新刊ラジオ第1471回 「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」
北欧スウェーデン発・今世紀最大の傑作ミステリーがついに文庫化! 全世界において作者急死後6000万部を売り上げ、社会現象となった「ミレニアム」三部作。その第一部の本作では、気鋭のジャーナリスト・ミカエルと女性調査員リスベットが、孤島で起きた少女失踪事件に挑む。
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全世界で6000万部を売上げたミステリー
ダ・ヴィンチ・コードの発行部数ってどれくらいだと思いますか?
なんと、全世界で、7000〜8000万部です!
今日紹介する本は、それに迫る勢いのミステリ作品です。その名も「ミレニアム」三部作。発行部数は、全世界ですでに6000万部を突破しています。
本国のスウェーデンでは、2005年の刊行から、2011年6月までに、360万部を売上げる大ベストセラーとなりました(スウェーデンの人口がおよそ900万人であることを考えると、これは驚異的な数字です)。
その「ミレニアム」の第一部を今回はご紹介していきましょう。
● 著者プロフィール 著者のスティーグ・ラーソンは、1954年スウェーデン北部に生まれ、英国の反ファシズムの雑誌『サーチライト』の編集に長く携わってきた人物です。1995年には、人道主義的な政治雑誌『EXPO』を創刊し、やがて編集長を務めました。 彼の私生活は、日に60本もタバコを吸うヘビースモーカーで、仕事中毒でもあったそうです。2002年から、パートナーである女性の協力を得て、<ミレニアム・シリーズ>の執筆に取り掛かり、2004年に3冊の出版契約を締結。そして、2005年に第一部『ドラゴン・タトゥーの女』が発売されるや、たちまちベストセラーの第一位になり、三部作合計、世界で6000万部を売り上げ、社会現象を巻き起こしました。しかし、著者のラーソンは、その成功を見ることなく、2004年11月に心筋梗塞で死去、享年50歳でした。
今回、取り上げた『ドラゴン・タトゥーの女』という作品は、『ミレニアム』と名づけられた三部作の第一部です。ジャーナリストとして活動していた著者スティーグ・ラーソンの遺作となりました。
あらすじ&見どころ
ストーリーの主人公、ジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストは、雑誌『ミレニアム』の発行責任者を務める人物です。彼は、大物実業家である、ヴェンネルストレムの違法行為を暴き、記事を公表しますが、名誉毀損で有罪となってしまう……というところからストーリーは幕をあけます。 ミカエルは、ヴェンネルストレムの違法行為を確信していたのですが、証拠が足りないことなどの理由から、たたかうこともできず、『ミレニアム』から離れます。 しかし、そこにある人物……ディルク・フルーデと名乗る弁護士が、ミカエルに電話をしてきます。曰く、「ミカエル、あなたに会いたがっている人物がいる。詳細は話せないが、いい加減な気持ちで来ているわけではない」と。 ミカエルは、要領を得ないフルーデ弁護士との問答に困惑しますが、会いたがっているという人物の名前を聞いて驚きます。 その人物こそが、ヴァンゲル・グループの前会長である、ヘンリック。ミカエルはヘンリックの元を訪れ、話を訊くことにしますが、そこで彼(ヘンリック)は、驚くべき“頼みごと”をするのです。
「私は、ヴァンゲル家の誰が、ハリエットを殺し、その後四十年もの長きにわたって私の頭をおかしくさせようとしているのかを、きみに突き止めてほしいのだ」
ヘンリックは、娘のように可愛がっていた特別な存在である、姪ハリエットを手にかけた真犯人が、一族の中にいると確信を持っており、その調査をミカエルに依頼したのです。ミカエルが対立していた大物実業家・ヴェンネルストレムを破滅させる証拠を渡すことを条件として……。
オピニオンリーダーたちも絶賛!
冒頭のあらすじをご紹介しました。いかがでしょうか? なぜヘンリックは、ハリエットを殺した犯人がヴァンゲル家にいると思い込み、ミカエルに依頼したのでしょうか? そこには一口では語れない、富豪一族にまつわる忌まわしい事実がありました……。
全体を通して、ストーリーの壮大さというか、大富豪一族の裏に蠢くものの存在とか、そういった伏線もさることながら、心理描写や、場面や状況を描く地の文が、細かいところまで描かれているので、緊迫感のある画が容易に浮かび、その度に、グッと引き込まれます。 また、登場人物たちの問答も予定調和ではない、リアルな心理戦を感じることができました。登場人物たちは、(こういう言い方は変ですが)“頭の良い・インテリの”成功者や、ジャーナリストといった、心理戦や緊迫した現場での行動に長けた人物たちです。そういった人物たちの感じたこと、行動したことを、リアルな体験として感じることができるし、また俯瞰して読むこともできる作品です。
日本の書評家のオピニオンリーダーとなる方も、絶賛しています。
●「ミステリ性、社会性、ドラマ性と申し分なし。ヒロインも素晴らしい! 優れた現代小説だ」 池上冬樹(いけがみ・ふゆき)文芸評論家。
●「史上最強・最萌の女探偵、リスベットに惚れた。前代未聞のノンストップ“孤島ミステリ”巨篇」 大森 望(おおもり・のぞみ)書評家。 ※敬称略
この女探偵というのは、リスベット・サランデルという女性調査員です。ストーリーでは、ミカエル・ブルムクヴィストに調査協力を依頼される人物ですが、とっても“萌え”なんです。男性はもちろん女性もメロメロになっちゃうかも?
『ミレニアム』2大キャンペーンのお知らせ
「ドラゴン・タトゥーの女」のあらすじや、オピニオンリーダーたちの評価をご紹介してきましたが、いかがでしょうか? 「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」はハヤカワ・ミステリ文庫より発売中。第二部「火と戯れる女」は11月、第三部「眠れる女と狂卓の騎士」は12月に出版されますが、実はこの作品、初めから三部作として構想されたものではなかった、とのことなんです。 ラーソンは、当時ジャーナリストとしての仕事のかたわら『ミレニアム』を執筆していましたが、構想が膨らみどんどん書き進め、出版社に連絡を取ったのが、第三部の執筆に入ったころだそうです。その時点でも、すでに第五部までのストーリーができあがっていて、最終的には十部作の構想だったのだとか。 第三部で、一度、物語はまとまってはいるとはいえ、続きを予感させる部分も残っているだけに、「残念だ」という声も大きい本作品。上下巻セット・長編の作品ですが、文庫サイズですから、電車でもお風呂でも持ち込んでずっと読み続けられます(笑) 読書の秋突入の1冊目にいかがでしょうか?
現在、この作品の文庫化を記念した2大キャンペーンを実施中。 『ミレニアム』ゆかりの賞品が抽選で250名に当たる第1弾は10月末日締切り。第2弾は三部作いずれかの作品が対象の『ミレニアム』400字レビューコンクール。こちらの大賞作品にはスウェーデン往復航空券が贈呈されます。こちらは12月末日の締切りになっています。 詳しくは早川書房のウェブサイトをご覧下さい。
早川書房サイト http://www.hayakawa-online.co.jp/
『ミレニアム』特設サイト http://millennium-book.jp/
また、本作はデヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ主演のハリウッド版映画が2012年2月に日本で公開されます。
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