だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1453回 「トンデモ大国・中国を知らねば日本の復興はない」

『日本の「国難」は、中国が隣にあること!?』 こんなショッキングな話しを出されたらどう思いますか? 尖閣諸島の領有権を主張する中国。その裏には、いずれは日本を意のままに動かすという属国化をたくらんでいるという話が…。それは事実なのでしょうか? 中国という国の本質を見据えながら、対日本との関係、対台湾との関係で見えてくるものとは?

新刊ラジオを購読する方はこちら

読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました

日本復興のカギとなる国家とは?

●著者プロフィール 著者の黄文雄(こう・ぶんゆう)さんは、文明史家、評論家。 1938年台湾生まれ。1964年来日、早稲田大学商学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。日本では、「陰謀学入門」(1975年)、「中国にもう花は咲かない」(1989年)などで、 注目を浴び、評論家としての地位を確立しました。 台湾では、戒厳令下の1980年代に地下出版された「中國之没落」が大反響を呼び、日台で旺盛な執筆・評論活動を展開しています。

日台関係、日中関係について、評論活動を続ける黄さんが書いた今回の本は、 「トンデモ大国 中国を知らねば日本の復興はない」。 東日本大震災が引き起こした様々な天災、人災は、日本の転換期を迎えざるをえない状況となりましたが、そのカギは隣国である中国を知らなければ復興がない、というものです。

なぜ、日本の復興と中国を知ることが関係あるのでしょうか?

その答えは、本を読み進めていくと解明されます。

本の中で著者はこのように言っています。 「東日本大震災が引き起こした事態は、原発の事故を含んで、日本の「国難」と言ってよい。日本にとっては、国難はこれからの国家進路の転換軸といえる。 この国難をきっかけに政府の対応力が再び問われ、生活優先や我執への反省をも含めて、政府とは、国家とは何かを問い直すきっかけにもなる。先に見た日本の強さが発揮されれば、日本を劇的にいい方向に変えていく好機でもある。 実際、日本史を見れば、日本人の不屈の精神はいつも国難をバネにして、日本がいっそう強くなっている。終戦後廃墟から這い上がった日本人もそうだった。 東日本大震災は、新しい国造りの契機かもしれないのだ」 (P11より抜粋)

困難に立ち向かうニッポン

国難に日本人はどう対処ができるのでしょう?

その上で黄さんはこう指摘します。 「東日本大震災という「国難」に遭遇した日本にとって、厄介なのは隣に中国という国があることだろう」 (P32より抜粋)

それはなぜかと言うと、 中国はODA(政府開発援助)などで、ジャパンマネーをむしり取る一方で、歴史問題や靖国問題などで日本を仮想敵国視して、国民の不満が自分たちに向かわぬよう、「はけ口」として政治的に利用してきました。 そうしたなか、2010年9月に起きた、尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件と、その後の中国政府の傲慢不遜な姿勢がそうであるように、中国は尖閣諸島に触手を伸ばし、いずれは日本を意のままに動かすという属国化をたくらんでいるように多くの人には映ったことでしょう。

そのことを裏付けるように、 1995年の秋。外務大臣を務めたこともある、衆議院議員・武藤嘉文が翌年・1996年に大阪で開かれるAPECの準備のためにオーストラリアを訪れたとき、時のキーティング首相が次のようなことを言ったそうです。 「この間、中国の李鵬首相と会ったら、李鵬首相は、まぁ、あと30年もすれば、日本という国は潰れてしまうだろう、と言ったんだが、どう思うかね」

この話を、武藤嘉文は1998年の国会で発言し、記録にも残っているのだとか。

李鵬は、当時中国の権力の中枢にいた人物です。 この李鵬の発言からも、中国がどのように日本を見てるかが分かると思います。

震災後、不可解な動きを見せた中国

また、中国は震災後も不可解な動きを日本に対してしているのだというのです。 それは、2011年3月26日。 東シナ海の中部海域で警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に、胴体に「中国海監」と書いたヘリが異常接近して、護衛艦を見下ろすようにして周囲を回るという事件がありました。(「中国海監」とは、中国の海域の警備にあたる組織のこと)

まさに、自衛隊の多くが大震災の災害復旧に当たっているときで、手薄になった国家防衛のありようを探るためだったのでは・・と言われているそうです。 この海域には以前にも何度も同じような事件があり、日本政府は、中国側にも抗議し、再発防止を求めていたのもかかわらず・・のことでした。 もちろん、この3/26の出来ごとも日本政府は、中国側に抗議しました。

しかし中国側は、「中国のヘリは正常な行動をしており、安全だった。日本政府は、責任のある態度をとり、両国関係の大局に影響を与えるようなことは阻止すべきだ」 と、言い放ったといいます。脅しともとれる発言ですよね。

こうした状況を踏まえて、本書では、 尖閣沖での事件の背景と、その中国と日本との危機的な関係の本質を描き、中国がいま抱えている問題をクローズアップし、それがどのようなかたちで日本の復興に関わってくるのかを検証します。

中国の狙いとは何か?

そして同じように中国の脅威を受けているのが、日本のお隣にある台湾。歴史的な因縁から、台湾を中国の一部だと考えてしまう人もいるかもしれませんが、台湾生まれの著者は「台湾人が地球人だとすれば、中国人は異星人ではないかと思うくらい違う」としています。そうした台湾が日本の運命にも大きく関わってくるのだという事実を紹介し、台湾の重要性を訴えます。

また、後半部分では、台湾への旅ガイドがあり、中国の歪まれた情報によるものではない、真の台湾の姿を描いていきます。

中国の狙いは何か? そのとき日本はどのように存在を示していったらよいのか? 日本の経済力、技術力は復興の力になるのか? 日本が生き抜こうとしたとき、どんな対応が必要となるのか? 「平和」「平和」とだけ唱えていればよかった時代はもう終りを迎えているのか? あらゆる疑問に答えが見付かる、そんな一冊です。

トンデモ大国・中国を知らねば日本の復興はない

末期癌患者の終末期ケアとは?(ひとつ前の新刊ラジオを聴く)

トンデモ大国・中国を知らねば日本の復興はない

トンデモ大国・中国を知らねば日本の復興はない

『日本の「国難」は、中国が隣にあること!?』 こんなショッキングな話しを出されたらどう思いますか? 尖閣諸島の領有権を主張する中国。その裏には、いずれは日本を意のままに動かすという属国化をたくらんでいるという話が…。それは事実なのでしょうか? 中国という国の本質を見据えながら、対日本との関係、対台湾との関係で見えてくるものとは?