新刊ラジオ第1537回 「日本人だけが間違える英語」
本書は、日本人が陥りやすい「英文誤訳」の落とし穴を網羅した1冊です。問題はすべて英文を和訳する形式で、解説部分は、辞書などがなくても英文が読めるように、単語なども丁寧に解説されています。本書さえあればどこでも学習することができる一冊です。
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概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
あなたは、英語は得意ですか?
日本の英語教育は座学が多いので、文法や日本語訳が得意だという人は結構多い かもしれません。日本人が英語を訳すときは、文章を目で追って、単語や文法の 意味を思い出しながら訳していく、いわゆる「直訳」をしますね。
日本人に多いこの翻訳の仕方には意外な落とし穴があって、「誤訳」してしまい やすいのだそうです。さて、その落とし穴とはなんだと思いますか?
今日は、「英語ならそこそこできる」……というあなたにこそおすすめしたい本 をご紹介しましょう。
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◆今日の一冊 『日本人だけが間違える英語』 (大井正之/著 実業之日本社/刊)
◆この本をひと言でまとめると 「日本人が陥りやすい落とし穴を網羅した本」
◆著者について 1954年大阪生まれ。関西外国語大学米英語学科卒業。高校教師を経て、 現在は、KLCセミナー講師。英語が苦手な人でも無理なく学習できるオリジナル の学習法を考案し、それを生かした教材・授業が学生からの好評を集めています。
この文章、訳せますか?
本書は、日本人が陥りやすい「英文誤訳」の落とし穴を網羅した1冊です。 問題集の形式になっていて、例文を和訳しながら読み進めていきます。
和訳の解説部分には、辞書などがなくても英文が読めるように、単語なども丁寧 に解説されていますので、これ一冊あればどこでも学習することができます。
冒頭で、「直訳」をする日本人が陥りやすい落とし穴があると話しましたが、 英文法の「きまり」は、数学の公式のように“絶対的なもの”ではなく、場合に よって表す意味が変わってしまうことがよくあります。
例えば、連語や慣用句なども、状況によっては別の言葉に訳さなければならない こともありますし、カンマの位置ひとつで意味が変わってしまうこともあります。 記憶した単語や連語を、そのまま日本語にスライドさせる「直訳」の方式で英語を 訳そうとすると、こういった落とし穴に気づきにくいのです。
例えば、次の英文はどのように訳すでしょう?
● It was raining like anything an hour ago.
前置詞の likeは、「〜のように」と訳しますから、 直訳すると、「1時間前、なにかのように雨が降っていた」となりますね。
しかし、これは誤りです。 実は、ここで使われている「like anything」には、「激しく(…する)」という 意味があるのです。
例を上げて解説しますが、英語は、比喩や、何かとの比較を好むようで、
● sing like a bird(小鳥のように歌う)や、 ● sleep like a log(「丸太のように眠る」から転じて、 「死んだように眠る・ぐっすり眠る」) など、こういった表現が多くあります。
しかし、「小鳥」や「丸太」のような、比喩する対象が見つからないときは、 「anything」をあてて、
●Im tired like anything.(私はすごく疲れた) ●The thief ran like anything when he saw me.(泥棒は私を見て一目散に逃げた)
このような表現をするそうなのです。
では、これを踏まえて先ほどの文章を訳してみましょう。
● It was raining like anything an hour ago.
★Answer 1時間前、雨がとても激しく降っていた。
比喩対象が見つからないときは、anything をあてる。このような英語の発想法を 知っておくことが、和訳力をアップさせるコツだと、著者の大井さんが言っています。
まったく逆の意味に誤訳してしまいそうな文章
続いては、もしかしたら、旅先などでは注意が必要かもしれない一文です。
シンガポールでこのような表示を見かけました。さて、何と書いてあるのでしょうか。
● Fine for Eating and Drinking Here.
「ここは飲食OK」と訳した方は、不正解です。 実は、この「Fine」は、「結構な」「みごとな」などの意味ではなく、 この文脈だと、「罰金」という意味の名詞だったのです。
ですから、答えは……
★Answer ここで飲食したら罰金。
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さて、2つ程、和訳に挑戦してもらいましたが、いかがでしたか?
大井さんは、英語学習に関わる講演、授業、各種英語関係誌の監修や、書籍の 執筆など、広範囲にわたって活躍されている方ですから、日本人が英語学習に おいてどのような場所でつまずくのか、非常に多くのケースを見てこられています。
本書に網羅されているケースを一読するだけでも、主要な誤訳のポイントを フォローすることができますから、英語力は格段にアップすると思います。
◆ まとめ 英語の参考書は難しいと思われがちですが、本書は、英文法の予備知識がなくても 読みやすいように、難解な専門語などを廃してつくられています。 学生時代に学んだ英語を忘れかけている方でも、苦なく読み進められると思います。 単語レベルで解説もされているので、本書一冊あれば辞書などを持ち歩かなくても 学習に臨めるのでおすすめです。
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