新刊ラジオ第1547回 「新刊ラジオSPECIAL 浅田次郎の名作短篇をラジオドラマ化!」
「J-WAVE DOCOMO SOUNDS OF STORY 〜ASADA JIRO LIBRARY〜」は、作家・浅田次郎さんの短篇作品の数々を、実力派俳優の皆さんが朗読でお届けする番組です。今回は新刊ラジオの特別版として、番組プロデューサーの宇治啓之(うじ・ひろゆき)さんにお話をうかがっていきます。
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概要
現在、J-WAVEで放送中の「DOCOMO SOUNDS OF STORY 〜ASADA JIRO LIBRARY〜」(毎週土曜日 夜8時からJ-WAVE 81.3 FM)が幅広い世代からの人気を博しています。
この番組は、小説家・浅田次郎さんの短篇小説を、実力派俳優や声優、アーティスト、ミュージシャンなどが週替わりでストーリーテラーとなって、朗読形式で届けるものです。
「最近、若者を中心に“読書離れが進んでいる”と言われますが、ラジオならではの手法でもっと本に触れる機会を持ってもらえるような番組を作ろうと思いました」と語るのは、番組プロデューサーの宇治啓之さん。
今回は、その宇治さんに、番組立上げの経緯などについて話をお聞きしました。
本との接点を増やすラジオ番組の立上げ
―この番組はどういった経緯でスタートされたのでしょうか。
宇治「普段から、本を手に取ってもらう機会が少ないということを個人的にも感じておりまして、ラジオならではの手法で“本を手に取るきっかけ”となるような番組ができないかなというところからスタートしました。 なぜ浅田次郎さんの作品かというと、やはり短編小説の名手と言いますか、日本を代表する作家さんですし、表現としても独特の言い回しはありますが、難解すぎるわけでもありません。特に『霞町物語』(講談社/刊)は、浅田先生の青春時代の経験ともリンクしている作品だと思いますが、江戸っ子の粋というか見栄というか、ぶっきらぼうにやりつつも家族の絆があるストーリーで、そういう風情みたいなところや、良い作品に出会えたあとの心に残る余韻みたいなものを番組としてリスナーに届けたいと思って始めたのがきっかけです」
―“ラジオならでは”とおっしゃいましたが、役者一人の「朗読」ではなく、登場人物の台詞に別々の役者をあてるなど「ラジオドラマ」の形式を取られています。こういった演出にはどのような狙いがあるのでしょうか。
宇治「今までラジオドラマの番組は他局さんを含めてありましたし、ラジオの王道だと思うんですね。そこで、J-WAVEという局のカラーと、新しい狙いを含めてどういったパッケージにしようかと考えたとき、あえて読み手を固定しないことによって様々な表現方法が可能になると思いました。読み手のキャラクターを贅沢に週代わりにして、「ラジオドラマ」でも「朗読」でもない新しい形式を取っています。また、J-WAVEの強みである「音楽」の魅力も伝えられる番組にしたいと思い、現在のような演出にしています」
―ストーリーテラーとなる演者さんのキャスティングはどのように行っているのでしょうか。
宇治「作品を読んでのイメージで決めることもありますし、今後を含めて答えると、意外性のあるところでも挑戦してみたいです。主人公に合わせてキャスティングをしているとそれはそれで幅の広がりがないので、実際に聴いていて浅田先生の世界観を壊さないところで、どう勝負していくかというところですね」
―番組を聴いたリスナーさんからの反響はどうですか。
宇治「おかげさまで非常に多いんですよ。ありがたいお言葉をリスナーの方々からたくさん頂きました。まずは、“待っていました!こういった番組が聴きたかったんです!”というものや、“今まで本から離れていたんですけど、本を読む良いきっかけになりました”というもの。あとは、最終的には作品の良さというところになるんですけど、“号泣した。泣いたどころじゃなくて、号泣した”という声もありました。 他にも“ゴールデンウィークで、車が渋滞してどんよりしている中、気分を変えようと思ってラジオを付けたときにJ-WAVEが流れて、番組を聴いてイライラも癒され、あったかい気持ちになり、良かったです”というメールを読んだときは、思わずウルッとなってしまいましたよ(笑)頑張っていてよかったなと思いました」
―リスナーはどういう方が多いのでしょうか。
宇治「番組をはじめてみてわかったんですけど、下は10代から上は60代まで幅広い層で聴かれていましたので、あまり作品によらないで楽しめる番組なのかな・・・と。『霞町物語』も今は「霞町」ではなく、「西麻布」ですし、当時の物語なので、当然、若い人には理解しにくい時代背景もあると思うんですね。そこで、“だから聴かない”とかじゃなくて、“聴いてみたら私もその時代に生きてるような錯覚になりました”という声もありました。 これは、やはり浅田先生の作品の持っている力なのかなと。作品の力っていうのは、ストーリーテラーである読み手の力によってさらにプラスになり、それが男女年代問わず響いてくれるのだなと確信しました」
ラジオ番組の作りこみとは?
―番組を作るときの苦労はどのようなものですか。
宇治「スタッフを含めて汗をかいてやっている番組なので・・・(笑)構成の方には作品を読み込んでもらって、浅田先生の世界観を壊さない範囲での圧縮作業を行います。編集に関しても、「ラジオドラマ」でも「朗読」でもないところで生のSEを入れたりもしています。あとはうちの勝負所の選曲ですよね。ストーリーのこの場面のところに、何の曲を挿すのかというところは、本当に時間をかけてやっています。 また、ストーリーテラーと主人公の台詞以外のところは、プロの声優さんを入れて台詞形式でやりとりしていますが、別々に録らず、役者さんたちにスタジオに入ってもらって一斉に録っているんですね。役者さんたちは、ストーリーと各々の台詞を聴きながら演技を考えますから、これはもうばらばらには録りたくないですね。文字面だけだとどうにでも録れてしまいますから、それを音声として伝えるときに、主人公やエキストラの声優さんたちは“どういう読み方をするのか”というキャッチボールをするのが大切だと思います」
―過去の作品で印象深い作品はありましたか。
宇治「本当に毎回が印象深く、作品も読み手のストーリーテラーの方も違いますから、どれというのは正直上げられないのですが、その中でも作り手として“この番組だからできるのかな”というのが、杏さんの『青い火花』の放送です。 主人公は少年なので、テレビや映画だったら杏さんにはお願いできません。少年ですから(笑)この作品を少年として杏さんに読んでもらったとき、浅田先生の世界観が壊れてしまわないかというと、そんなことはないと思ったんですね。また、杏さんは浅田先生の大ファンということで縁もあり、事前にお渡した台本もかなり読み込んできてくれ、打合せのあともスタジオの脇で体育座りをして書き込みをしながら更に読み込んで下さっていました。“これから映画でも撮るのか”というくらい集中して頂いて、色んな意味で印象深かったですね」
―6月16日(土曜)放送になります、小倉久寛さんの朗読による『鉄道員(ぽっぽや)』について、聴きどころや注目ポイントなどを教えていただけますか。
宇治「番組も4月から始まって2ヶ月ほどになりましたが、ここでひとつの山を作りたいと思って、映画化もされた『鉄道員(ぽっぽや)』を出すことに決めました。映画を見られた方は、やはり主人公の佐藤乙松は高倉健さんのイメージが強いと思うんですが、本を読んでみて、番組では素朴さというか純朴さというか、その辺を出せたらいいなぁと思い、小倉久寛さんをキャスティングしました。
本を読んでいる方はそれぞれのイメージがあると思いますが、映画を見ている方は、どうしても高倉健さんのイメージだと思うので、そこは奇をてらうわけではありませんが、作品のイメージをあえて大切にして“この番組はこうきたか”と楽しんでほしいです。
聴きどころでいうとネタバレになるので言いにくいのですが、ある女性が出てくるシーンでの可愛らしさというか、せつなさというか、あたたかさというか、愛が溢れる感じのところをラジオを通して聴いてほしいなと思っています」
■番組公式ページ http://www.j-wave.co.jp/original/soundsofstory/
収録風景写真&お知らせはこちらです!
首都圏で聴けるFM81.3 J-WAVEで、毎週土曜日 夜8時から放送中の「DOCOMO SOUNDS OF STORY〜ASADA JIRO LIBRARY〜」。作家・浅田次郎さんの短篇作品の数々を、実力派俳優の皆さんが週替りでストーリーテラーを担当し、朗読でお届けする番組です。
番組終了後も、番組のスマートフォンサイトへアクセスして頂けると、週替りで登場したストーリ-テラーの朗読を聴くことができます。番組終了後1週間はストリーミング配信で流れていますので、ぜひ番組公式サイトもチェックしてみてください。
今、ストリーミング配信で聴くことが出来るのは、6月9日に放送された、吉沢悠さんが朗読する『小村二等兵の憂鬱』です。
この番組を聴いて、浅田次郎さんの短篇小説が読みたくなった方もご安心ください! スマートフォンのサイトからは浅田次郎作品の電子書籍ダウンロードサイトへもすぐに飛んでいけます。
番組で取り上げた短篇が収録されている「霞町物語」「歩兵の本領」「見知らぬ妻へ」「鉄道員(ぽっぽや)」「月島慕情」・・・、その他、浅田作品の数々が簡単にダウンロードできます。
あなたのスマートフォンで“浅田次郎”と検索して、このサイトをご覧下さい。またJ−WAVEの番組PCサイトには、スマートフォンサイトのQRコードが貼ってありますので、そこから簡単にアクセスすることも可能です。
さぁ、あなたは聴いてから読みますか? それとも、読んでから聴きますか?