だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1530回 「笑いの凄ワザ」

元・吉本興業芸人でトップ営業マンの著者が教えるビジネストーク術!お客さまと打ち解けて信頼関係を作るために、「笑い」は一番の近道です。本書では、初対面の挨拶(ツカミ)から、商談〜プレゼンまで、面白いことが言えない人や、たとえ口下手なあなたにも習得できる、“笑いのコミュニケーション術”満載の一冊です。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

あなたは取引先の人を“笑わせた”ことがありますか? 仕事の話だけでなく、プライベートな話題などで笑い合うとぐっと距離が縮まる ものですよね。

しかし、コミュニケーションにおいて「人を笑わせること」は上級テクニックな のではないでしょうか。そこで、口下手な人や面白いことが考え付かない人でも、 営業に役立つトーク術として「笑い」を教えてくれる一冊をご紹介しようと思います。

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◆今日の一冊 『笑いの凄ワザ』 (殿村政明(とのむら・まさあき)/著 大和出版/刊)

◆この本をひと言でまとめると 「“笑い”の力でビジネス関係を良好にする技術」

◆著者について 殿村政明さんは、かつては吉本興業のお笑い芸人でした。 19歳の頃、漫才コンビ「オール阪神・巨人」に弟子入りして、「礼儀、挨拶、返事」 といった躾を徹底的に教え込まれました。そして、日々、「どうやって人を笑 かしてやろう」「どうやったら人に伝わるんだろう」そんなことばかり考えて、 舞台に立つ毎日を過ごしていました。 しかし、その後、殿村さんはコンビを解消し、お笑いの世界を去ります。 そして、今度はビジネスの世界に羽ばたき、営業の世界へと飛び込みます。 すると、とんとん拍子に好成績を挙げることができ、28歳で独立開業。ビジネス の世界で成功を収めます。

“笑い”で築く信頼とは

著者の殿村さんはビジネスをする中で“あること”に気づいたといいます。 それは、

「お笑い芸人時代に学んだ考え方や行動って、  ビジネスや日常のコミュニケーションでも、ごっつう役に立つんや!」

ということでした。 本書では、殿村さんが芸人時代の経験や鍛錬から得たもの、そして、営業マン、 企業人として学んできたコミュニケーションスキルの両方がベースとなった ビジネスノウハウが語られています。

ビジネスで良い関係を築くときに大切なものとはなんだと思いますか? 「誠実さ」「win-winの関係を作る」「嘘をつかない」これはもちろん大切なこと ですね。しかし、それだけで、打ち解けた仲、つまり人間として良い関係を築く ことができるでしょうか。と、言われると、自信がなくなっちゃいますよね。 そこで大切なのが、「笑い」なのではないでしょうか。

真面目一辺倒ではなく、適度に冗談を織り交ぜて笑いを取った方が、人間関係って、 上手くいくものですよね。この本では、口下手でも、あんまり面白いことが言え ない人でも、「スキル」として、「笑い」のビジネストークを身につけられる ようにつくられています。

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それではここからは、 「ちょっとコミュニケーションが苦手かもしれない…」 「客先ではあがっちゃうんだよな…」 という、営業ビジネスパーソンに向けて、いくつか殿村さんのノウハウを紹介 したいと思います。

ツカミ・ツッコミ・メリハリ……3つのテクニック

まずは、第一印象を良くする「ツカミ」のテクニックです。

●「ハイど〜も〜!ぱちぱちぱちぱち…」と、心の中でつぶやく

万人に使えるわけではありませんが(笑)、殿村さんは元々お笑い芸人だったので、 スタートアップの勢い付けとして効果を発揮したのではないでしょうか。 これを参考に、あなたも自分に合わせた“スタートアップに勢いをつけるジンクス” を見つけてみてもよいののかもしれません。 例えば、僕は吹奏楽部でしたから演奏会の雰囲気を思い出すとか……。 そんな、自分が実力を発揮できる気持ちになれるものを見つけてみてください。

続いて、ビジネスの現場での「ツッコミ」の姿について。

●「ツッコミの原点は相手を放っておかない愛情」

ツッコミって言うと、「なんでやねん」って頭をどつくことばかり浮かびますけど、 ビジネスで頭をどついてしまっては大変です(笑) ビジネスのツッコミとは、 「相手を放っておかない愛情」。これは、相手が言った言葉を拾うこと、相手の 話にツッコミを入れて、会話に入っていくことを表しています。

例えば、3人で談笑していたとして、

A「今日ちょっと眠そうですね」 B「いや、家事をやっていたもんで、寝不足で……」

こんな会話をしていたら、あなたはどうツッコミますか?

C「それは大変ですね」

これじゃ、会話がすぐに終わってしまいますね。

C「あれ?奥さん風邪でもひかれましたか?」 

こんなふうに会話を広げていけば、話は膨らんでいきますね。 こういう話を膨らます“ツッコミ”が、ビジネスの上では大切なのです。

●「礼儀正しさと笑いの両方をメリハリよく見せる」

あなたは、営業先、取引先とのコミュニケーションにも、うまく「笑い」を取り 入れているでしょうか。本書に紹介されているオールマイティに使える方法、 それが、「礼儀正しさと笑いの両方をメリハリよく見せる」というものです。

例えば、営業先で挨拶を済ませ、早々とこんなことを言われてしまったとします。

先方「じゃあ……今日は忙しいんで、すいません」

でもあなたは、用意した資料だけでも渡して帰りたい! そんなときは……。

あなた「こちら、最新のパフレットです!よろしくお願いします!」

と、卒業証書をもらう小学生のように、腰をていねいに折って最敬礼をしながら、 パンフレットを両手で差し出します。

まあ、ここまでやったら、相手は受け取りますよね。 しかしあなたは、まだ頭を上げません。

あなた「どうぞご検討をお願いします!!!」

先方「わかりました、とりあえず見ておくんで……頭あげてくださいよ」

こう言ったところで、さっと直立不動に戻り、笑顔で頭をかきながら、

あなた「すいません、背筋を鍛えていました…」

と、ボケて落とすっ!(笑)

最初の短時間で、「礼儀正しい人だ」「ユニークな人だ」ダブルの好印象を与え られれば、大成功です。もしかしたら引かれてしまうこともあるかもしれませんが、 少なくとも普通に置いて帰るより印象には残りますし、あなたが帰ったあとも、 「なんか面白い人だったよ」と、話題に上るかもしれないですよね。

笑いは、礼儀・信頼の上にあるもの

さて、いくつか紹介してきましたが、いかがでしょうか。 最後の例は難易度が高かったかもしれませんが、基本的にこの本に載っている ノウハウは、口下手な人でも、面白いことを言うのが苦手な人でも大丈夫なもの になっています。なので、人を笑わせるなんて滅相もないと思っている方も安心 して読んで欲しいと思います。

最後に、殿村さんが、これが一番大切だよと書いていることに触れたいと思います。 殿村さんは、笑いの技術以前に大切なことは、人間として基本的なこと。 返事、挨拶に始まり、相手と本気でコミュニケーションを取る気があるかどうか、 相手を気遣う気配りがあるかどうか、ということだといいます。

これがベースにないと、笑いを取りにいくどころではありませんね。 笑いは確かに人間関係を円滑にしますが、それは信頼関係あってのものです。 笑いだけを狙っていたら、いい加減な人間に見えてしまいます。

こう言うと、「じゃあ笑いを取る前に、信頼関係を築かないとそもそも笑いを とるまでたどり着けないだろ」というようにも見えてしまいますが、そういう ことではないですよ。

殿村さんの言葉を借りると、『笑いは上質な気配り』なんです。 笑わせることは、決してフザけることではなくて、相手をリラックスさせる 「気配り」という思いでしなければならいのではないでしょうか。

笑いの凄ワザ

笑いの凄ワザ

笑いの凄ワザ

元・吉本興業芸人でトップ営業マンの著者が教えるビジネストーク術!お客さまと打ち解けて信頼関係を作るために、「笑い」は一番の近道です。本書では、初対面の挨拶(ツカミ)から、商談〜プレゼンまで、面白いことが言えない人や、たとえ口下手なあなたにも習得できる、“笑いのコミュニケーション術”満載の一冊です。