新刊ラジオ第1571回 「たたかえ!てんぱりママ―モンスターティーチャーとのあれれな日々」
ある日突然、子供の学校にモンスターティーチャーがやってきた!そのとき親はどうすればいいのだろうか。子供が学校でいじめにあった、不登校になった。そんなときあなたなら学校と、いじめをした子供の親とたたかえますか?いつあなたの子供が学校でトラブルに巻き込まれるか分からないのです。シングルマザーである母親がたったひとりで学校とたたかい続けた奮闘エッセイです。
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概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
「モンスターペアレンツ」という言葉を聞いたことはありますか?
クレーマー的な保護者のことを指す言葉ですが、“モンペア”や、“モンペ”とも言われますね。
これに対して、“モンスターティーチャー”という言葉をご存知でしょうか?
今回ご紹介する本の中にこの言葉が出てきたのですが、本書は、著者の息子が通う中学校に赴任してきた、“モンスターティーチャー”との戦いを赤裸々に綴った一冊です。
保護者だけでなく教師の側にもおかしい人がいるといった内容だったんですが、いったい教育の現場はどうなっているのでしょうか……。
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◆今日の一冊
『たたかえ!てんぱりママ―モンスターティーチャーとのあれれな日々』 (内藤みか/著 亜紀書房/刊)
◆著者について
1971年山梨県生まれ。小説家。エッセイスト。大学在籍中に作家デビューし、電子書籍系の執筆を中心に活動なさっています。一男一女のシングルマザーでもあります。一芸子育てに重きを置き、息子さんは数学オリンピック、娘さんは二科展入賞を目指して精進中なのだそうです。
モンスターティーチャーとは?
この本は、著者である内藤みかさんの息子さんが通う私立中学で遭遇したモンスターティーチャーとの確執、転校した公立中学でのいじめ、学校でのトラブル、親同士のいざこざについて書かれたものです。
“モンスターペアレンツ”という言葉は聞いたことがあっても、“モンスターティーチャー”とはいったい? と思われる方もいるのでは。
“モンスターティーチャー”とは、問題教師のことです。
内藤さんの息子さんは、数学が得意で中学2年生のときには高校1年程度の数学の実力が必要とされる、数学検定準2級を独学で合格したほどでした。
全国中学数学大会ではファイナリストになることもできた彼を、新任でやってきた担任教師は、粉々に壊そうとしはじめました。
簡単すぎる無味乾燥な数学の宿題を大量に強要し、できなければ夜遅くまで残していました。
体調が悪くても帰してもらえず、そのため息子さんは持病を悪化させ手術をしなくてはならない一歩手前になるほどにまでなってしまいました。
その他にも息子さんが担当していた数学係を、失敗を繰り返したということで剥奪し、数学の時間にはいっさい指名をしなくなったそうです。
そして、息子さんはみるみるうちに元気を失っていき、登校時間になると吐き気を訴え、不登校状態になってしまいました。
努力して入学した私立中学。
受験するときに、この学校がアットホームで温かく、数学教育に力を入れているといことで選んだそうです。
入学後もその校風は変わらず楽しく通っていたというのに、その新任教師が担任となって状況は一転してしまったのです。
「人間が嫌い」と父兄に向かって言う教師
内藤さんの息子さんが中学2年生になって、新しい担任の教師が初めて挨拶をしたときの言葉が信じられないものでした。
教室に集まった父母に向かって、新任の教師はこう言ったのです。
「最初に言っておきますが、私は人間が、嫌いです」
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そして、こう続けたそうです。 「人間が嫌いなので、この場に立っていることもつらいです。でも連絡事項があるので続けます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
もし、あなたのこどもの担任になった教師がこのような言葉を言ったらどうしますか?
もし、自分がこの教師のクラスの生徒になってしまったらどうしたらいいのでしょう?
考えるだけでもゾッとしませんか?
そしてその教師はそれから信じられない行動を次々と起こしていきます。
子供たちのことをまったく考えない授業の進め方、子供のことを罵るような発言、子供の個性を押しつぶすような人格を否定する言葉、莫大な量の課題、できないときの罰則・・・などなどきりがありません。
そうして内藤さんの息子さんは心療内科に通い、学校へも通えなくなってしまいます。
シングルマザーである内藤さんは、たったひとりで息子さんのために、教師と、学校と、教育委員会とたたかいます。
本のなかでは、そんな内藤さんの息子さんに起こった数々の出来事を綴り、読者が実際にモンスターティーチャーと出会ったしまったときの心構え、学校で起きたトラブルの対処法も書かれています。
学校で対処できない場合、どのような場所、相談所へ行ったらいいのかも載っているのでとても参考になります。
たたかいに疲れた内藤親子は・・・
たたかいに疲れ、息子さんの将来をも考えて、内藤さんはせっかく受験をして入った学校を辞めることを考えます。
この学校にいてもなにも変わらないのならば、自分たちが変わるしかない、そう考えたのでした。
最初は嫌がっていた息子さんも、たび重なるトラブルに、地域の公立中学への転校を望みました。
何校か見学をし、校風、生徒たちの雰囲気、教育方針などを実際に目にして決めた公立中学でした。
その学校に通える学区への引っ越しもしました。
しかし、息子さんはその中学校でこんどは、クラスメートからいじめにあってしまいます。
そして、そのいじめた子供の親とのトラブルは法廷での裁判にまで発展してしまいました。
内藤家はいったいどうなってしまうのでしょう・・・?
いつどこであなたの大事なお子さんがトラブルに巻き込まれるか分かりません。
現在すでにモンスターティーチャーで悩んでいる家庭、いじめにあっている子供たちはもちろん、いまは何も問題が無くなく学校生活を送っているお子さんをお持ちのかた、全ての親、そしてこれから親になるであろう若い世代にも是非とも読んで欲しい一冊です。
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