だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1488回 「経営が今! やるべきこと」

経営は会社の規模や利益を成長させる武器である。本書は、20代の創業わずか5年足らずで年商50億円を達成し、後に年商180億円の会社を経営した著者が、自身の経験と理論に基づいた経営指南書。実感しやすい豊富な事例と平易な文体で、儲かる社長の経営理論を3時間でいっきに学ぶことができる一冊です。

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若手経営者に伝えたい言葉

●著者プロフィール  榎本計介さんは、経営コンサルタント。  1955年、和歌山県に生まれ、東海大学を卒業後、日本玩具に入社。6年後に独立し、おもちゃ屋を開業。そして、1990年に(株)ヴァンクスの設立を経て、(株)しーがる、(株)いまじんとの3社合併をします。2000年に、(株)いまじんの代表取締役に就任。  現在は、自身の経営体験を元に、経営や、マネジメントをテーマにしたカリキュラム「えのさん流MBA」セミナーを主宰し、指導にあたっています。

 当時、榎本さんは、日本玩具に6年間勤めたあと、果物屋を営み借金を抱えていた実家を再建するために新しくおもちゃ屋を創業します。おもちゃ屋という、在庫を持たなければならない業種としてはなかなか厳しい、資金70万円からのスタートとなり、創業当時は資金繰りに苦労する毎日だったといいます。  しかし、この状況から色々なアイデアを生みだすことができたと振り返っています。そうした中で役立ててきた経営のアイデアや、経営を続ける中で研磨されていったマネジメントの手法について、実践的にまとめられたのが本書です。

榎本さん曰く、 「この本は、(経営の)「体験」を通して得た事象を、「経営理論」として体系付けたものです。私の考案したいくつかの法則と、一部ドラッカーの現代の経営をヒントにしつつ、新入社員にもわかるように意識して書きました。」 このように前書きに書いています。

新入社員で経営にかかわる仕事をしている人は少ないと思いますが、榎本さんがそうだったように、「独立志向のある人」、「一気に成長して経営に携わりたいという人」たちを応援したい気持ちから、このようなテーマになったのかもしれません。

儲かる社長の考え方(1) 「美容院」の場合

 美容院の顧客といえば、言うまでもなく、「髪を整えたい人」です。ですから、美容院の基本機能の第一は、「顧客に美容師を紹介すること」だといえます。そして、洗髪台や椅子といった設備や場所を貸すことも、美容院の基本機能と言えるでしょう。これが第二の基本機能です。

 ここで少し視点を変えて考えてみます。今度は美容院の顧客は、「美容師」と考えてみます。美容師にとって美容院はどういう存在でしょうか。顧客を紹介してくれる、そして顧客情報を管理してくれる。お店や設備を貸してくれて、技術のある先輩のスタッフや、アシスタントを紹介してくれる、そういった存在ですね。美容師は、こういったサービスを受ける代わりに、お客さんから頂くカット代(技術料)の一部を美容院に納めるということになります。

 儲かる社長は、会社にかかわるすべての人を顧客として考えてみるのだそうです。すると、たいていは3つ以上の対象顧客が現れるものだと、榎本さんはいいます。事業のマネタイズを考える上で、まず一番目に、「自社と同業他社がすべてなくなったら、それらの顧客が困ることはなにか」を考え、次に、関わるすべてを顧客として設定し、それぞれにあった基本機能、付加機能を選択し、マネタイズするための戦略を組み立てる。

 これが、儲かる社長のひとつめの考え方です。

儲かる社長の考え方(2) 「人材派遣業」の場合

 大きく儲けるためには、売上げを大きくして、コストを下げるというのが一般的ですね。すると、人件費を抑えるために派遣社員を使うという選択肢が生まれます。忙しい時期は人手が欲しいけど、暇な時期はいらないよというのが、企業の本音ではないでしょうか。

 昨今、「派遣切り」の問題が話題になっていますが、ここで派遣会社のあり方について述べられています。 マスコミでも派遣切りは批判の的となっていますね。しかし榎本さんは、「派遣切りをなくす動きは派遣社員を助けることにはならない」といいます。つまり、派遣会社を経営する場合、派遣切りを防止するような動きは、かえって経営の首を絞めるものであるというのです。

 なぜでしょうか?では、企業が派遣社員を使うそもそもの理由を考えてみてください。

人件費のコストを下げたい。 忙しい時期だけ人手が欲しい。 暇な時期はいらない。 だから正社員は雇えないが、人手は欲しい。 ……こういったことですよね。つまり、企業は雇用調整のために派遣会社を使うのです。

 それを、派遣切りを完全に禁止にしてしまっては(現在違法ではない)、企業は雇用調整のために派遣会社を使えなくなります。すると何がおきるかというと、派遣社員を雇用する動き自体がなくなってしまうということなんです。これでは派遣会社は不要になってしまいますよね。

 「派遣会社の顧客は誰か」「何を売っているのか」といえば、市場は「雇用のリスクヘッジをしたい会社」です。そして売り物は、「雇用のリスクをなくすこと」となります。 世論の情緒的な空気に押されて、そもそもの市場、顧客を見失わないというのが、儲かる社長の考え方なのです。

儲かる社長の考え方(3) 「下請け企業」の場合

リスナーの方で、下請けの会社に勤めていらっしゃる方はいますか? 「元請けはわがままで都合のいいときだけ使って、いらなくなったらすぐ切りやがる」 なんて、考えたことはないでしょうか?

そして、元請けの会社に勤めていらっしゃる方は、 「自社で出来ることなのに、どうしてわざわざ下請け会社に仕事をくれてやるんだよ」 なんて、疑問を感じたことはありませんか?

もちろん何年も勤めている方は、ご存知のとおりだと思いますが。入社1〜2年の新人ビジネスパーソンの方は、意外とわからない部分ではないでしょうか?

ちょっと考えてみてください。 そして、答えがわかったら、書店で答え合わせをしてみてください。 P46〜です。

ヒントは、「リスクのヘッジ」です。

■ まとめ 今日の本、いかがでしょうか? 明日香出版社といえば、元祖・年齢ものシリーズ、ルールシリーズが浮かびますが、あれと同じようなページ構成で、見開きで1トピック、読みやすく作られています。 内容も、ガチガチの理論に基づいた経営書ではなく、榎本さんが経験してきた中での事例をあげながら興味が続くように工夫して書かれていました。 若い世代にも読んでもらいたいという榎本さんの思いも手伝って、経営初心者の若手のビジネスパーソンにもおすすめしたいなと思います。

経営が今! やるべきこと

スティーブ・ジョブズの名言(ひとつ前の新刊ラジオを聴く)

経営が今! やるべきこと

経営が今! やるべきこと

経営は会社の規模や利益を成長させる武器である。本書は、20代の創業わずか5年足らずで年商50億円を達成し、後に年商180億円の会社を経営した著者が、自身の経験と理論に基づいた経営指南書。実感しやすい豊富な事例と平易な文体で、儲かる社長の経営理論を3時間でいっきに学ぶことができる一冊です。