言葉で聞くと当たり前のようかもしれません、文字で読んでても、当たり前のような気がしていました。
でも実際に、これを実行できてない人が、多い。
ここからは僕自身の体験談ですが、面白い思うことを信じるのは楽しいです。
きっと、誰でもすんなりできます。
でも、それを発信するのは、人にはよっては恐いです。
さらにそれが否定された時「それでも自分は面白いんだ」と信じつづけるのは、もっと恐いでしょう。
……でも、それが出来ていると、本当にクリエイティブな人間になっていくと思います。
4+2の法則
本書の中からもう一部分だけ紹介させて下さい。
「4+2の法則」
ビートルズはご存知のように4人組でした。
この4人の人間関係は、どんな仕事でも、どんな場面でも使える、と倉本さんは表現しています。
曰く、ジョン・レノンは「世の中の常識なんか関係ない。オレは絶対に一番になるんや」という性格。
ポール・マッカートニーは「ええヤツやと思われたい、めっちゃ有名になりたい」というコミュニケーション能力の高い人。
ジョージ・ハリスンは状況を冷静に見て「それってこっちなんちゃう?」と客観視でき、リンゴ・スターは「まあまあええやん、楽しかったら」とムードをつくるタイプ。
ジョンとポールがチームの核となり、ジョージとリンゴがそれをサポートする、とてもバランスの良い要素が揃っていたんだそうです。
なお、余談ですが、倉本さんはダウンタウンの松本さんをジョン・レノン、浜田さんをポール・マッカートニーになぞらえています。
この辺りの詳しい事は本で読んでみて下さい
。実際にダウンタウンのお二人と長年一緒に仕事をしているだけあって、倉本さんのダウンタウン評は、本書の読みどころの一つですよ。
さて、話を戻しますが、先ほどのビートルズの4人。
ここにもう2人の人材が加わると、もっと大きな影響力を持つクリエイティブが完成します。
これが倉本さん曰く「4+2の法則」。
そして実際のビートルズにも、あと2人の要素が存在したのですが、それは誰なのか!?
これは皆さんが本を読んでのお楽しみということにしましょう。
まとめ
本書の構成は非常に単純明快で、
1章が、今一部分をご紹介してきた「講義・ビートル頭」。
2章が、このビートル頭を7つの法則に落とし込んだ「法則・ビートル頭」
3章が、倉本さんと同じように実際にビートル頭を使ってクリエイティブな活動をされているゲストと対談した「対談・ビートル頭」
以上の3章構成です。
なお、3章のゲストは4人いらっしゃいまして、ビートルズの初代ディレクターの高嶋弘之さん。
漫画家の浦沢直樹さん。
作家・ミュージシャンの辻仁成さん。
そして、スキマスイッチや元ちとせさん等が所属するオフィスオーガスタの社長の 森川欣信さん、です。
この本の魅力は色々ありますが、ところどころ関西弁で書かれていて、親しみやすい表現が多いのもその一つだと思います。
「ビートルズから学ぶ成功法則の本」という認識でも間違っていないのですが、もっと「放送作家の人が書いた、おもろくてためになる本」くらいの認識で、お手にとって頂いて良いと思いますよ。
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ビートル頭-ビートルズの使い方 世界をビックリさせつづけるクリエイティブの本質 |